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昨年、AIのべりすとを用いて制作した『安達としまむら』の二次創作小説を公開しましたが、今回もあだしまの短編を作ってみました。
内容としましては、安達がしまむらの誕生日を祝おうとプレゼントを買ったり、誕生日当日にしまむらとお出かけしたりして自分の思いを彼女に伝えます。
ちなみに、入間先生が書いたしまむらの誕生日小説「happy birthday」では、しまむらの誕生日を祝い忘れた安達が後日に思い出し、しまむらのために行動していました。

本当はアニメ版のしまむらの誕生日である先月10日に投稿したかったのですが、本業が忙しくて中々時間が取れなかったのと、AIがたまにあだしまとは関係のない展開を広げてしまい自分で何回も手直しを繰り返していたこともあり、かなり遅ればせながらつい先日完成しました。
今回の話も素晴らしい感じに仕上がっていると思いますので、最後まで読んでいただければ幸いです。




高校2年に進級し、私は再びしまむらと同じクラスメイトになれて喜びのあまり叫んでしまった。周りの人たちには変な目で見られたけど……でもそんなことより!
しまむらとの学校生活ももちろん楽しみだけど、まずはもうすぐ迫っているしまむらの誕生日について考えないとね。しまむらに何をプレゼントしようか。しまむらの好きなものって何だろう。うーん……よし決めた! しまむらのために何かをしてあげたいと思ったら即行動だよね。待っててね、しまむら。私が素敵な贈り物を用意してあげるから。
しまむらの誕生日に向けて私は計画を立てた。
まず最初に考えたことは、しまむらの誕生日パーティーを開くことだった。しかしこれには問題がある。それは、しまむらが私以外の人と誕生日を過ごす可能性があるということだった。この問題を解決するために私はある作戦を考えた。その作戦とは……そうだ! 朝からしまむらを誘って遊びに行こう! そうすればしまむらが他の誰かと過ごす可能性はないもんね。そうと決まれば明日しまむらに予定を聞いてみようっと。

次の日になり、早速しまむらに声をかける。
「お、おはよう、しまむら」
「うん。安達おはよう」
しまむらは私に挨拶してくれた。
「ねぇしまむら」
「はいよ?」
「今週の日曜日空いてないかな? もし良ければどこか行かない?」
私はしまむらに誕生日当日に予定がないか聞いてみた。
「えっ、どうしたのいきなり? 特に用事はないから大丈夫だよ」
「じゃあ日曜日は私と一緒に出かけませんか!」
私は敬語でお願いした。しまむらは一瞬驚いた顔をしたがすぐに笑顔になって答えてくれた。
「いいよいいよ。どこに行きたいの?」
よしきた! さすがしまむら、話が分かる! というわけで日曜日に私たちは街に行くことにした。ちなみに行き先はまだ未定だ。

***
今日の安達はいつもよりも機嫌が良く見えたなぁ。一体どうしてだろう。まさかわたしの誕生祝いの準備とかじゃないでしょうな……。いやいや流石にそれはないだろうと思いながら床に寝転がっていると、わたしのスマホにメッセージが届いた音が鳴り響いた。どうやら安達みたい。
「日曜日の件だけど、しまむらはどこか行きたいところある?」……ほうほう、そういうことですかい安達さんやい。確かに誕生日だからってわたしを喜ばせようと無理する必要は無いんだけどね~(チラッ)
とりあえず返事しておこうか。
「別にどこでもいいよー」……よし、これでいいだろう。安達ならきっと何も言わなくてもわたしが喜ぶようなプレゼントを持ってきてくれると思うけど。という訳なので誕生日当日まで待ちましょう。期待していますぞ安達桜殿。……あっ。そういえばもうすぐ新しいドラマが始まる時間じゃん。急がねばー。
翌日、わたしが教室に入ろうとしたところで日野と永藤に呼び止められた。
二人はなぜかニヤニヤしているように見える。なんだこいつら気持ち悪いな。なんか嫌な予感しかせん。……とまあ冗談はこれくらいにしておきまして。なんで二人がニヤついてるか予想がつくんですが一応聞いておくことにしますか。
わたしの予想はズバリ当たり、二年生になってから初めて、日野・永藤と一緒に昼ご飯を食べることになった。当然、安達も一緒である。……それにしても四人で弁当を囲むことになるなんて思いもしなかったな。まあいっか、たまには。それに、日野たちと話すことも嫌いじゃないから。むしろ楽しいかも。
昼ご飯を食べ終わり、日野が口を開いた。
「そういえば、確か今週の日曜ってしまむらの誕生日だったよね」
うぐっ、早速来ましたねその話題。日野の奴覚えていたんだ。安達が何か言いたげにしているのを日野は無視しつつ続けた。
「とっておきの物を用意しておくから楽しみにしておけ!」と日野は自信ありげだ。
「えっ、しまむらの誕生日ってもうすぐなんだ」
永藤が話に加わる。
「おいおい。友達の誕生日を忘れちまったのかよ」と日野がツッコむ。
「ああ……。そうだった」と永藤。思い出してくれたようで何よりです。
「私も何か考えないと。でもしまむらの好きなものがいまいち分からないから……」
そう言うと、永藤は鞄から手帳を取り出しメモ書きを始めた。どうやら誕生日までに準備をするみたい。
安達に加えて日野と永藤もわたしのためにプレゼントを考えてくれていることを聞き嬉しかったけど、少し申し訳なく感じてきた。そんなこんなしている内にあっという間に時間は過ぎていく。
安達が何か言いたげな様子を見せ始めた。もしかしたらわたしへの誕生日プレゼントについて悩んでいるのかもしれない。
結局何も言えず、安達は自分の席に戻ってしまった。わたしは何となく寂しい気分になる。

そんなこんなで今日の授業を終え放課後になるといつも通り安達と帰ることにした。今日は特に用事もないし、このまままっすぐ帰っても良いのだが、たまにはどこか寄っていくことにした。いつも通っている通学路を歩き、学校からだいぶ離れたところまでやって来た。安達はわたしの隣を歩いていたが特に何も言ってこなかった。
そしていつも通りのコンビニでお菓子を買って帰宅したら水色の髪をなびかせた小さな女の子が立っていた。
「おかえりなさい。しまむらさん」
また来てたのかコイツ。最近よく遊びに来るんだよなぁ。
ちなみに名前はヤシロ。自分のことを宇宙人だと名乗っているが正直胡散臭い。
という訳であまり関わりたくはなかったんだけど……この子はなぜかわたしのことを気に入ってるらしく毎日のようにうちにやって来て妹と遊んでいる。
「しょーさんにいいものを見せてあげましょう!」
おいコラ、うちの妹に変なことを吹き込むんじゃないぞ?と注意すると、じゃあしまむらさんの恥ずい過去を教えてくれたら黙っていてもいいですよ、とか抜かしやがったのである。くそう。こうなったらとっととお帰り願おうではないか。ということで玄関の扉を開けるとそこには安達がいて……。
「しまむらっ!実は……お願いがあって」
「んー。なんだろう」
……仕方がない。付き合ってやるかね。安達がわざわざ家に来た理由を聞いてみたところ……なんと、安達はわたしの誕生日に何かしらプレゼントを贈りたいと言い出してきたのだ。安達からまさかプレゼントを贈られるなんて思わなかったけど、やっぱり嬉しいもので、安達に「じゃあ、わたしが好きそうな物を選んでくれるかな」といたずらっぽく頼んでみた。
「分かった!」と安達はとてもやる気になっていたが、その笑顔を見れただけでも安達を家に上げた価値があるというものだろう。
安達を見送り、部屋に戻った。何か忘れてる気がするけど、まあいいか。

夕食の時間になり、わたしは家族と一緒に食卓に着いた。よく見たらヤシロも普通に座っている。何晩ご飯も食べる気でいるんだお前は。妹の友達である宇宙人をわたしの家にいることにもだいぶ慣れてきてしまい、今更怒るほどでもないけれど、やはり邪魔だからお引取りいただきたいものである。
食事を終えたあとは、風呂に入り、寝るまでダラダラして時間を潰す。日野から今度の日曜日に永藤と一緒にわたしの家に来てもいいかというメッセージが来たため了承したが、永藤はまだしも日野も暇なのかよ。
その日は安達とどこかへ出かける予定だけど……まぁ別に問題はないでしょう。それに、あの二人の相手はなかなか面白いし。
さて、明日は土曜日だし学校もないのだからゆっくりできるね、と思いながらベッドの上で眠りについた。
「しまむらさん、起きてください」
朝起きると枕元に置いてあったのは見覚えのある青い目覚まし時計だった。時刻を見ると6時半を回ったところだ。
まだ眠い。今日も休日なんだからもっと寝ていたかったんだけど、起こされちまったもんなぁ。しかしヤシロにこんな風に起こされるとは思いもしませんでしたわ。とりあえず布団をはぎ取ってみることにした。
「おはようございます。しまむらさん」
……はい、おかげさまで。とっても爽やかな朝ですよ。……うん、なんかいろいろとおかしくないかな? とりあえずわたしは目を覚ますためにシャワーを浴びることにし、着替えを済ませてから部屋を出ていく。そしてヤシロと共に台所に向かうとお母さんが既に朝食の準備をしていたのである。
「おやぁ~?いつもならまだ寝てるのに今日はやけに早起きじゃないの」とお母さんがニヤニヤしながら話しかけてきたのだが、「まぁ……ちょっと早く起きただけだから気にしないで。ほらヤシロもこっちおいでー」と言ってヤシロを呼ぶとヤシロはいつものように元気いっぱいに駆け寄ってきてわたしの脚にしがみついてくる。まったく、かわいいヤツめ。
朝ご飯を食べ終え、妹とヤシロは外に遊びに出かけていった。わたしはまだまだ寝足りないので自室に戻りしばらくの間ゴロゴロしていた。しかし、お昼になりお母さんから「お買い物お願いしていい?」とお願いされる。なんでも卵が足らないらしい。仕方ない、買いに行くとするかね。ついでに私が欲しいものも買うことにする。という訳でわたしは外行きの格好に着替えてスーパーへと向かったのである。

スーパーに着くと早速目当てのものを見つけた。売り場にはわたしと同じくらいの年齢であろう店員さんがいるのだがどうやら暇そうだ。ちょうど周りに客もいなかったし「すみません」と声を掛けるとすぐにこちらに気づき「はい!どうかなさいましたか!?」と声を張り上げて聞いてきた。いやまあ、そんなに大声で返事することじゃあないのでしょうけど……。まぁいいですけど。とりあえずカゴを手渡してからわたしは卵をかごに入れていく。あと必要な物は……おっ、ラッキー。アイスがあるじゃないか。これがあれば今日も涼しく過ごせる。後は飲み物でも見ていくとしようかな。
そう思い店内をぶらついていると……あれは。安達ではないだろうか。何を買うつもりなのだろうと後をつけると安達の手にはスポーツドリンクの入った紙パックがあった。なるほどねぇ……安達はこういうのが好きなのか。意外だなと思いつつ、ふむ、と顎に手を当て考える素振りをする。わたしは安達が買い物を終えてから話しかけようと決めてその場を離れた。
さてと、お母さんに頼まれたものはこれで終わりかな。レジに並ぼうと思ったその時だった。「あのぉ……」とわたしの肩が軽く叩かれる。振り返るとそこには安達が。
「あのさ、今ちょっと話しても大丈夫かな?もし良ければだけどさ……えぇと……どこか、お店の中で」と言うので、わたし達は近くにあるファミレスに入ることにした。

