『安達としまむら』第10巻発売から2ヶ月が経ち、コミカライズとファンアート以外にあだしま成分の供給が少なくなり、アニメ終了以降も勢いがあった5chの安達としまむらスレも流れが緩やかになり、アニメを観てから完全にあだしま沼にハマり創作活動にも興味がある管理人は、最近存在を知った「AIのべりすと」を使ってあだしまの二次創作小説を制作しました!
「AIのべりすと」は、文章を入れるとAIがその後に続く文を勝手に生成してくれて、地の文で小説っぽく仕上げたり、SSスレでよく採用されているセリフメインの会話劇を作ったりすることができます。 「AIのべりすと」についての詳しい内容は、オモコロのライターで小説家の顔も持つダ・ヴィンチ・恐山さんが書いた特集記事(制作者へのインタビューあり)を見てもらえばどんなものかわかると思います。
デフォルトのままだとハチャメチャになりそうなので、思い通りの展開を作り出すために『安達としまむら』のストーリーやキャラクターの人となりなど予め設定しておきました。
それから、物語の始まりとして『安達としまむら』第1巻冒頭の文章を入れて、時折自分で修正をしつつ「AIのべりすと」によるあだしまの二次創作小説が完成しました!
それでは、AIが紡いだ安達としまむらの物語をお楽しみいただければと思います。
「AIのべりすと」は、文章を入れるとAIがその後に続く文を勝手に生成してくれて、地の文で小説っぽく仕上げたり、SSスレでよく採用されているセリフメインの会話劇を作ったりすることができます。 「AIのべりすと」についての詳しい内容は、オモコロのライターで小説家の顔も持つダ・ヴィンチ・恐山さんが書いた特集記事(制作者へのインタビューあり)を見てもらえばどんなものかわかると思います。
デフォルトのままだとハチャメチャになりそうなので、思い通りの展開を作り出すために『安達としまむら』のストーリーやキャラクターの人となりなど予め設定しておきました。
それから、物語の始まりとして『安達としまむら』第1巻冒頭の文章を入れて、時折自分で修正をしつつ「AIのべりすと」によるあだしまの二次創作小説が完成しました!
それでは、AIが紡いだ安達としまむらの物語をお楽しみいただければと思います。
一緒に授業をサボっている安達が「ピンポンしよう」と言い出したことが、わたしたちの間に密やかな卓球ブームを生むことになった。大きな窓を開けるわけにもいかず、少し蒸し暑い体育館の二階には、今はめったに使われていない卓球台と道具一式が置いてあった。
一階を見下ろすことのできる側には、緑色のネットがかかっている。打ち損じたボールが下に落ちないようにと、卓球部がこの学校にあった頃の名残と思われる。それの端をお尻で踏んづけて、安達とぼそぼそお喋りするのもいささか飽きていたところなので、わたしも賛成した。
十月下旬、衣替えが済んで、でもまだ長袖の制服が少し暑い季節。空は高く、青く澄んでいて体育の授業もグラウンドで行われている。体育館を勝手に利用しているのはわたしたちだけだ。下を覗いて確認してから、安達と卓球台の準備を始めた。
※ここまで、入間人間 著『安達としまむら』第1巻より引用
以下、AIのべりすとが書き下ろした文章です(一部管理人による加筆・修正あり)。
――
そうして始まった卓球は、実に三時間ほど続いた。昼食を食べてから始めたというのもあるし、二人しかいないから延々とラリーが続くのだ。わたしたちは言葉少なに、ラケットでボールを弾いた。時々、安達が妙なことを言い出す以外は、本当に静かなものだった。
三時間経って、さすがに疲れてきた頃に、ようやくわたしは言った。
「もう終わりにしない?」
「えー」
不満そうな声を出した安達だったが、すぐに同意してくれた。
「そうだね。ちょっと休憩するか」
「うん」
そしてわたしたちは、並んで座りながら黙って壁を見つめた。天井近くの小窓から差し込む光は、すでにオレンジ色になりつつある。日が短くなっていることを実感する。
やがて、ぽつりと言ったのは安達の方だった。
「しまむらって、運動神経いいよね」
「そう? 普通だと思うけど」
「そんなことないよ。なんか、フォームきれいだし、速い球打てるし」
「う~ん……まあ、小さい頃からやってるからねえ」
「へぇ、何歳から?」
「幼稚園くらいかなぁ」
「すごい」
感心しているらしい安達の横顔を見て、わたしは何だかくすぐったくなる。褒められるというのは、なかなかどうして悪い気分ではないものだ。
「じゃあさ、今度うちの卓球部に遊びに来ない?」
「……なんでまた」
わたしは首を傾げる。別に部活に入っているわけではないけれど、わざわざ練習するほど熱心でもない。それに、卓球なんてやるのは小学校以来だ。
「ほら、私一人だと寂しいじゃん?」
「ああ、そういうこと。それなら他の友達誘えばいいじゃない」
「だってみんな用事あるっていうんだもん!」
頬を膨らませて抗議してくる安達。どうやら本気で言っているようだ。確かに安達は友達が少ない。同じクラスになってからそこそこ経つというのに、未だに会話するのはわたしぐらいなのだ。
「それはご愁傷様だけど、わたしも卓球部に入るつもりはないわねぇ」
「なんで!? 楽しいよ卓球! しまむらきっと上手だよ!」
「わたし、そこまで熱中できるタイプじゃないんだよなあ。ていうか、安達もあまり好きそうには見えないんだけど」
「むぅ、やってみないとわからないじゃないか」
唇を尖らせる安達。その姿を見て思う。なんだか、出会った頃の安達を思い出すような仕草が多い。最近になって安達が見せてくれるようになった一面の一つかもしれない。
安達の変化が嬉しいのか、戸惑っているのか、自分でもよくわからなかった。ただ、安達に対して抱いている感情が以前よりも複雑になっていることは確かだった。
「あっ、そうだ。それなら卓球部のマネージャーになればいいんじゃないかな。それならしまむらも卓球ができるし、一石二鳥でしょ?」
安達が名案を思い付いたように手を打った。
「それもいいかもね。でも、わたしはあんまり体動かすの得意じゃないから、力仕事はできないと思うよ。卓球台片付けろとか言われたら困っちゃうし」
「……そっか、それもそうだよね」
明らかに落ち込んだ様子の安達。
わたしが何か言う前に、安達が口を開いた。
「そしたら、せめて卓球の対戦相手をしてくれない? せっかく二人で一緒にいるんだしさ」
安達の言葉に、わたしは少しだけ考える。
放課後、安達と一緒に帰るのは嫌いではなかった。安達が一方的に話しかけてくるだけで、わたしは何も話さないことが多いのだけど、それでも誰かと一緒なのはやっぱり安心できた。今日みたいに卓球をするのも悪くない。
でも、わたしは首を横に振った。
「うーん、それならいいよ。でも、もう少しちゃんとしたコートでやりたいかな。ピンポン玉って結構危ないし、床の板目で怪我することもあるって聞くし」
「あー、たしかにあるね」
安達は納得したようで、何度か肯いてくれた。それから、自分のバッグの中を漁り始める。
「よし、じゃあ行こう」
「行くってどこに?」
「卓球場。ここの近くにもあるの知ってる?」
知らなかった。
「ちょっと遠いけど、電車に乗って行けばすぐに着くはず」
「……さすが安達。よく調べてるねえ」
わたしが感心すると、安達が得意げに鼻を鳴らした。
――
そして、わたしたちは駅に向かって歩き出した。
安達が道案内してくれるおかげで、わたしは初めて利用する駅の改札にも迷わずたどり着くことができた。
平日の夕方だからなのか、構内はあまり混んでいないようだった。
「しまむら、こっち」
安達が階段を上っていくのに続いて、わたしもその一段目に足をかけた。
「……」
そこでふと考える。
わたしはこれからどこに行くのだろう。
「あの、安達さん」
「何?」
「……今から卓球するんだよね?」
「うん、そうだけど」
「……わたしたち、どこに向かわされているのでしょう?」
「えっと、駅前の卓球場だよ」
「……なんで?」
「なんでって、遊びに行くって言ったじゃん」
安達は当たり前のように答える。
「……ああ、あれは遊びの話だったんだ」
「?」
安達は不思議そうな顔をしている。
わたしも首を傾げた。
安達の行動には時々こういうところがある。
安達は目的もなく行動するタイプの人間ではないはずだ。なのに、たまに意味不明なことを言い出すのだ。しかも、本人はそれを自覚していないらしい。
「まあ、いいや。それで、卓球場に着いたらどうすればいいわけ?」
「受付に行ってお金払えばいいんじゃなかったっけ?……あぁ、しまったなあ。私、お金足りないかも。どうしよう……」