***
土曜日の朝、私は明日のしまむらの誕生日プレゼントを買うためにいつもより早起きして身支度を整えた。しまむらとは、去年から友達になり、今では親友と呼べる存在になっている。
しまむらと一緒に過ごし始めてから一年になるが、クリスマスやバレンタインでプレゼントを渡すことはあってもしまむらの誕生日を祝ってなかったなぁと思うと急に緊張してきた。しかしせっかくだし、今回は誕生日を祝いたいと思ってしまったのである。
しまむらへのサプライズとして何か良い案はないかと考えてみたのだが、結局思いつかなかったのである。
とりあえずショッピングモールに向かいながら考え事をしていると、突然後ろから「あのぉ」という声とともに背中がトンッと優しく押される。誰かが私にぶつかったのかと思い振り返ると目の前には一人の女子高生ぐらいの金髪のお団子頭の女性がいた。
彼女は「失礼いたしました。お怪我はありませんでしょうか?申し訳ございません」と言って深々と頭を下げていた。私は咄嵯に首を横に振ったが、この人は私に対して何をしたんだろうと疑問に思っていると彼女はこう続ける。
「ところで先程は何を悩んでいらっしゃったのですか?宜しかったら、わたくしめに教えてくれませんか?」
……いやそんなにかしこまって言わなくても別にそんな大したことじゃないんだけどなぁと思いつつも、「実は友人の誕生祝いのプレゼントを探していました。それで何か良いものが見つかるかと思いここに来たのですが……なかなかピンとくるものがありませんでした」と伝えると彼女は一瞬キョトンとしていたが、その後ニッコリ微笑み、「それならわたくしめにお任せください!」と胸を張ってそう言うのであった。
私は困惑しながらも金髪の女の子の話を聞いてみることに。
どうやら私が困っているように見えたから声をかけてくれたらしい。見た目に反して親切だ。
とりあえずその子に連れられて近くの雑貨屋に向かうこととなった。ちなみに私のことは安達さんではなく、名前呼びになったのだが……何故かというと「お名前の方がしっくりくるものでして……大変失礼いたしました……」とのことだった。
そして雑貨屋に入りしばらく二人で商品を見て回ると、彼女はチャームアクセサリーが気になっているようで、熱心に見つめている。そういえばしまむらも同じ物をよく眺めてる気がするなぁと思いながら彼女の横顔を見つつ店内を見て回っていると不意に彼女と目が合ってしまった。……うっ。なんだろう……とても見てはいけないものを見ている気持ちになるな。慌てて目を逸らすが彼女は特に気にもせず、笑顔で話しかけてきた。
「これなんかどうでしょうか?きっとご友人も気に入ってもらえますよ」と言うと手招きしてきたので私は彼女に近寄ると耳元でこう囁かれた。
「桜さんのことも応援しておりますので……どうか頑張るんですよ……」と小声でそう言われると、彼女は私にウインクしながらレジへ向かって行った。……あれぇ……今のってどういう意味なんだ?……そう思いつつ私達はレジに向かいレジで支払いをして、プレゼント用の包装をしてもらい、雑貨屋の外に出たのであった。

「見ず知らずの私のためにわざわざプレゼント選びまで付き合ってくださって本当にありがとうございます。感謝しています」とお礼を言うとその女性は満面の笑みを浮かべた後に「いえ、これも何かの縁ですし、あなたとお話出来たこと自体が嬉しいことなんですから」と言った。そう言ってもらえるだけで少し嬉しくなってしまうのは、彼女が美人だからか、それとも優しい人だったからか……。
私が金髪の女の子と話した後に二人で歩いているとあることに気付く。…………あれ? よく考えたら今わたし、この人にお世話になりまくりじゃないかとようやく気づいたのである。この人は親切に私を助けてくれたし……この人がいなかったら多分私は未だにしまむらへのプレゼント決められていないか、変なものを買ってしまむらに引かれるか、そんな感じだったと思うのだ。
「……あの、もし良かったらなのですが……ちょっとお礼をさせてくれないでしょうか?」と言うと、相手はとても驚いた表情をしたがすぐに元のニコニコとした様子に戻り「まぁそんなにかしこまらなくても良いのですよ。わたくしめが勝手にしたことですので……」と言い、そのままどこかに立ち去ろうとしたが……このまま何もせずにこの人と別れるのは……流石に良くないと私は思い、咄嵯にこう声をかけた。
「えっと……お名前教えていただけませんか?」
「……あらそうですか。わたくしめの名前は『アシュリー・ロウウェル』と申します。どうぞ気軽にアシュと呼んでもらっても構いませんよ」と笑顔で言うのであった。
いや待って……いきなり名前呼び!? 私は戸惑っている間にも「それではわたくしめはこれで失礼しますね。またどこかでお会いしましょう」と言って去って行こうとする。
「ちょっ……待って!」私は思わず彼女の服を掴み引き止めてしまった。
「どうされました?まだ何かありましたかな?」彼女は首を傾げて不思議そうな顔でこちらを見る。……正直言って私には何のプランも無いのだがここで「さよなら」するのはあまりにも情け無さすぎると思い……私は意を決して彼女にこんなことを言うことにした。
「私と友達になってください!そして私があなたに感謝していることを伝えるためにあなたの手助けがしたいです!」
私の必死の言葉を聞いてしばらく呆然としていた金髪の美少女だったが、やがて笑顔を浮かべながら口を開いた。「ふむ、なかなか面白そうですね。いいでしょう。この出会い、運命的だと思いますよ。もちろんお受けいたしましょう。これから仲良くやりましょう」と言って右手を差し出してきて握手をした。……なんでだろう。初めて会ったはずの相手にここまで心を開いてしまう自分がいる……一体この子はなんなんだ……と思っている内に私はその疑問をそのまま口にした。
「あの、ところで……なんであなたは私にそこまで親切にしてくれるんですか?」
すると彼女は笑顔のまま「あなたとはもっと仲良くなりたいからです。それに、この世界はまだまだ広いので色んな人と出会っていきたいのです。まあ……なんというか、わたくしはこの世界を隅々まで見て回りたいという気持ちがあるのです。それが楽しいかどうかは分かりませんが」と答えた。
……そうか、私はこの子に何かを感じたのかもしれなかった。理由はわからないけれど、私の中で彼女と仲良くなろうと思ったのだ。この子と一緒に居れば何かが分かる気がして……。
でも、私はしまむら以外の女の子のことがあまりよく分からなくて、どうやって仲を深めたら良いかなんて私には全く分からないけど……とりあえずこの子となら仲良くなれそうだと根拠は無いけれども思えた。……ただでさえ普段の会話だと私に話させてくれてないから……この機会でこの子と話すきっかけを作って、たくさん話をしたい。そんな気持ちになっていた。
私がそう思っていると「あら、あなたってそういう表情も出来るんじゃありませんか」と言われた。……え?どういうこと? そう言うとアシュリーはとても楽しげに笑みを浮かべた後に口を開く。
「だってあなた……今凄く良い表情をしていますもの。まるで恋をしているみたいですわ。……ああいえ、今の言い方はあまり良くありませんでしたね。そう、あなたはその方の事が好きなんでしょう?とても大切な人として」と言われ、顔が赤くなってるのが自分でも分かった。そんな様子を見ながらアシュリーは言葉を続ける。「大丈夫ですよ。あなたは魅力的な方なのですぐに相手の方もあなたのことを分かってくれますよ」と。
それを聞いて私は少しだけムッとしてしまった。どうしてか……この人とは初対面であるはずなのにこの人に私の想い人を知られるのが恥ずかしかったからだ。
私の想い人がしまむらだということは誰にも言わないようにしているが何故か彼女にはすぐにバレてしまう。きっとしまむらとの事を誰かに相談した時に「あら~、お姉さんの目は誤魔化せないですよぉ。あなたたち両想いなんだから早く付き合っちゃいなさい」とか言われちゃうんだろうなぁ……。ニヤけ顔をされながら。……という妄想をして私は頭をブンブン振るうと、再び目の前にいる少女の方を見て「ちっ……違いますから!」と叫ぶように言ったが相手はまったく気にもしていない。「ほらやっぱり。あなたって分かりやすいんですよ。ふふっ」と微笑んでいた。……なんだろう。すごく負けた気分になる。
私がそんなことを考えながら黙っていると「名残惜しいですが、あまり引き止めてしまっては次の場所に行く時間が遅くなりかねませんし、わたくしめはこの辺りで失礼いたしますよ。ではまたいつかお会いいたしましょう。あなたもどうか良い一日をお過ごしくださいませ」と言って立ち去って行ったのであった。
何だったのだろうかあの子は……。結局何も教えてはくれなかったし……謎過ぎる……。でも、なんというか不思議と一緒にいる時間は楽しく感じた。
それにしても、私がしまむらの事が好きって……なんでわかったんだろう。もしかしたらこの子には心を読める力でもあるんだろうか。……もしそうだとしたらとっても恐ろしい能力を持っていると思うけど……。私は心の中で呟いた。「……そんなのありえない」
私はそう言って頭の中で否定した後、渇いた喉を潤すために飲料売り場へ向かっていった。

飲料売り場に着き、私はふと目に入った紙パックのスポーツドリンクを手に取ってしまう。……あ、これ美味しいんだよねぇ。
私は手に持った紙パックを見つめながら思い出に浸っていると、突然誰かの視線を感じた。……誰かに見られているのかな?そう思って振り返ると他の客が買い物をしていて、私に向かって微笑んでいるわけでもなければ見向きもしていなかった。……気のせいか……。
でも、その視線が誰からなのか後々分かった。
会計をするためにレジへ向かうと、見覚えのある後ろ姿があった。……あの髪型であの身長であの服装。それはまぎれもない親友の姿。
私はその少女に声をかけ肩をポンと叩いた。すると少女がこちらを向く。そして目が合う。やはり、しまむらだ。彼女は一瞬だけビクッとすると驚いたような表情になり、「……あれぇ?安達じゃないですかー?」と言い、いつものような柔らかい笑みを浮かべた。
「……しまむらは何をしてるの?」と聞くと「いや~今日はまあ色々とありまして……」と歯切れの悪い答えが返ってきたので私はしまむらの手を掴んで引っ張り始めた。
「あのさ、今ちょっと話しても大丈夫かな?もし良ければだけどさ……えぇと……どこか、お店の中で」
「え!?あ!ちょっと待ってよ!」と言うしまむらを無視してそのまま私は店内を出ていき、しまむらは引っ張られるままに付いてくるのであった。

* * *
いきなりわたしをファミレスまで連れてきた安達は注文を終え席に着くなり口を開く。
「しまむら」
「……どうしたの急に改まって」
わたしはそう言うと、安達は少し照れたように笑いながらも「しまむらのためにプレゼント選んできたから明日楽しみにしてて」と言った。
「ふ~ん……。それなら期待してますぞぉ~……」と返すと目の前の少女が目を輝かせる。
安達はとても分かりやすい性格をしているなぁとわたしはこの少女のことを見ていると思うのだ。安達には何か目標みたいなものがあるみたいで時々こうして頑張っていることを教えてくれる。そういうところも良いと思うんだけどなぁ。……あ、これは秘密だからね。
それから安達はわたしの方を見ながら「私はしまむらと遊びに出かけたいけど、今まで他の子とそういったことをしたことないからどこに行けばいいのか分かんなくて……」と呟いた。安達も安達で悩み事があるんだろうけどそれを隠そうとしないのが彼女らしくて好感を持てる。
「じゃあさ。しまむらさんにご提案があるんですよー」と切り出す。安達の目が光る。
そしてわたしはある計画を思いついた。
「今度の日曜日。二人で遊園地に行くっていうのはどうかなー?」
安達が満面の笑みを浮かべながらわたしの提案を受け入れてくれた。
さあ、明日はわたしの誕生日。
安達はどんなプレゼントをしてくれるかな。楽しみに待ってますよ~。

* * *
……しまむらと、二人っきり……。私は頭の中でその文字を繰り返し、その度に心臓の鼓動が大きくなっていくのを感じていた。
でもなんだろう……。これって……。デート……になるのかな……。私はクリスマスやバレンタインの時の事を思い出しながら、自分の胸に手を当てた。
「……うぅん……。なんか違う気がするような……。でも……これしか思いつかないし……」
しまむらの誕生日まであともう少しだというのに私はまだ悩んでいた。しまむらと遊園地に行くという計画は上手くいったものの、私はしまむらに何を贈ればいいのだろうか。……そもそも、私には何ができるのだろうか。
そんなことを考えながら私は自室のベッドの上で寝転び、天井を見つめていた。「しまむらが喜ぶもの……。しまむらが好きなもの……。しまむらが欲しいと思っていること……。しまむらが……」
しまむらのことばかり考えてしまい、思考が止まらない。……そうだ。そういえば、あの時偶然出会った金髪の女の子のアシュリーと一緒にしまむらの誕生日プレゼントを選んでくれたっけ……。あの時は結局しまむらが気に入るものが買えなかったけど、今度こそはしまむらに喜んでもらえるようなプレゼントを選びたい。そう思った私は勢いよく起き上がり机に向かい、ノートを広げてペンを握る。
「……しまむらが好きなものは……なんだろう」
しまむらの趣味嗜好は把握できているつもりだ。
しまむらは、ぬいぐるみとか、かわいい小物やお菓子、甘いものに目がない。
私はスマホを手に取り、ネット検索を始めた。すると、あるサイトに行きついた。そこには『あなたにおすすめ!女子高生に人気のキャラクター!』と書かれていた。
「しまむらにぴったりなのは……これかな……」
私は早速そのページを開くと、しまむらが気に入りそうなキャラクターのイラストが描かれていた。
「このキャラならきっとしまむらが気に入ってくれるはず」
そう確信した私はスマホを置き、再びノートに向かった。

翌朝、待ちに待ったしまむらの誕生日当日になった。
今日は雲があまりない快晴で、絶好のお出かけ日和となった。私は朝早くに目が覚めてしまったのでいつもより少し早めに家を出てしまむらとの待ち合わせ場所である駅前の広場へと向かった。
「しまむら、まだ来てないよね……」
私は腕時計を確認してみた。時刻はまだ8時半だった。約束の時間まではあと30分ほどあった。
「あ、安達~」
声が聞こえてきたので振り向くとやはりしまむらの姿があった。しまむらは私に駆け寄ってきて「おはよう」と挨拶をした。
「うん。しまむら、おはよう!」と返すとしまむらが笑顔を見せた。しまむらの服装は白を基調としたパーカーに紺色のスカートを履いており、頭には白い帽子を被っていた。とても可愛かった。ちなみに私の格好はというと、黒いカーディガンに灰色のプリーツパンツを穿いていた。
「安達、早いね~」
「えっと……その……ちょっと早く目が覚めちゃってさ……。あ、でも……しまむらも早かったよ?」
「わたしはいつもこれくらいの時間に起きてるからさ。でも、こんなに早く起きてもやることがないんだよなぁ~」
「あはは……。確かに、まだ9時前だし……。どうしようかな……」
「うーん……。とりあえずどこかお店でも入って時間を潰す?」
「あ、じゃあ……。前に二人で来たことのあるあの喫茶店はどうかな?あそこのコーヒー美味しかったしさ」
「おぉ、いいねぇ。行こうよ」
というわけで、私達は以前二人で訪れたことがある喫茶店へとやって来た。
店内に入ると、マスターがカウンターの向こう側からこちらに向かって軽く会釈してきた。
「いらっしゃいませ。ご注文はいかがなさいますか?」
「うぅん……。どうしよう……。あ、そういえば安達は何にするの?」
「えぇと……。私はブレンドにしようかな……。あ、でも……やっぱりキャラメルマキアートにしようかな……。しまむらは……何にするか決めた?」
私はしまむらにメニュー表を手渡すと彼女はじっくりと見つめた後に顔を上げた。
「わたしはホットココアにしよっかな。すみません、ホットココアを一つ下さい」
しまむらがマスターに注文をしているのを見て私は思わず感嘆の声をあげそうになったがどうにか堪えることが出来た。……というより……しまむらは相変わらず決める時に即決するんだな。まぁ……そういうところが良い所でもあるんだけどさ……。そんなことを考えながら、私もマスターにキャラメルマキアートを注文した。
程なくして、注文した飲み物が運ばれてきた。しまむらが飲んでいるのは湯気が出ていて熱そうだったがとてもおいしそうだった。一方の私は冷め始めていたのですぐに飲むことはしなかった。
しばらく、二人で静かに飲み物を口に含んでいく。すると、しまむらがふとこんなことを聞いてきた。
「安達さんはこれからどうやって私を楽しませてくれるのかなぁ~?」
そう言われるとなんだかくすぐったい気分になる。私は慌ててしまうがなんとか平静を保った。すると、ここでようやく飲み頃になったので、一気にカップを傾けた。
そして中身を飲み干すとカップを置くと息を整えて話を切り出した。私はしまむらの顔を見ないように視線を落としながら口を開いた。私は今日、誕生日を迎えるしまむらのためにしまむらと親しくなった時と同じ喫茶店に来て、あの日のようにしまむらとお喋りをするつもりだった。もちろんそのことも考えていたけど今日はそれとは別にもう一つ、別の計画があったのだ。
その計画をするために今日はここへ来た。私は意を決してしまむらと顔を合わせた。しまむらが私の表情の変化に気づいてか少し怪しげな目で私を見た。……うん。大丈夫……。頑張れ私……。私は小さく深呼吸をして自分の胸に手を当ててから覚悟を決めた。
しまむらの目を見ると少し不安になりそうだけれどそれでも何とか耐えた。そして私は思いきってしまむらに向かって言葉を放った。
「あの……しまむら!私、ずっと考えてて……その……!」
私が言いかけるとその瞬間、しまむらが立ち上がってこちらにやってきた。
突然の行動に呆気に取られてしまったがしまむらはそのままの勢いでこちらへとやってくると私の身体を抱き締めてきた。しまむらにいきなり抱きつかれて動揺してしまい何も言えなくなってしまう。そんな状況の中でもしまむらが言った言葉を私は頭の中で繰り返していた。……しまむらが言ってくれた言葉を理解した途端、私の心はとても温かくなっていた。しまむらも同じような気持ちだったのかと思うと凄く嬉しかった。しまむらは私から離れると顔を真っ赤にしてこちらを見ていた。
しまむらが何を思っていたかは分からなかったが私にはしまむらがどうしてこの場から去らなかったかということが分かった気がして私は思わず笑ってみせた。するとそれに釣られたようにしまむらも笑みを浮かべてくれた。それがなんだかすごく嬉しくてつい口に出してしまった。その瞬間にしまむらが更に笑い出してしまい、何だか可笑しい雰囲気になってしまい私は照れて俯いてしまう。そういえばしまむらとこんな風に話すのは初めてなのかもしれないなと思ったりした。……思えばしまむらが笑う所なんてあまり見たことがなかったような気もするな……。
しばらくしてお互いに落ち着きを取り戻すと私も椅子に座って話を再開することにした。しまむらも座り直した後で何かを思い出そうとするかのように顎に手を当てると言った。
「あー……、それでわたしはどんなプレゼントを用意してくれるんだっけ?」
「うん。私ね。……私と一緒に写真に写って欲しいと思って……」
「ん~……、それじゃつまらなくない?もっと面白いことを考えようよ」
そんな事を言われたものだから私は困惑してしまった。どうしよう……。確かに私だけ写真を撮ったって面白くはないかもしれない……。しかしそうなると一体どうすれば良いというのだろうか……。私は必死になって頭を悩ませた結果、ある結論に至った。
「えっと……そうだなぁ……私と一緒にどこか遊びに行った記念としてしまむらにプレゼントをあげる……というのはどうかな?」そう言うと私はチラッと横目でしまむらの顔を見てみた。
するとしまむらは私の方を見ながら、少し驚いた表情を見せた。それは少し困った表情にも見えていたがしまむらは小さく微笑むと答えた。「まあ、いっか」と呟くように言った。そして私の方を向き直すといつもの明るい笑顔を見せて「分かったよ。その方が楽しいもんね」と言ってくれた。私にはそれが嬉しく感じられた。
そうしてしまむらと遊ぶ約束を取り付けた私は早速計画を練り始めた。……とはいえしまむらと出かけた経験がないわけではないので今回に限って言えば計画を立てるまでもないかもしれない。それでも一応考えておかなければならないので私は色々なことを想定しつつ計画を立てていった。
まずは、この前しまむらと約束していた通り遊園地で遊びに行くために会計を済ませて二人で駅へ向かうことにした。途中、道なりにあった雑貨屋に寄り、昨晩メモしておいたしまむらへのプレゼントを買ってから駅で合流した。
「ごめんねしまむら……。お待たせ……。待っててくれた……よね……?」私が恐る恐る尋ねるとしまむらは無言のまま私の顔を覗き込むようにしてこちらを見てきた。……しまった。怒らせてしまったかな……。私はしまむらから視線を逸らすことが出来ず固まってしまっていたがしまむらが不意にこちらから目を離した瞬間、「ぷふっ」という声が聞こえてきそうなくらい口元が綻んでいたのが見えてしまい私は思わず笑ってしまいそうになったのだが何とかこらえることができたのだ。しかしその直後にはまたしまむらと目が合ってしまったので再び硬直してしまったのであった。