急に不安そうになる安達。なんだか放っておけない雰囲気だ。
仕方ないなあと息をつく。
「はい、これ使っていいよ」
わたしがお金を渡そうとすると、なぜか制服の内ポケットに入れていた生徒手帳を差し出してくる安達。
「いらないよ。安達が持ってて」
「……そう言われると思ってた。でも、大丈夫だと思う。卓球場の料金って安いし、多分、お釣りくれるから」
「……それならいいんだけど」
安達から生徒手帳を受け取る。
「はい、確かにお預かりしました」
「うむ、よろしく頼むぞ。我が友よ」
安達は大仰な調子で言う。
わたしはそれに小さく笑って返した。
「では参りましょうか、姫君」
――
2人で券売機に向かう。
目的地までの切符を買って、ホームに降りるとちょうど電車が来たところだった。
ドアが開いて乗り込むと、車内は比較的空いていた。わたしと安達は並んで座席に座ることができた。
電車はすぐに走り始めたけれど、しばらくは沈黙が続いた。
わたしは窓の外を流れる景色を眺めながら、ぼんやりしていた。
安達はというと、わたしと同じように外の風景を見ていた。
しかし、その視線はどこか遠くを見ているような気がした。
そんな横顔を見ながら、わたしは考えていた。
安達は一体何を考えているのだろうか。
安達はいつもと変わらない様子に見える。
でも、それは表面的なことで、もっと深くを見ると違うのかもしれない。
例えば、今日の朝、靴箱で会った時のこと。
安達は何かを言いかけて、そのまま黙ってしまった。
そして、その後の休み時間も、昼休みも、放課後になっても、結局何も言わないままでいた。
わたしは何を言うべきか分からなくて、安達の言葉を待っていた。
でも、安達は何も言ってはくれなかった。
安達がわたしに何かを伝えようとしていたことは間違いないだろう。
わたしはそれを知るべきなのか、知らない方がいいのか、判断がつかない。
ただ、安達が何を考えていて、何を伝えたかったのか知りたいと思った。
電車が目的の駅に到着したので、わたしたちは電車を降りた。
駅から少し歩くだけで、駅前の喧騒からは離れることができ、落ち着いた住宅街に入った。
その先に、安達の言っていた卓球場があった。
安達は迷わず進んでいく。その後ろ姿についていく。
しばらく歩いて、とある一軒家の前で立ち止まった。
表札を確認すると、『安達』と書かれている。……そういえば、この辺りは安達の家の近くだったかなあ。
「ここだよ」
「へー」
安達の家はそれなりに大きい二階建ての洋風建築だった。
玄関の横にはガレージがあって、車は2台停まっている。どちらも白い軽自動車だ。
安達は玄関の前に立つと、鍵を取り出して開けた。
「ただいま」
「お邪魔します」
安達に続いて中に入る。
「おかえりなさい」
奥の方から女性の声が聞こえてきた。
声の主はエプロンをつけた若い女性だった。
容姿は安達に似ていて、背は高く、スタイルも良い。
モデルさんのような美人さんだ。
「お母さん、今日友達を連れてきた」
「あら、そう。いらっしゃい」
「あ、はい。どうも」
ペコリとお辞儀をする。
女性は笑顔で返してくれた。
「さあさあ、上がってちょうだい」
「うん」
促されるまま、家の中に上がる。
「はい、スリッパ」
「ありがとう」
「あ、そうだ。自己紹介してなかったね。私は桜の母の赤華です。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。えっと、わたしは――」
「知ってるわよ。抱月ちゃんでしょう?」
「……どうして名前を知ってるんですか?わたし、名乗ってませんよね」
「ふっふっふ。娘から話は聞いているのよ。学校一の問題児である『氷の女王』と呼ばれている子と一緒のクラスなんだって?」
「……問題児って」
「それで、仲直りしたんでしょう。良かったじゃない」
「……」
「まあまあ、お母さん。とりあえず、部屋に案内しようよ」
「それもそうね。じゃあ付いてきて」
リビングを通り抜けて階段を上っていく。
2階に上がり廊下を進んだ一番奥の部屋が安達の部屋らしい。
安達が扉を開けると、安達母が顔を覗かせた。
「ベッドとか好きに使っていいからね。あと、冷蔵庫に飲み物が入ってます。他に何かあったら遠慮なく言ってください。それでは、失礼しました」
と言って、部屋を出て行った。