遊園地に到着してしまむらとアトラクションを楽しむことになったわけだが私は緊張してしまっていて何だかあまり楽しめなかった。……しまむらもどこか元気がなさそうに見えたがその理由までは聞けなかったので分からないまま時間が過ぎて行った。しかし私としまむらが並んで歩いていた時に他の学生グループから「あの子達、恋人同士かな」「姉妹みたいだね」と囁かれているのが耳に届いてきて、しまむらも同じような気持ちになっているんじゃないかと思ったりしたので私はしまむらの手を取ってみることにした。手を握ってしまむらの反応を見てみるとしまむらの顔は真っ赤に染まっていたが特に嫌がっているようには見えなかったのでそのまま握った手を握り締めると、しまむらは俯いてしまい何も話してくれなくなった。
そして私たちは昼食を取るために移動し始めようとするも、どこも混んでいて空きを見つけることが出来なくてどうしたものかと思っているうちに、私たちが向かった先では何かイベントが行われているようだった。するとそこに「カップルでの参加はこちら!」と書かれた紙を目にして私としまむらはすぐにそれに参加することにしたのである。
「えぇと……カップル限定のお化け屋敷です……だってさ……」
「……うん。いいよ。行ってあげても。わたしと……デート……したくない……?安達」
私はその問いに対して首を縦に振った。「行きたい」とはっきり言うと、しまむらはとても嬉しそうにしていたのを見て、私の顔まで赤くなっていたと思う。……その後すぐに私たちは係員の人にペアであることを証明するものを提示し、二人揃って中へと足を踏み入れたのであった。
二人で参加したお化け屋敷であったが想像以上のクオリティの高さで観客たちの恐怖心をさらに煽るような演出になっていた。その効果があったのか分からなかったが、私たちは途中で怖がりながらもお互いに手を繋ぎながら出口へ向かって進み続けたのである。……結局私だけがしまむらを怖い目に合わせちゃってた気がするがそれはともかくとして無事、お化け屋敷を脱出することができた私は安堵感に包まれていた。しまむらも同じようで心底ほっとした表情を見せていた。
しまむらは、私の方を見ると、ふっと微笑んでから、私から少し離れてこう言った。「お疲れ様。もうちょっと休んでから次行こっか」
「う……うん。お……お疲れさま……」私はしまむらに話しかけられビクッとなり、顔を赤くしながらも返事をした。そしてしまむらと一緒にしばらく待つことになった。……しかしその間も周りの人は楽しげに話し続けているのでとても気まずかった。そんな中でもしまむらだけは私から視線を外さなかった。私はそれが嬉しくて、つい視線を逸らしてしまったのであった。
その後、遊園地内にあるベンチに座って休むことにした。しかしそこでしまむらが私の頬っぺたをつつき始めて、「あだち〜」と何度も名前を呼び続けていたので、「やめて……恥ずかしいよ……」と言うと、しまむらに笑われてしまったのであった。……しまむらに弄ばれる日になるかと思いきやしまむらもどこか元気がなかった。私は心配してそのことをしまむらに伝えると、「わたしは平気だよ」と言われたが私はしまむらのことが好きだったのでどうにかしてあげたいという想いが強くなっていた。
しかししまむらに何かしてあげる方法なんて思い浮かばなかったのでどうしようもない状態になっていたのだが、私が何も言わずにいるとしまむらの方から声をかけてくれた。しまむらの声を聞くと何故か落ち着くことが出来て私から話を振れるようになったのである。私はしまむらの手を握ることが出来たが特に嫌がっている様子はなかった。

そして私たちは昼食を食べるために移動するもどこも混んでいて空きを見つけることが出来なくてどうしたものかと思っているうちに私たちが向かった先では何かイベントが行われているようだった。
するとそこに「本日カップルの方に嬉しいプレゼント!」と書かれた紙を目にしてしまむらは私に向かって手を差し出してきた。またもやしまむらに手を握ってほしいという意思表示なのだと思ってしまむらの手を握った。
「しまむら、手……繋ぐ?」
「……うん。繋いでも……いいかな……」
「う、うん!もちろん!」
そうしてしまむらと手を繋ぎながらイベントに参加した私たちだったが、しまむらはあまり乗り気ではなかったようだ。
しかし、しまむらは私とデートをしているのが楽しいと言ってくれたので私は嬉しくなった。
「……うんっ。ありがとね。わたし、こんな風に誰かとデートするのが夢だったんだぁ。だからさ、今日一日、よろしくお願いします」
しまむらはそう言って頭を下げてきたので、私は慌ててしまむらに顔を上げさせた。
「わ、わかったよ。……えっと、その、……お誕生日おめでとう……しまむら」
私はしまむらのお祝いの言葉を口にした。
しまむらは私にお礼を言うように微笑みながら私の頭を撫でていた。
「ありがとう。嬉しいな。わたし、友達からお誕生日を祝ってもらうのって初めてなんだよね。だから……すごく……すっごく嬉しいよ。……あの、さ、その……これから毎年お祝いしてくれると……嬉しいんだけど……」
しまむらは照れくさそうな表情をしながらそんな提案をしてきて私はしまむらのことを抱きしめたくなる衝動に襲われた。しかし私はその気持ちを抑えてしまむらに返事をした。
「うん……分かった……。来年からずっと……しまむらの……お誕生日……お祝いさせて……ください」
「うん……約束だよ……?」
しまむらは私の手を握りながら微笑んでいた。私はしまむらに握られた手をじっと見つめていた。
「……う、うん」私は返事をした。
しまむらは、私に返事をされて嬉しかったのか私の手をぎゅっと強く握りしめてきて、私も負けじとしまむらの手を強く握り返した。
私はしまむらの顔を見上げるとしまむらと目が合い、お互いに見つめ合う形になる。
しまむらの瞳はどこか寂しげな雰囲気を感じさせ、まるで捨てられた子犬のような目をしていたのだ。
私はしまむらに視線を合わせるためにしゃがみ込んでしまむらと視線の高さを合わせた。そしてしまむらに話しかけた。
「……大丈夫だよ。しまむらが嫌なら……しないから……」
私はしまむらに優しく声をかけた。
するとしまむらは私の言葉を聞いて安心したのかいつもの調子を取り戻して笑顔になった。
「あ、そう?じゃあ、お願いしようかな……」しまむらはそう言うと私に背を向けた。
「う、うん……」私は緊張しながらしまむらの手を取った。
「……」
しまむらは何も言わずに歩き始めた。
しまむらの手は柔らかくて温かくてとてもいい匂いがしてドキドキしてしまう。
しまむらの指先に触れるたびに心臓の鼓動が速くなっていくのを感じる。
私が手を握るとしまむらはゆっくりと私の方を向いてきた。
「……あのさ、ちょっといいかな?」
しまむらがそう言ってきたので私は「なに……?」と聞き返すとしまむらは少し困ったような表情を浮かべていた。
「なんかさ、カップル関係のイベント多い気がするけど……どう思う?」
「……そういえばそうだね。なんか……そういうイベントがあるみたいだよね……」
しまむらの問いかけに対して私はそう答えた。
するとしまむらは私の手を掴んで顔を近づけてきた。
突然のことに驚いているとしまむらは私の目をじっと見つめてきた。
しまむらの瞳があまりにも綺麗で私は思わず息を呑んだ。
「あのさ、もし……わたしが明日死んじゃうとしたらさ……どうする……?」
「え……?」
しまむらの言葉に私は戸惑いの声を上げた。
「……なんてね。冗談だよ」
しまむらはそう言って微笑みながら私の頭を撫でていた。
「もう……しまむらったら……」
私は頬を膨らませながらしまむらを睨みつけた。
「あはは、ごめんごめん」
しまむらは謝るように笑いながら私の肩に手を置いてきた。
「……でも、本当に大丈夫?」
「うん。平気だよ」
「……無理しないでね」
「ありがとう」
しまむらと会話をしていると私達の前に順番待ちの行列ができていた。
私はしまむらと一緒に並んでいた他の客を観察していた。並んでいる客の大半は若い男女の組み合わせだった。
カップルというより夫婦のような雰囲気を感じさせるカップルや、恋人同士なのか分からないくらい仲の良さそうな二人組もいた。
そしてカップルの他にも家族連れの姿もあった。
「……カップルばっかりだね……」
私は隣にいるしまむらに声をかけた。するとしまむらは「そうだねー」と言って笑顔で私を見つめてきた。
私も他のカップルのように腕を組んだ方がいいのかな? 私はしまむらの腕に自分の手を伸ばしたが、途中で手を止めてしまった。
私からしまむらに抱きつくのはまだ勇気がいるのである。
そんなことを考えながら歩いているとしまむらが「あ、見てみて!あれかわいい!」と言いながら走り出した。
しまむらの指差す先には可愛らしい猫のぬいぐるみがあった。
「本当だ……。確かにかわいいね……」
私はそう言いながらしまむらと一緒にその店に入っていった。
「お姉さん、これください」
しまむらは店員のお姉さんの方に駆け寄ると笑顔でそう言った。
「はい、かしこまりました。では、こちらでお会計の方お願いします」
「はーい」
しまむらはそう言うとお財布を取り出していた。
「えっと……合計で……2200円ですね」
「じゃあこれでお願いしまーす」
しまむらはそう言ってお札を一枚差し出していた。
「はい、ちょうどいただきます。レシートと領収書です」
「ありがとうございます。それでは、失礼します」
しまむらはそう言ってレジから離れていった。

私はしまむらと一緒に店を出てお昼ご飯を食べに歩いていた。
「ねえ、安達」
「どうしたの?」
私はしまむらに声をかけられたのでしまむらの方を見た。
「安達は何食べたい?わたしはねー、オムライスがいいかな」
「……え?」
しまむらの言葉を聞いて私は思わず声を上げてしまった。
「どうしたの?」
「あ……ううん。なんでもないよ」
「ふーん……?」
しまむらは不思議そうな顔をしながら私の顔を覗き込んできた。
「あ……うん……なんだろうね……」
私はしまむらの視線から逃れるように目を逸らしながらそう答えた。
「……なんか怪しい……」
しまむらはそう言ってジッと私を見つめてきた。
「ううん。本当に何でもないの。気にしないで……」
私は慌てて首を横に振った。
「そう?」
しまむらはそう言って再び歩き始めた。
しばらくしてしまむらは立ち止まると振り返ってきた。
「……安達」
「……どうしたの?」
「……さっきのあれ、どういう意味?」
「……え?」
私はしまむらにそう言われてドキッとした。
「だから安達がわたしに何かサプライズなことしてくれるんじゃないかなって……」
「えっ!?」
私は驚いてしまい思わず大きな声を出してしまった。
「……え?まさか違うの?」
しまむらは驚いた表情を浮かべながら私を見つめてきた。
「えっと……その……」
私は口籠もりながらしまむらから目を逸らした。
「……実はね……」
私はそう言ってチラッとしまむらの顔を見た。するとしまむらは真剣な眼差しで私を見つめていた。
「あの……私はいつもしまむらと一緒にいると楽しいというか暖かいというか……、よくわからないけどそういう気持ちになるんだけど、それはしまむらも同じなのかなって思って……」
「え?……まあそうだね。でもどうして?」
しまむらは不思議そうな顔をしながら私を見つめていた。
「その……最近気がついたんだ。しまむらと一緒に過ごす時間がとても幸せだなって……」
「……そうなの?」
「うん……。それにしまむらと一緒にいると落ち着くっていうか……その……なんていうか……」
私はしまむらを真っ直ぐ見つめながら言葉を続けた。
「しまむらと一緒にいるとすごく幸せな気分になれるの……。しまむらのことを考えるだけで胸が熱くなってドキドキして……、それで、もっとしまむらと一緒にいたいなとか、しまむらが他の誰かと一緒にいたら嫌だって思っちゃうようになって……」
「えっと……つまりわたしと一緒にいて楽しいってことでいいのかな?」
「うん……」
私は小さくうなずいた。
「ふーん……」
しまむらはそう言うと私から目を逸らした。
「えっと……どうしたの?」
私は恐る恐るしまむらに声をかけた。
「なるほど……安達はそんなことを考えてくれていたのか……」
しまむらはそう言って腕組みしながら私を見つめてきた。私は恥ずかしくなり俯いたまま何も言えなかった。
「……まあ、確かにわたしは今までの人生で友達と呼べる存在はいなかったし、そもそもあまり人と関わりたくないと思っていた」
「……」
私は黙ったまましまむらの言葉を聞き続けた。
「だから正直安達と出会って最初はどう接したらいいかわかんなかった」
「うん……」
「でも安達と過ごしていくうちに安達のことがだんだんわかってきて、安達と一緒にいると落ち着くなって思うようになった」
「そうだったんだ……」
「だから安達がわたしのことをそう思ってくれたのは嬉しい」
「しまむら……」
私は嬉しくなってしまむらを見つめた。
「まあ、わたしもあんまり人と関わるのが得意じゃないけどね」
「そうなの?」
「うん。でも安達と一緒にいる時間はすごく楽しいよ」
「えっ!?」
私は驚いてしまむらの顔を見た。
「それに安達と一緒にいると落ち着くっていうか、安心感があるっていうか……、とにかく安達には感謝してるんだよ」
「えっ?」
私は思わず聞き返してしまった。
「え?……何か変なこと言った?」
しまむらはキョトンとした表情を浮かべながら私を見つめてきた。
「そ、そうなんだ……あ、うん……。その……、ありがとう……」
私は照れながらしまむらを見つめた。
「……えっと……じゃあ、その……よろしくお願いします……」
しまむらは顔を赤くしながら頭を下げた。
「う、うん!こちらこそ!」
私も慌ててしまむらに向かってお辞儀をした。そして私たちは顔を上げた後、お互いの顔を見て笑い合った。

「……えっと……とりあえず……どこか座れる場所に移動しようか……」
「……そうだね」
私の提案に対してしまむらが同意したので、私たちの足取りに合わせて椅子が並べられたスペースへと移動した。私は近くのベンチに座って、しまむらは私の隣に腰掛けた。
それから少しの間沈黙が続いた。しかし不思議と居心地の悪さは感じなかった。
「……えっと……その……しまむら……」
「なあに?」
「その……さっきはいきなり変なことを言ってごめんなさい……」
「別にいいよ。わたしだって変なこと言ったわけだし……」
「ううん……しまむらは何も悪くないよ……」
「そうかな?まあ、わたしとしてはあの時、安達がわたしのことを大切に想ってくれてるんだなってわかっただけでも十分嬉しかったけどね」
「そ、そう……」
「それじゃあ、早くお昼食べよっか」
「うん……」
私は小さくうなずき、近くの店へ入った。
「安達は何にするの?」
「私は……これかな……」
私はそう言ってチャーハンセットのメニュー表を指差した。
「じゃあ、わたしも同じのにしようかな」
「えっ?本当にいいの?私のと違うのでいいんだよ?」
「いいよいいよ。わたしも食べたかったし」
「そう?じゃあ、これにします」
しまむらは店員さんを呼び、注文を伝えた。しばらくして料理が運ばれてきた。
「いただきます」「いただきまーす」
私たちはそう言い合って昼食を食べ始めた。
「そういえば、安達今日はチャイナドレス着て来なかったよね」
「えっ!?」
私は驚いてしまった。
「ほら、前にわたしと一緒に出掛けた時に安達がチャイナドレスを着てきたことがあったじゃん」
「あ、ああ……あれは……その……たまにはそういう格好もいいかなって思って……」
私は恥ずかしくなって下を向いて答えた。
「うんうん。よく似合っていたよ。あの時はちょっとびっくりしたけどね」
「あはは……そうだったんだ……」
「でもあの時の安達は可愛かったなぁ……」
「えっ!?」
しまむらの言葉を聞いて私は驚いた。
「どうしたの?」
「いや……その……しまむらも私のことを可愛いと思ってくれていたんだなって……」
「そりゃあ、わたしだって女の子だからね」
「そう……なんだ……」
私は少し照れながらしまむらを見つめた。
「うんうん。そうだよ。安達のことを見ているとね、何だかこう……守ってあげたくなるっていうか、可愛がってあげたい気持ちになるんだよね」
「……そうなんだ……」
「うん。そうだよ」
しまむらは優しい笑顔を浮かべながら言った。
しまむらは私のことを見てくれている。私のことをちゃんと見ていてくれる。私という存在を認めてくれている。その事実が私にとってはたまらなく嬉しかった。
私の中でしまむらの存在がどんどん大きくなっていく。
この想いが止まらない。しまむらのことを考えるだけで胸がドキドキして、身体が熱くなって、頭がくらくらしてしまう。こんなことは生まれて初めてだった。
私がしまむらのことを好きになったきっかけは何だっただろうか。しまむらと一緒にいるうちに、彼女の魅力に惹かれていったのか、それとも別のきっかけがあったのか……。今となってはもうわからないけれど、しまむらと一緒に過ごす時間がとても心地良くて、気が付けばしまむらのことが大好きになっていた。しまむらと一緒に過ごしたい。ずっとしまむらの隣に居たい。そう思ってしまうくらいに私はしまむらに夢中になっている。
私はそんなことを考えながらしまむらとの時間を過ごしていた。
「チャーハン美味しかったね」
「うん!すごくおいしかった!」
「安達がチャーハンセット頼んでくれたおかげだよ。ありがとう」
「いえいえ、こちらこそ。しまむらと一緒にご飯食べれて楽しかったよ」
「そう?なら良かったよ」
しまむらは優しく微笑みながら言った。
「あはは……そういえば、しまむらっていつもその髪型だよね」
「うん。そうだよ」
「何かこだわりとかあるの?」
「うーん……特にないけど……強いて言うなら手入れが簡単なことだね。わたしは面倒なことは嫌いなんだよ」
「あはは……そうなんだ……」
しまむらは気怠げな様子で言う。
「お昼食べ終わったし、ちょっと休憩しようか」
「うん」
私たちはベンチに座って休むことにした。
「ふぅ……」
しまむらが息をつく。彼女は私の肩にもたれかかってきた。
「あ、しまむら……」
「……うん?」
私はしまむらに声をかける。
「えっと……その……どうしたの?」
「え?」
「あ……いや……なんか……その……さっきから私の方をじーって見てたような気がしたんだけど……」
私がそう言うとしまむらはハッとした表情を浮かべたあと「あはは……」と困惑したように笑った。
「…………」
「…………」
しまむらが黙ってしまったため沈黙が流れる。私は何か話題がないかなと思いつつ視線を動かしてみた。すると観覧車の方角に目が行った。
「あ……」
私は思わず声を上げてしまった。しまむらが不思議そうにこちらを見つめてくる。私は慌てて口元に手を当てた。
「あ……えっと……その……観覧車……」
「ん?観覧車がどうかした?」
「いや……あの……なんというか……綺麗だなって思って……」
私がしまむらにそう言うと彼女は窓の外を見て「本当だ」と言った。
「……乗りたいの?」
「えっ!?い、いや!そんなことはないよ!ただ……その……しまむらが乗っているところを写真に撮りたいなって思っただけで……」
「ふーん……」
しまむらはそう言いながら私のことをじっと見つめてきた。私は目を逸らして「いや、だから……その……別に変なこと考えてたわけじゃなくて……」と言い訳をする。
「あはは。冗談だよ。安達がそんなこと考えてるなんて思わないよ」
「え……?」
しまむらはそう言って笑った後、少しだけ真剣な表情をして「安達」と私の名を呼んだ。
「はい」
「……実はさ、今日は少しだけ無理してたんだ」
「……そうなの?」
「うん。……でも、楽しかったよ」
しまむらは優しい声で言った。その言葉を聞いて、私は胸が温かくなっていくのを感じた。
「……よかった……」
私はそう呟いたあと、小さく息をつく。

少し休んだ後、しまむらは両腕を伸ばしながら口を開いた。
「さて、観覧車は最後に乗るとして、次はどこから乗ろうかな」
しまむらがそう言うと私は少し考え込む。
「えっと……しまむらが行きたいところでいいと思うけど……」
「うーん……そう言われてもね……」
しまむらが困ったように笑う。私はしまむらが悩んでいる様子を眺めていた。
「あ、そうだ」
しまむらがポンッと手を叩く。
「じゃあ、あそこに行ってみようか」
しまむらが指差したのは『コスプレ衣装貸出コーナー』と書かれた看板だった。
「えっと……あそこ?」
私が尋ねるとしまむらが「うん」と言って歩き出す。私はその後を追うように歩く。
「えっと……ここか……」
しまむらが立ち止まり、店内を見渡す。そこにはアニメや漫画に登場するキャラクターの衣装が並べられていた。
「えっと……あ、これとかどう?」
しまむらが手に取ったのはライトストーンが散りばめられた帽子に紺色のベスト、そして黒のショートパンツと、クール系のアイドルをイメージしたような格好の衣装だった。
「すごく似合ってるよ」
「そういう安達もかわいいよ」
私が着ているものはしまむらが選んでくれたものだ。私は自分の服装を見てみる。
私が着ている衣装は、黒を基調としたゴシック系の服だ。
「えっと……変じゃない?」
「全然変なんかじゃないよ。安達にはこういうのが似合うと思ったんだよ」
しまむらが微笑む。私は思わず顔を赤くしてしまう。
「あ……ありがとう……」
私が照れながらそう言うとしまむらが微笑む。
「もしよろしければ記念にお二人の写真を撮らせて頂けませんか?」
突然声をかけられたのでそちらの方を見るとカメラを持った係員さんがいた。私は少しだけ迷ったが「お願いします」と言った。
「ではこちらに来てください」
「はーい」
「は、はい……」
私たちは係員さんの案内に従いながら店の奥へと進む。
「こちらです」
そう言って係員さんはカーテンを開く。そこにはたくさんの小物が並べられていた。
「おお……」
しまむらが感嘆の声を上げる。
「お二人とも美人さんなので今着られている衣装もすごく似合っていますよ」
係員さんがそう言うとしまむらが「そうですかね」と照れたように笑った。
「では、写真撮りますね」
そう言うと係員さんはカメラを構え私達は指定の場所に移動した。
「はい、じゃあポーズ取って下さい。笑顔を忘れずに」
そう言われ私はしまむらを見る。しまむらが微笑んだのを見て私は少しだけ口角を上げて笑った。
「はいチーズ」
カシャッという音が鳴り、撮影が終わる。
「ありがとうございます。現像したらお渡ししますね」
「こちらこそありがとうございます」
しまむらがそう言い、私は係員さんに頭を下げる。
「こちらはカップル限定イベントのサービスですので」
「あ、そうなんですか」
係員さんの言葉を聞き、私は驚く。
「はい。あちらのテーブル席にどうぞ」
「あ、どうも……」
私は係員さんの指示に従い、椅子に腰掛ける。すると、隣に座っていたしまむらが私の方を見て微笑む。
「安達の服もかわいいね。わたしよりスラっとしてて美形だしモデルに向いてるかも」
「え……あ……ありがとう……。わ、私なんかよりしまむらのほうが美人だよ」
私は照れてしまい顔を赤くしながら答える。
「あ……そうだ。これあげるよ」
そう言ってしまむらがバッグの中から何かを取り出した。それは綺麗にラッピングされた箱だった。私はそれを受け取ると「開けても……いい?」と尋ねた。
「うん。もちろん」
私はリボンを解き、包み紙を開ける。中には黒い手袋が入っていた。
「わぁ……かわいい……」
私はその手袋を手に取り眺める。
「気に入ってくれた?」
「う、うん……」
私は思わずしまむらの顔を見てしまう。
「よかった」
しまむらが嬉しそうに微笑む。私はなんだか照れくさくなって目を逸らしてしまう。
「あ……ありがとう……」
私がそう言うとしまむらは「いえいえ」と言いながら微笑んだ。
そうだ……。この流れでしまむらに誕生日プレゼントを渡そう。
本当は観覧車に乗っている間に渡したかったけど、今ならまだギリギリ間に合うかもしれない。
私は鞄の中に手を入れ包装された箱を二つ取り出し、意を決してしまむらに話しかけた。
「あ、あのさ……しまむら……」
「なに、安達?改まっちゃってさ?」
「こ、これ……」
私はそう言いながら昨日アシュリーに選んでもらった分と今朝買った物が入った箱を渡す。
「え……これ……わたしにくれるの?」
「う、うん……。しまむらのために選んだんだ……」
「ありがとー!早速開けていーい?」
「うん……。どうぞ」
「じゃあ遠慮なく」
そう言うとしまむらはラッピングされた箱のリボンを解き、中身を確認する。そして、それを手に取ると目を輝かせた。
「おぉ……。これは……!」
しまむらが先に取り出したのは桜を模したチャームアクセサリーだ。
そういえば私はアシュリーに自分の名前を教えてないはずなのにどうしてわかったのだろう。
不思議に思いながらも、私はしまむらの喜んでいる顔を見てるとそんな疑問も些細なことだと気にならなくなった。
「これ……いいの?」
「うん……。もちろん」
私がそう言うとしまむらは笑顔で「ありがとう」と言った。
「もう一つの方も開けてみてもいい?」
「うん……。どうぞ」
私はそう言い、しまむらが包装紙を取り外し箱を開ける。
「おぉ……。こっちにはネックレスが入ってる」
「うん……。それもしまむらをイメージして選んだんだ」
「ありがとう。大切に使うね」
しまむらがそう言いながら微笑む。私はその笑顔を見て胸が高鳴るのを感じた。
私はしまむらの笑顔を見ると、いつも幸せな気持ちになる。
しまむらと一緒にいるだけで私は春の温もりのような優しい心地よさを感じるのだ。