安達母は、見た目は若く見えるけど、言動はしっかりしているように見えた。
安達とは正反対に見える。
安達母は出て行く時に一度振り返り、「夜ご飯できたら呼びに来るからゆっくりしていてね」と言い残していった。
……1人取り残されたわたしはベッドの上に腰かけた。
安達も隣に座った。
安達の匂いがする……。
安達も緊張していたようで、肩の力を抜いて大きく息を吐いた。
安達が口を開いた。
「あの、さっきの人は私の母の赤華。普段は家にいないんだけど、今日はたまたま仕事が休みだったみたいで、帰ってきたんだよ」
「そっか。安達のお母さん、すごく綺麗な人だったね。それに、優しそうな人だし、安心したよ」
「……うん、自慢の母親なんだ」
嬉しそうに話す安達を見て、わたしも嬉しい気持ちになった。
「安達はお父さんとも一緒に住んでいるの?」
「ううん、父はいないよ。私が小学生の時に離婚して、今は母親と2人で暮らしている。……あ!でも大丈夫だから心配しないで!」
「……それはどういう意味?」
「えーと……その」
「あぁー別に言いたくないなら言わなくて良いよ」
「ごめん」
「謝らないでよ。誰だって話したく無いことの一つや二つはあるよ。それより、安達は普段何して過ごしているの?」
「読書したり、ゲームしたりするくらいかな」
「へー、どんな本を読んでるの?」
「主にラノベだけど、たまに小説を読むこともあるよ」
「例えば?」
「最近はこれ」
そう言って、カバンの中から取り出した本を渡された。
表紙にはタイトルが書いてあるだけで、中身は見れないようになっている。
「この本はどんな内容?」
「異世界召喚された主人公が勇者として魔王を倒す物語だよ」
「面白そうだね。読んでみるよ」
「うん」
「安達はどんなジャンルが好き?」
「ファンタジー系が多いかな」
「そっか。なんか安達っぽいかも」
「そう?」
「うん。安達はいつも落ち着いていて大人びてる感じがするから」
「そんな事ないと思うけど」
「そんなことあるよ。少なくともわたしにとってはそう見えてた。安達は猫みたいだなって思ってた。ほら、こんな風にすぐ懐いてくるところとか」
わたしは両手を広げて安達の方に向けた。
すると、安達は飛びついてきた。
そのまま、ぎゅっと抱きしめる。
安達の身体はとても柔らかく、そして温かかった。
「……しまむら、ちょっと苦しい」
「あ、ごめん」
慌てて手を離す。
「ふぅ」
安達は少し苦しかっただけのようだ。
「しまむら、私を抱き枕にして寝たい?」
「抱き心地良さそうだもんね。じゃあお言葉に甘えて」
そう言って安達を横向きに抱えるようにしてベッドに倒れ込んだ。安達の頭の下に自分の腕を差し込む。
安達の顔が目の前にある。
安達の目は閉じられており、長いまつ毛が目元に影を落としていた。
(相変わらず可愛い顔しているな)と思ったところで我に返った。
よく考えたらこの状況はまずくないか? ベッドの上で女の子を後ろから抱っこするようにして密着している状態って、どう考えてもよろしくない気がするんですが!?︎ 心臓がバクバク言っている。安達にも聞こえてしまっているんじゃないだろうか。
安達は規則正しい呼吸をしながら眠っているように見える。……良かった。
起こさないように静かに深呼吸する。
安達の首筋からシャンプーの良い香りが漂ってくる。
安達はわたしと同じものを使っているはずなのに、どうしてこうも良い匂いがするんだろう。
安達は、わたしより小柄だから、わたしの腕の中にスッポリ収まっている。
安達の髪がわたしの鼻に当たってこそばゆい。
安達は温かい。
安達の体温を感じながら、わたしはいつの間にか眠りに落ちていった。
…………
「しまむら、起きて」
誰かが耳元で囁いている。
「ん、おはよう安達」
「おはよ。もう朝ごはんできてるよ」
安達はわたしの頭を撫でた。
時計を見ると、既に7時を過ぎている。
「え、もうそんな時間?」
「うん。早く来てね」
安達は部屋を出て行った。
「…………」
あれは夢だったのか。……まあ、いいや。それよりも今日も学校行かないとなぁ……。
私は着替えをしてリビングに向かった。朝食を食べ終わり、歯磨きをしていると安達に声をかけられた。
「あの、しまむら」
「なに?」
鏡越しに見る安達の顔はかなり緊張していた。
何か大事な用でもあるのだろうか。