そうこうしているうちに現像が終わったみたいで係員さんがプリントアウトした写真を持ってきてくれた。
「こちらの写真になります」
「おお……これは……」
「すごいですね……」
私たちが受け取った写真を覗き込むとそこにはまるで鏡合わせのようにお互いの姿を映し出している二人が写っていた。
「わぁ……こんな感じになってたんだ……」
しまむらが驚いたように呟く。
「そうだね……」
私はしまむらの言葉に相槌を打つ。
「ねぇ……安達……」
「ん?どうしたの?しまむら……」
「この写真……もらってもいいかな?」
「え……?」
私はしまむらに渡した写真を返してもらおうとするが、しまむらはそれを拒否した。
「ダメ……?」
「え……?でも……それは……」
「この写真、欲しいなー」
「うぅ……」
「お願い」
「うう……」
私は渋々写真を渡そうとしたその時、係員さんが「あの……」と声をかけてきた。どうやら今の私としまむらのやり取りを見て少し気まずそうな顔をしていた。
「あの……もしよろしければもう一枚私のサービスで撮影してもいいですか?」
「え?」
「あ、はい。いいですよ」
私たちは突然の提案に驚き、少し固まってしまう。しかし、しまむらは即答し、私はしぶしぶ了承した。
「では……お二方ともあちらの方にお立ちください」
店員さんがそう言いながら指さす方向には背景用の大きなパネルが設置されていた。そしてその前にはカメラマンらしき人が立っていた。
「はい……。わかりました」
「じゃあ行きましょう」
私はそう言い、しまむらと一緒に指定された場所まで移動する。
「じゃあ撮りますよ〜」
「はーい」
「はい……。チーズ」
カシャッという音と共にシャッターが切られる。そしてしばらくして写真が印刷され、しまむらはそれを手に取る。
「おぉ……。これは……!」
しまむらがそう言いながら写真を確認する。
「さっきのも良かったけどこれも良いね」
しまむらがそう言いながら写真を眺める。
「うん……。しまむらが喜んでくれて嬉しいよ」
私がそう言うとしまむらは笑顔でこちらを見る。
もう一度しまむらとの記念撮影のチャンスを与えてくれた係員さんには感謝してもしきれない。
「私はどっちでもいいから先にしまむらが気に入った方選んでよ」
「ん〜……。じゃあこっちで」
しまむらが選んだのはついさっき撮った写真のほうだった。
「わたしもどっちも好きだけど、こっちの方がわたしたちらしいというか……」
しまむらが照れくさそうに答える。
「うん……そうだね……」
私はそう言いながら微笑む。
「そろそろ夕方になるし、今から着替えて観覧車乗りに行こっか」
「え?いいの?」
「いいよ。せっかく来たんだし乗ろうよ」
「そうだね。よし!じゃあ早く乗らないと」
私たちはそう言って観覧車乗り場へと向かう。
「おぉ……。すごい行列だ……」
「まぁ……人気だからね……」
「うぅ……」
「大丈夫だよ。わたしもいるしさ」
「うん……」
私たちが列に並ぶとすぐに前の人たちが動き出し、私としまむらもその流れに乗って進む。
とうとう私たちの番が回ってきた。
「うわぁ……すごいな……」
「うん……」
私としまむらは目の前に広がる光景を見て感嘆の声を上げる。
西側の空からオレンジ色に染まり始め、淡い青色と白い雲が合わさり幻想的な世界へと誘われそうになる。
「綺麗……」
「うわー……」
私たちはしばらく言葉が出なかった。
「これは……予想以上だね」
「うん……。でも……」
「うん?」
「しまむらの方がもっと綺麗……」
「え?」
しまむらが驚いた顔で私を見る。
「いや、その……。えっと……」
私は恥ずかしさのあまり顔を背ける。しかし、ここで言わなければ一生言えない気がした私は勇気を振り絞る。
「その……、しまむらといると楽しいなって思って……。それにしまむらと一緒にいたらドキドキして……」
私はしまむらの顔を見つめる。するとしまむらは頬を赤く染めてこちらを見る。
「そっか……」
しまむらはそう呟くと私の手を握る。そして私にこう言った。
「わたしもだよ」
私は驚いてしまう。まさかしまむらも同じ気持ちだったなんて。
「え?しまむらも……?」
「うん……。わたしも……ずっと前から好きだったよ」
「そっか……」
私はそう言いながら微笑む。
「でも……こんなわたしでもいいの?」
「もちろん。しまむらだから好きなんだよ」
「ありがとう……」
私はしまむらの手を握る力を強める。
「じゃあ……行こっか」
「うん」
私たちは観覧車から降りて、歩き出す。

「今日は楽しかったね」
「うん。本当に来てよかった」
「わたしも。誘ってくれてありがとね」
私たちはそんな会話をしながら家路につく。
ふと私は空を見上げると、月が綺麗に輝いていた。
私は思わず立ち止まり、しまむらも足を止める。
しまむらが私を見て言う。
しまむらは少しだけ照れくさそうにしながら口を開く。
「あのさ……安達……。誕生日に友達と遊びに行くの初めてなんだよね……」
「え?そうなの?」
「うん……。だからさ、こんな風に家族以外の誰かに祝ってもらえたのは初めてだったから……、なんか嬉しくて……」
しまむらははにかみながら私を見る。その表情が可愛くてつい見惚れてしまい、私は胸が熱くなるような感覚を覚える。
「そっか……。ならよかった……」
「うん……。だからさ……これからもよろしくね、安達」
「うん。こちらこそ……」
「ふふふ……」
「あはは……」
しまむらが笑い出し、つられるように私も笑ってしまう。
今日はしまむらがこんなにも楽しんでくれたみたいで本当によかった。
今までの私のままだったら他の誰かと遊んだり誕生日を祝ったりはしていないだろう。
でも今は違う。しまむらと一緒にいると安心して楽しくてドキドキして……。
それぐらいしまむらは私にとって大切な存在になっていた。
「ほら、早く行こっ」
しまむらに促され、私たちは手を繋いで歩き出す。しまむらの手はとても柔らかくて温かくて気持ちいい。
しまむらの言う通りだ。私はしまむらと一緒にいるだけで幸せで、この時間が永遠に続けば良いと思っている。でも、そう願うほど私はしまむらと一緒にいる時間を欲してしまう。だから、私は今日もしまむらと一緒に過ごす。
そんなことを考えながら私はしまむらと駅へと向かって行った。

駅に到着するや否や、スマホの着信音が鳴り響き、私はしまむらと顔を見合わせる。
「わたしのだ……」
しまむらはそう言いながらカバンからスマホを取り出し、画面を確認する。
「あ、お母さんからだ……」
「なんて?」
「えっと……『今夜あんたの誕生日パーティーやるから安達ちゃんと一緒に戻ってくるように』だって……。安達も行くよね?」
「うん」
「じゃあ家に戻ろうか」
私たちは電車に乗ろうと駅のホームに向かって歩いていた。
するとその時、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あら、あなたたち……」
「あ……えーと……」
振り返るとそこには昨日しまむらの誕生日プレゼントを買いに行った際に会った金髪碧眼の女の子がいた。
「こんばんは。安達さん」
「あ、どうも……」
私はとりあえず挨拶をする。
「そちらがあなたの大切なご友人ですね。初めまして。私はこの世界の案内人のアシュリーと申します」
「えっと……この世界の案内人ってどういうこと……?」
私としまむらは目の前にいる金髪碧眼の女性をただ見つめていた。
「あの……どうかしました?」
アシュリーは首を傾げながら私たちを見る。
「え、えっと……わたしたちに何か用ですか?」
しまむらは困惑した様子で尋ねると、彼女は微笑みながら答える。
「はい。実は私には使命がありまして、その使命を果たすためにこうしてこの世界にやってきたのです」
「使命……?」
「はい。それは、あなたたち二人を結ばせることです」
「えっ!?」
しまむらと私は思わず驚きの声を上げる。
「あ、あの……わたしたち、別に付き合ってるわけじゃないんですけど……」
「はい。存じ上げています」
「ならどうして……?」
「そうですね……。まず、あなたたちはお互いのことをよく知りませんよね? ですから、これからあなたたちがお友達としてではなく、恋人同士になるために必要なことをアドバイスさせていただきます」
「必要なこと……」
「はい。例えば……」
アシュリーはそう言いながら、私の方を見る。
「えっと……なんでしょう……」
「あなたは、自分の気持ちを伝えましたか?」
「えっ……?」
私は思わず聞き返す。
「あなたは自分の本当の想いを相手に伝えましたか?」
「えっと……それは……」
私は口籠ってしまう。確かに、私は今までしまむらに私の秘めた想いを伝えたことはない。でも……
「伝えた方がいいと思いますよ。あなたは彼女のことが好きなのでしょう?」
「は、はい……。好き……です……」
「なら、今こそ伝えるべき時だと思います」
「そうですね……。ありがとうございます」
私は深く頭を下げる。
「いいんですよ。これも私の仕事なのですから」
アシュリーは微笑む。
「それで……あなたはどうしますか?」
「えっ……?」
「あなたは彼女に自分の想いを伝えますか?」
「えっと……その……」
私は俯く。
「あなたが彼女を想う気持ちは本物です。だから、自分の気持ちに正直になってください」
アシュリーは微笑みながら私を見つめる。
「自分の気持ち……」
「はい。あなたは彼女のことをどう思っているんですか?」
「私は……」
私は拳を強く握りしめ、ゆっくりと息を吐き、顔を上げる。そして……
「私はしまむらが好きです!」
私は声を上げて叫ぶ。
「そうですか……。なら、しまむらさんも安達さんに気持ちをぶつけるべきですね」
「えっ……?もししまむらが引いてしまったらどうしよう……」
「あなたの想いは本物ですから、きっとうまくいきますよ」
アシュリーは私にエールを送る。
「でも……私なんかじゃ……」
「そんなことはありません。あなたはとても魅力的ですよ」
「えっ……?」
「それに、もし失敗しても、私がいるじゃないですか」
「あ、ありがとうございます……」
私はお礼を言う。
「いえ、お気になさらず」
アシュリーは微笑む。
「それで……あなたは彼女のことをどう思っているんですか?」
「わたしも安達が好き!今はまだ友達という関係だけど、安達とならこれからも上手くやっていけそうな気がする!」
しまむらは声を上げて叫ぶ。
私はしまむらの答えを聞いて涙が出そうになる。
「そうですか……。よかったですね」
「はい……。本当に……ありがとうございます」
私は深く頭を下げる。
「いいんですよ。これも私の仕事ですから」
アシュリーは微笑む。
「それでは、今日はもう遅いですから、明日に備えてゆっくり休んでくださいね」
「は、はい……。ありがとうございます……」
私は深く頭を下げる。
「お二人ともこれからもお幸せに」
アシュリーは優しく微笑んだ。
「それじゃあ、私はこれで失礼します」
「はい……。色々とありがとうございました……」
私がアシュリーにお礼を言うと彼女はどこかへと去って行った。