「えーと、その、今日の放課後なんだけど、もし暇だったら一緒に本屋さんに行ってくれないかな?」
「本屋?」
「うん」
「本買いに行くの?」
「う、うん」
「別に良いけど、なんの本を買うの?」
「それは、その、秘密」
「秘密?」
「う、うん」
「別に良いよ。じゃ、終わったら連絡するね」
「わかった」
「それじゃ、また後で」
「うん」
――そういえば、安達と一緒にどこかへ行くなんて初めてじゃないか? わたしは少しだけワクワクしながら家を出た。
――
しまむらが玄関から出て行く音が聞こえる。
「ふう」
私は安堵のため息を漏らした。
危なかった。
昨日読んだ漫画のせいで変なこと口走ってしまうところだった。
でも、大丈夫。きっとバレていないはずだ。……だって、私が今読んでいたのは異世界召喚モノの漫画なんだから。
この前、しまむらが言っていた言葉を思い出す。
『安達はいつも落ち着いていて大人びてる感じがする』
そんな事ない。
ただ、しまむらの前では少しでも良い子でいたいだけ。
しまむらの前だと、私はいつも空回りばかりしてしまう。
しまむらは私にとって大切な人。
しまむらにとっても、そうなってほしい。
その為には、もっと素直になる必要があると思う。
そのための第一歩として、まずはデートに誘おうと思ってしまったのだけれど、いきなりハードルが高かったかもしれない。
とにかく、気合を入れすぎておかしなことを言わないようにしないと……!
……
「しまむら!」
安達の声に振り返ると、自転車に乗った安達がいた。「ごめんね。待たせちゃった?」
「ううん。全然待ってないよ。私もさっき来たばっかりだし」
「そっか。じゃ、行こうか」
安達の後ろに乗った。
安達にギュッとしがみつく。
「では出発します」
「はいよ」
安達の運転は安定していて、とても乗り心地が良い。
しばらくすると大きな建物が見えてきた。
安達が駐輪場へ停める。
「ここが目的の場所だよ」
安達が指差した先には本屋があった。
「ほほう。ここに来るのは初めてだねえ。何買うの?」
「それは着いてからのお楽しみです」
「ふむ。ちなみにどんな系統の本を読むのかね?」
「ジャンルは問わないかな。何でも読むし。しまむらは?」
「わたしはラノベが多いかも。あとは雑誌とかマンガかな。あ、でも最近はあんまり読まないから、わかんないかも」
「そ、そうなんだ」……なんか残念そうだな。
――店内に入ると、そこにはたくさんの本が置いてあった。
本棚の間を縫うように通路があり、そこを通って目当てのコーナーまで移動するようだ。
「それじゃ、行ってくるね」
「うん。ここで適当に見てるね」
安達は小説コーナーの方へ向かった。
わたしも適当なところを見て回ることにする。
「んー……」
安達の趣味に合わせてみようと思ったのだが、どれもパッとしない。
「どうしようかなぁ」
――その時、あるタイトルが目に入った。
「恋愛?」……最近そういう系の漫画を読んでいなかったので、ちょっと興味がある。
安達もまだ来ないだろうし……うん。一冊くらいならいいだろう。
「どれにしようかなぁ」
色々あって迷ったが、結局最初の巻を手に取った。
安達はまだ戻ってこなさそうだったのでレジに行って会計を済ませた。
「おまたせー」
「おかえり」
「はいこれ。あげる」
「え?」
「読み終わったら貸して」
「え?いいの?」
「うん。感想聞かせて」
「う、うん。ありがとう」安達は嬉しそうに受け取ってくれた。
それから、わたし達はショッピングモール内の喫茶店でお茶をして時間を潰した。
――
しまむらが渡してくれた紙袋を開ける。
中にはしまむらが最近読んでいるという漫画が入っていた。
早速読んでみることに。……………………。
「面白い!」
思わず声が出てしまった。
主人公がヒロインの為に一生懸命頑張る姿が胸を打つ。
私はその漫画に夢中になった。
しまむらもこの漫画が好きなのか。
しまむらが好きなものがわかって嬉しい。それにしても、しまむらはこういう漫画を読むのか。
意外だけど、これはこれで可愛い。
しまむらは普段、あまり感情を見せないけど、時々見せてくれる笑顔はとても可愛くて、私は大好きだった。
しまむらが笑うだけで、私の心は温かくなって幸せな気持ちになれる。しまむらは私にとって大切な人。だから、もっと笑ってほしい。その為にも、もっと素直にならないと!