「なんだったんだ、あの子は?それに……」
しまむらは先ほどまでいたアシュリーのことが気になっていた。
「なんかわたしたちのこと知ってるみたいだったし、ずっとあの子のペースに乗せられていたような……」
しまむらはそう思いながら私に視線を向ける。
「実は、さっき渡した桜のアクセサリーは昨日アシュリーさんと一緒に選んだものなんだ」
「えっ……?」
しまむらは驚いた表情を浮かべる。
「私の名前が桜だと教えてないはずなのに、アシュリーさんがどうして桜モチーフの物をしまむらへのプレゼントとして選んだのか不思議に思ったんだ」
「確かに……」
「でも、私は嬉しかった」
「えっ……?」
「だって、私はどんなプレゼントをあげたらしまむらに喜んでくれるのか分からなかったから、私の名前と同じ桜をモチーフにしたものだったらしまむらも私との繋がりを感じてくれるって、アシュリーさんは考えてたんじゃないかって……」
私はしまむらの目を見て話す。
しまむらはしばらく黙っていたが、やがて口を開く。
そして、私の目を見ながら答える。
私は彼女の瞳の中に映る自分の姿を見ている。
しまむらはゆっくりと右手を上げ、私に向かって手を伸ばす。
私はしまむらの手を握る。
「そっか……もしかしたらあの子は恋の女神かもしれないね」
「うん……。そうかもしれない」
「でも、わたしは嬉しかったよ」
「えっ?」
「だって、このアクセサリーは安達も一緒に選んだものだもん」
しまむらは桜の花びらがデザインされたチャームアクセサリーに触れる。
「そうだけど……。それはたまたま……」
「違うよ」
しまむらは私の言葉を遮る。
「もし、安達がいなければ、こんな風にはならなかったと思う」
「…………」
「だから、わたしは本当に嬉しいんだよ。ありがとう、桜ちゃん」
しまむらは笑顔を浮かべる。
「しまむら……」
「あーあ、なんか緊張して疲れちゃった」
しまむらは大きく伸びをする。
「そうだね……」
私もしまむらにつられるように背筋を伸ばす。
「みんなわたしの誕生日パーティー待ってるだろうし早く帰ろうか」
「うん」
私たちは電車に乗り家路につく。
特別な日は、まだ終わらない。私はそんな予感がしていた。
私はしまむらの手を握りながら窓の外を見る。
夜空は私たちを優しく照らしていた。

***
自宅に帰ると日野と永藤がわたしたちを出迎えた。
「なんで日野と永藤がわたしの家に来てるわけ?しかもこんな時間に……」
「あぁ、しまむらに誕生日プレゼントをあげようと来たんだけど、しまむらのお母さんから『娘なら安達ちゃんとデートしてる』って聞いて『今夜誕生日パーティーするから一緒にどう?』って誘われたから、折角だしサプライズゲストとして参戦したわけだ」
日野が説明をする。母め……余計なことを言いやがって……。
「こういう時のために家からコロッケとメンチカツを大量に持ってきてよかったよ!」
永藤はカバンの中からタッパーを取り出し蓋を開ける。中には大量の揚げ物が入っていた。
「えっ!?なんでこんなにたくさん……」
「今日はしまむらの誕生日だからね!このくらい当然だよ」
「あ、ありがとう……」
わたしは苦笑いを浮かべる。
「おっ、やっと帰ってきたか」
母がこちらに向かって手を振る。
「ずいぶん遅かったじゃない?もしかして安達ちゃんとイチャイチャしてた?」
「違うってば!」
「あらそう?じゃあなんでこんなに遅くなったのかしらねぇ……」
母はニヤリと笑う。こいつ……絶対わかって言ってるだろ……。
安達のほうに視線を向けると、彼女は顔を赤くして俯いていた。
「あ、あのさ……」
「どうしたの?」
わたしが聞き返すと、安達は恥ずかしげにこう言った。
「えっと……しまむらとのデート楽しかった……」
「そっか……わたしも安達と楽しい一日を過ごせたよ」
わたしが答えると、安達の顔が一気に明るくなる。
「良かった……」
「でも……」
「ん?」
「安達とデートできて、本当に嬉しくて、もっと一緒にいたかったなって思ってる」
「……しまむらも同じ気持ちだったんだね……」
安達の言葉を聞いてわたしは胸の奥からこみ上げてくるものを感じた。
「うん……」
「はいはい二人とも。イチャイチャするのはここまでにしてごはん冷めるわよー」
母が手をパンパンと叩きながらわたしたちを注意する。

手洗いを済ませリビングへ向かうと、父と妹がすでに待っており、テーブルの上にはたくさんの料理が並んでいた。
「うわぁ……美味しそう」
「でしょ?今日のために腕によりをかけて作ったんだから!」
母が得意げに言う。母が作る料理はいつもおいしいが、今日は一段と気合が入っているように感じる。
「いただきます」
7人で食卓を囲む。母が作ってくれたのはカレーライスだ。我が家の定番メニューである。
「美味しい!」
「それはよかったわ」
安達が感想を言うと母は微笑む。
「安達ちゃん、おかわりあるからたくさん食べてね」
「ありがとうございます!」
「永藤が持ってきたコロッケとかメンチカツもカレーとよく合うぞ」
日野が嬉しそうに言うと永藤は自慢げに語り始める。
「うちの店の揚げ物はどんな料理にも負けない自信があるからね」
母も「確かにこれは美味しいね」と言いながら何度もうなずいていた。
こんなに大勢集まった賑やかな食事はいつ以来だろう。少なくともここ数年はなかった気がする。
わたしたちはあっという間に料理を食べ終えてしまった。
「ああ美味しかった……」
「うちの店に出すカレーコロッケの参考にカレーのレシピ教えてください」
「ありがとう。でもまだまだこれからよ!」
母は嬉しそうに言う。
「デザートもあるのか?」
「もちろん!今日のために作ったケーキよ!」
「おお……」
みんなして感嘆の声を上げる。
「うわぁ……すごい」
「美味しそう」
「いい香りだ」
「うむ」
「さあ召し上がれ」
母が笑顔で言う。
「いただきます」
わたしたちは母が作った料理を食べ始める。
「うん、やっぱりケーキもうまい!」
「本当だ」
日野と永藤が声を揃えて絶賛する。
「美味しいです」
安達もケーキを食べて感想を言う。
「そう?よかったわ」
母は嬉しそうに微笑む。
「それで、肝心の主役から味の感想を聞いてないけど~、どうなの?」
「うん!すごく美味しいよ!お母さん!」
母からの質問にわたしは元気に答える。
「皆がこんなに喜んでくれるなら毎日作りたいくらいね」
「それは流石に無理じゃないか」
「確かにね。でも、たまにはこういうのもいいかもね」
父が苦笑しながらツッコむと母はそう言って笑う。
「ところで、どうして急にわたしの誕生日パーティーを開いたの?今までそんな素振りなかったじゃん」
わたしは母に尋ねる。
「えっ?ああ、実はね、あんたのこと大切に想ってくれてる友達がいるんだなって思ったら嬉しくなっちゃってね」
「ふーん……」
「だから、サプライズも兼ねてちょっとだけ張り切っちゃった」
母は嬉しそうに語る。
まあ確かに大切な友人を祝ってくれる人がいることはとても嬉しいことだ。わたしだって安達がわたしのために楽しませてくれたことに喜んでいる。
わたしが母の言葉に納得すると、父は腕を組みながら口を開く。
「確かにいい友達を持ったな」
「そうね」
母も父に同意しながら微笑む。
「でも、わたしとしてはもうちょい派手なパーティーの方がよかったかな」
「え~、でもこういう方が思い出に残るじゃん」
「う~ん……確かにそうだね」
わたしの反論に母は渋々納得する。
「でも、そういう思い出も大事よね」
「それにしても、あの子も随分変わったわね~」
母はどこか懐かしむように言う。
「確かに変わったかも」
「まあ、いい変化だと私は思うけどね」
「うん、それはわかる」
わたしも母の言う通りだと思う。
「そういえば、あんたが安達ちゃんと一緒にいるところをよく見かけるけど、うまくやってる?」
「うん、まあそれなりに」
わたしがそう答えると母は感慨深そうに呟く。
「あんたももう高校生だし、そろそろ好きな人とかいないの?」
「えっ?えっと……」
母からの唐突な質問にわたしは思わず言葉を詰まらせる。
安達は母からの質問にどう答えようか迷っているようで、母は安達に話しかける。
「ねえ、安達ちゃんはどうなの?今、好きな人いるの?」
「えっ!?」
母からの質問に安達は戸惑う。
「えっ?あっ、えっ……と……」
「どうなの?いるの?いないの?」
「わ、私は……います」
「あら、どんな子?」
「えっと……とても優しい子です」
「他には?」
「えっ?他にですか?えっと……私より美人です」
「それから?」
「えっと、いつも私のことを考えてくれます」
「じゃあ、これからも仲良くしてあげないとね」
「そうですね」
「うんうん、いい子だね」
「あ、ありがとうございます」
安達がわたしのことをそんな風に思ってくれていたなんて……。わたしは嬉しくて思わず頬が緩む。