――次の日、学校へ行く途中、しまむらを見つけた。
「しまむら!」
しまむらに声をかけた。
「お、おはようしまむら!」
「お、おう。……ど、どうしたの?」
「あの、昨日の漫画、面白かったよ!しまむらはこのシリーズ全部読んだことあるの?」
「ま、まあね。それなりに」
「そっか。じゃあさ、今度続きを貸してほしいんだけど」
「うん。いいよ」
「やった!」
しまむらと話せた。それだけですごく幸せだ。……でも、今日も素っ気なかったような……。もう少し頑張って話しかけないとダメだよね。
よし!頑張ろう!
――その日の放課後。いつものようにピンポンをしている最中のことだった。
しまむらが何か言いたげにしていることに気づいた。…………多分、さっきのことだと思う。
しまむらは照れ屋さんなのでなかなか自分のことを話さない。
でも、今日のしまむらはどこか様子が違う。
「しまむら。何か話したいことがあるの?」
「あ、ああ。実は、前に安達が言っていた漫画のことで聞きたいことが……」やっぱりそうだ。……でもどうして?まさか!?︎
「しまむらはアレを読んだの!?︎」
「いや、まだだよ。……でも、なんかハマっちゃったみたいで……」……よかったぁ。バレたかと思った。……でもなんで?
「それで、続きを借りようと思って」なるほど。そういうことだったか。……ちょっと待ってください。それってつまり……。
「じゃあ、一緒に行こう」……わーい!2人で行くんだー!
「え、あー、うん。そうだね」
「うん!」
――
「ふぅー」
「どうだった?」
「す、凄く良かった」
「そ、そうなんだ」
「うん」
「……じゃあ、はい」
「ありがと」
しまむらから本を受け取る。
この漫画、本当に面白いなぁ。
「それじゃ、わたし帰るね」
「うん。また明日」
しまむらを見送って家に帰った。
自室に戻って漫画を読み進める。……。
「うーん」
主人公の男の子がヒロインの為に一生懸命頑張る姿に感動する。
しかし、最後の方は少しやり過ぎな気がしてきた。
女の子だって嫌なことはあると思うし、主人公があまりにも一途過ぎるせいかもしれない。
「うーん」
私は考え込んだ。……。
「よし、決めた!」
私はベッドに寝転んでスマホをいじり始めた。
……そして、数日が経ったある日のことだった。
「しまむら!」
「お、おう。ど、どうしたの安達?」
「あの、その、漫画借りたままでごめんなさい!」
「お、おう。別にいいけど。あれ、そんなに気に入ったの?」
「はい!」
しまむらが笑っている。笑顔が可愛い。
「じゃ、じゃあ、今度続編貸してあげるよ。全巻持ってるから」
「ありがとう!楽しみにしてます!」
「おう」……これでいいはずだ。
――それから数日後。
私が漫画を読んでいると、しまむらが現れた。
「あ、あのさ、その漫画だけど……」
「はい!読みました!」
「お、おおそうか。どうだった?」
「うん!とっても面白かった!」
「そ、それは何よりだ」
「はい!」
「……」
「……」……沈黙が続く。
「あの、しまむら」
「あのさ、安達」
「あっ、どうぞしまむらから」
「いや、いいよ。安達から」
「いえ、しまむらから」
「わたしの方こそ」
「私の方が」
「あの、しまむら」
「あの、安達」
「……」
「……」
「ぷっ、はははははははははははっははっ」
「ふっ、ふふっふふっ」……なんだこれ。
2人同時に喋ってしまい、お互い譲り合っているうちにおかしくなってきた。
しばらく笑い続けた後、しまむらが言った。
「ははっ。変な感じになっちゃったね」
「うん。でも楽しかった」
「ふふっ。そうだね」
しまむらが笑う度に幸せを感じる。……この時間がずっと続けば良いのに。
――その日の放課後。いつものようにピンポンをしている最中のことだった。……安達の視線を感じる。……どうかしたのか? 安達に声をかけてみる。
すると、いきなり話しかけられたせいか安達が慌てる。
安達が落ち着くのを待って、話を続ける。……なんか、様子がおかしかった。……一体、何を考えてるんだろう。