「はいはい、ここからはわたしのターンだ!」
日野がわたしたちに話しかけると、永藤が鞄の中から袋を取り出した。
「えっ?なにこれ?」
わたしは思わずそう呟いた。
「えっ?なにって、しまむらへのプレゼントに決まってるじゃん!永藤と一緒に選んだんだよ!」
「そうそう。これならきっと喜んでくれると思ったんだ」
日野と永藤は自信ありげに答える。
「ほら、早く開けてみてよ」
「う、うん」
わたしはラッピングされた袋を開けるとそこには猫耳カチューシャが入っていた。
「えっ?これって……」
「そう!それはなんとネコミミだよ!」
「見ればわかるけど……なんで猫耳カチューシャにしたの?」
わたしは思わず困惑した表情を浮かべる。
「いいからいいから。ほら、しまむらもつけてみてよ!」
「うんうん!しまむらならきっと似合うと思うよ!」
「えっ?う、うん」
二人はわたしが頭にネコミミをつけるのを見守る。
一方の安達はわたしがネコミミをつけたのを見ると少し驚いたような表情を見せた。
「ど、どうかな?」
わたしは照れ隠しするように安達に訊ねる。
「あっ、えっと……とても可愛らしいと思う」
「そう?ありがとう」
わたしは思わず頬が緩む。わたしの表情を見た日野と永藤はわたしをニヤニヤしながら見つめる。
「しまむら~、すごく嬉しそうだね。いい笑顔だよ」
「うんうん。いいね、いいね。猫耳しまむらかわいいよ!」
「いや、そんなことないって」
わたしは慌てて否定する。
「そんなこと言って、顔真っ赤だよ」
「えっ?」
わたしは自分の頬に手を当てる。確かに少し熱い気がする。
「ふっふっふっ……。しまむら、照れてるなぁ?」
「い、いや、そんなことは……」
わたしは慌てて否定するが、顔が熱くなっているのがわかる。
「いいっていいって!照れなくてもいいんだよ!」
「そうそう!素直が一番だよ!」
「うぅ……」
わたしは恥ずかしさのあまり思わず俯く。
「でも、ほんとに似合ってるよ」
「えっ?」
安達の言葉に思わず顔を上げる。安達の顔はいつもより少しだけ赤くなっていた。
「だから……猫耳つけてるしまむらも似合っている」
「あ、ありがとう」
なぜだろう? 他の人から言われたら普通なのに安達から言われると嬉しい。安達の言動にわたしの心が揺さぶられてしまう。
「それに……しまむらは普段から猫っぽい感じがするから……すごくしまむららしい……」
「そ、そうかな?」
わたしは照れ隠しするように自分の頭を触る。確かに、自由気ままなところもあるし、わたしは猫のような性格をしている。安達の言う通りかもしれない。
「うん。しまむらは猫みたいで可愛くて、それでいてたまに見せる笑顔がとても素敵だと思う」
「えっ?あっ、うん……」
安達のまっすぐな視線にわたしは思わず目を逸らす。安達はわたしのことをよく見ている。わたしのどんなところが好きなのかわからないけど、わたしのことを見てくれていることが嬉しかった。
「どうしたの?しまむら」
「えっ?いや、なんでもないよ」
「そう?」
「うん。気にしないで」
わたしは再び頭に触れ、安達を見つめる。安達は優しい笑みを浮かべ、わたしを見つめ返す。
「あのさ、しまむら」
「ん?」
「えっと……しまむらは、私のこと……好き?」
「えっ?」
わたしは思わず目を大きく見開く。
「えっと……その……友達としてじゃなくて……恋人とかそういう意味で……どうなのかなって」
「…………」
わたしは思わず黙ってしまう。
帰りに謎の金髪少女に促されて訳も分からず安達への想いを伝える羽目になった時は本当にどうしようと思ったが、まさかこんな展開になるとは思わなかった。
「えっ、と……」
わたしは安達から視線を外す。
「あ、あれだよ!ほら、わたしたちまだ高校生だし!それに、安達とわたしってただの友達じゃん!だから、そういうのはまだ早いというか……」
「ううん。そんなことないよ」
安達がわたしの手を握る。
「私はしまむらとなら……いいよ」
「えっ?」
「だから……しまむらとだったら……いいよ」
「……」
わたしの思考回路は完全に停止していた。
安達は一体何を言っているんだろう? 安達がわたしのことを好き? 冗談でしょ? わたしたちはただの友達で、それ以上の関係ではないはずだ。
それなのに、どうして安達はわたしのことを好きだなんて言ったのだろう?わたしは安達に視線を向ける。安達は少しだけ頬を赤く染め、わたしのことを見つめていた。

「あ、あのさ……」
わたしは意を決して口を開く。安達の顔を見れず、わたしは視線を下に向ける。
「安達がわたしのことが好きなのはわかったよ。でもさ、わたしたち友達じゃん?友達同士じゃ付き合うとかそういうことはできないよ」
「うん。そうだね」
「じゃあ、なんでわたしのことが好きだって思ったの?」
「えっと……それは……」
安達は恥ずかしそうに俯く。
「その……しまむらと一緒にいる時間がすごく楽しくて……それで……その……」
「……」
「……あっ!もうこんな時間だ!帰らないと!」
「えっ?」
安達は慌てて立ち上がる。
「じゃあ、私はこれで……」
「えっ?」
安達はわたしたちに背を向け、立ち去ろうとする。
「ちょっ!ちょっと待ってくだされ!!」
わたしは思わず安達に声をかける。
「待って!安達!」
「ん?あぁ、えっと……」
わたしは安達の隣に立つ。
「どうしたの?しまむら」
「いや、なんか安達が急に帰っちゃうって言うからさ」
「う、うん……まあ、ちょっと用事があって……」
「ふーん」
わたしは安達の言葉を聞き流す。安達が嘘をつく時、少しだけ目が泳ぐ癖があることをわたしは知っている。
「あ、あの……しまむら……」
「ん?」
「えっと……その……」
安達はわたしから視線を外す。
「もしかして……迷惑だったかな?」
「ううん。そんなことはないよ」
わたしは首を横に振る。
「わたし、安達と一緒に遊べて楽しかったよ」
「ほ、本当?」
「うん。だから、わたしからもお礼を言わせてよ。ありがとうね、安達」
「うん。どういたしまして」
安達は笑顔を見せる。
「あ、あのさ……」
「ん?」
「もしよかったら……来年のしまむらの誕生日も、私がお祝いしてもいいかな?」
安達は恐る恐るわたしの顔を見る。
わたしは安達の表情を見て、胸の奥から何か熱いものが込み上げてくるのを感じた。
「あぁ、いいよ」
「えっ?」
わたしは安達の誘いを了承する。
すると、安達は驚いたように目を見開く。
そして、嬉しさのあまりか安達の頬には涙が流れた。
安達は袖で自分の顔を拭うと、再びわたしの方を向く。
その顔は少し赤くなっている。……あれ?なんだろうこの感じ……なんか懐かしいような……。
わたしは思わず安達の方に手を伸ばす。
安達がこちらを見る。わたしはその手を掴み引き寄せる。
安達はバランスを崩し、わたしの方に倒れ込んでくる。
わたしは安達を受け止めるとそのまま抱き締める。
安達の温もりを感じる。
安達の匂いが鼻腔をくすぐる。
安達の心臓の音も聞こえる。
「……しまむら」
「ん?」
「……好き」
「えっ?」
「……あっ!ち、違うの!今のは言葉のあやというか……」
「ふふっ」
「えっ?」
「安達、慌てすぎ」
「あ、あはは……」
わたしたちのやり取りを一部始終見ていた日野と永藤は驚きを隠せない様子だった。まぁそりゃそうだろうね。
しかしわたしたちが話を終えるまで口を挟まず待っていてくれたのはありがたい。

「あだっちーとしまむら、いつの間にそんな関係になってたんだね〜」
「うんうん、私もびっくりしたよ。でも、なんかちょっと羨ましいかも」
「いや、別にそういうわけじゃなくて……えっと、その……これは……」
安達はわたわたし始める。
「いやいや、いいんだよ。二人は友達なんだし、普通に考えれば当然のことだよ」
「うーん、まぁ、確かにそうかもしれないけど」
「あだっち〜がしまむらのことを好きなのはバレバレだったし」
「えっ!?」
日野の言葉を聞いた安達の顔がみるみると赤くなっていく。
安達の表情の変化を見たわたしは思わず吹き出しそうになる。
そして安達はわたしの方を向き、涙目になる。……あ、これヤバいかも。
安達はわたしに抱きついてくる。
「しまむらぁ〜」
「はい、よしよーし」
わたしは安達を落ち着けるように頭を撫でる。
「……えっ?」
「あ、あれ?違った?」
「ううん!違わない!嬉しい!」
安達は目を輝かせてわたしを見る。……うわぁ、すごい笑顔。なんかもう、キラキラしてるよ。眩しいよ。
安達はわたしの手を両手で握ってくる。
わたしは照れ臭くなり、安達の顔を直視できず、視線を逸らす。
すると、日野と永藤に加え、母までもがわたしたちを見てにやけているではないか。
母は口元を押さえて笑いを堪えているし、日野と永藤に至ってはこちらに向かってサムズアップをしてやがる。……あー、こりゃ、後で色々聞かれそうだ。
まぁ、でも、いいかな。
こうして安達と一緒に誕生日を過ごし、二人で写真を撮れたんだもの。
この先も、わたしたちはきっと楽しい時間を過ごせるはずさ。
だって、わたしには安達がいるんだもん。……それにしても、あの時わたしがあげた服、本当に着てくれてるなんてね〜。
安達のことだから、絶対わたしがあげた服を着てくれるだろうと思っていたけど、実際に目の当たりにすると、なんか、嬉しい気持ちになる。
うんうん、やっぱり安達はこういう服装の方が似合うよね〜。
安達の制服姿ももちろん好きだけど、こういう女の子らしい格好をした安達の姿もいいと思う。
それに、いつもより大人っぽい雰囲気が出ている気がする。
やはり安達はわたしの目に狂いはなかったようだ。
まぁ、それはともかく、わたしも安達に何かあげようかな。
……でも、何をあげればいいんだろう? うーん、安達なら何でも喜んでくれそうだけど、だからこそ逆に悩む。
とりあえず、安達に聞いてみようかな。
「安達は誕生日に何が欲しい?……あ、参考までに教えてほしい」
わたしは安達に尋ねる。
すると、安達は少し考えた後に答える。
「うーん……あ!それじゃあ、私の誕生日に、しまむらの時間を少しだけちょうだい!」
「えっ?わたしの時間?」
「うん!私はしまむらと一緒ならいつでも嬉しいし、何してても楽しいけど、それでもせっかくなら、しまむらと思い出を作りたいなって思って……。それで、もしよかったら、私の誕生日に、しまむらと一緒に過ごしたいなーなんて……」
安達は照れ臭そうに言う。
「えっ……?いや、別にいいけど……そんなことでいいの?わたしなんかでいいの?安達ならもっと他にやりたいことや行きたいとこがあるんじゃないの?ほら、わたしなんかといるより、クラスの友達とか、あるいは家族と過ごす方が楽しいと思うよ?わたしなんかと一緒にいても、つまらんと思うよ?」
「つまるつまらないの問題じゃないよ。私がしまむらと一緒にいたいんだよ。……あ、もちろん、しまむらさえ良ければの話だけど」
「うーん、まぁ、そういうことなら……じゃあ、お言葉に甘えて、お願いしようかな。……わたしも、安達と一緒だと、毎日が楽しいし」
安達の言葉に、わたしは少し照れ臭い気持ちになる。
まさか、わたしのことをそこまで想ってくれていたとは……。
わたしは、嬉しさのあまり顔が熱くなる。
そして同時に、安達にここまで言ってもらえるなんて、わたしは幸せ者だなと思った。
よし!安達のために一肌脱いでやりますか!
今日のわたしの誕生日の時もそうだけど、安達は本当にわたしのことを大切に思っているんだね。
普段の安達なら絶対に言わないことをわたしに言ったんだもんね。
でも、わたしはそんな安達だからこそ、大好きになったんだろうね。
わたしも、そんな安達のことが好きだ。
わたしは安達への思いを巡らせながら、皆にわたしの誕生日をお祝いしてくれたことに感謝した。
そして、今日という日に、わたしは幸せを感じていた。
わたしは今まで、安達と一緒にいることが当たり前のように感じていた。
でも、それは違った。
安達がわたしの誕生日にわたしの時間をあげたように、わたしもまた、安達に何かをあげなくちゃいけない。
そう思ったわたしは、安達に何をしてあげようか考える。
安達と一緒にいる時間は、本当に楽しい。
この楽しさは、わたしにとってかけがえのないものだ。
だからこそ、わたしはこの時間をもっと楽しくするために、わたしにしかできない方法で、安達にお返しをしてあげたいな。
わたしは、安達と一緒にいる時間が、本当に好きだ。
安達と一緒にいるだけで、わたしの心は満たされる。
そんな安達と一緒にいるためには、わたしも何かしてあげる必要がある。
だから、わたしは、わたしらしく行動してみようと思った。


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