まあ、いいか。それよりもピンポンだ。……しかし、なかなか調子が出なくてミスを連発してしまう。
結局、今日の成績は5点だった。……まずいなあ。安達のことも心配だが、それ以上に自分の方が心配だった。
――その日の夜。
わたしは自分の部屋で1人で勉強をしていた。
机に向かってノートを広げる。シャープペンを握って問題を解くが、いまいち頭に入ってこない。……うーん。どうも気分が乗らないなぁ……。少し息抜きをするか。
部屋の中を見渡す。
ふむ、雑誌がいっぱいある。その中からファッション雑誌を抜き取って開くと、パラパラとページを送る。そして適当に見開きを目で追う。……うーん。何か物足りないなぁ……。今度はファッション誌とは別の本を拾い上げる。……んー、何かが違う気がする。
別の本を開く。……うん、これも違うな。次の本の表紙を見ると、それを見た瞬間にわたしの頭に電流が走る。……お、おお。これならイケる。表紙に写っている服に心惹かれたのだ。わたしはそれを手に取る。……そして中身を開いた時、わたしは固まってしまった。そこには可愛らしい少女達が沢山写っていた。しかし、その子達は全て水着姿でポーズを取っていた。つまりは、えっちぃやつだった。しかもかなり過激め。
これはいけない。わたしはすぐに本を閉じた。……しかし、好奇心が勝った。もう一度だけ見てみよう。
わたしはおそるおそるページを開き、そこに目をやった。……わお。これはすごいな。こんなの着ちゃってるのか。あー、そういえば安達、こういうの好きかもなあ……。と、その時である。ガチャリという音が聞こえてきた。
ドアが開けられると同時にお母さんが部屋に入ってきた。
目が合う2人の間に沈黙が流れる。……しばし見つめ合ったあと、お母さんは笑顔で言ってきた。
その顔には冷や汗が見えるような気さえした。……マズい! 私は慌てて立ち上がる。そのままダッシュして逃げようとしたが、お母さんの方が早かった。
ガシッ 肩に手をかけられて振り向く。
そこには満面の笑みのお母さんがいた。
「ねぇ、抱月?」
あ、ああ、終わった……。わたしの高校生活が終わる…… その後、わたしはお母さんから尋問を受けることになった。
質問の内容は様々だったが、大体は安達との関係についてだった。
「それでね?抱月はその……どんな子が好みなのかなって思ってさ!」
私の答えを聞いた後、しばらく考え込んだ後にお母さんが聞いてくる。
「……うーん。じゃあさ、例えばの話だけど、もしその子と付き合えるとしたら、どういうデートをしたいとかあるかな!?」
「……えっと、うーん……、映画……とか……」
わたしの言葉を聞いて、お母さんは腕を組んで考える。
しばらくして、お母さんはぽんっと手を叩いた。
「よし!わかった!じゃあ次は水族館に行くといいよ!」……こうして次の行き先が決まった。
――
あの後のしまむらが怖くて何も言えないまま家に帰ってきたのだが……本当にこれからどうしよう……。明日になったらしまむらの記憶がなくなっていないかな?なんて期待しながら布団の中で考えていたが……そんな都合の良いことはなかったようだ。
そもそもどうしてしまむらに見られたのが恥ずかしかったのかよく分からない。……いや待てよ?……もし、しまむらの趣味嗜好を知った他の人達が同じ様な行動をしていたとしたら?それを思うだけで何故か胸の奥の方がモヤっとした感じになり嫌だと感じるのが分かる……多分だけど。
つまり、しまむらにそういう目で見られるかもしれないということに危機感を感じているんだと思う。でも……私がそうなってしまう相手は他の誰でもない、しまむらだった。……それが分かっただけでも収穫があったといえるのではないか。よし、そうと分かれば明日から色々と意識してしまむらのことを見るようにしなければ――って、それはダメじゃないか。そんなことしたら絶対変に思われてしまう……うーん。
しまむらのことを考えていると、しまむらから着信があったのですぐに電話に出た。
「もしもし。」
『おーす。安達は今何してるの?』
「さっきまで勉強してた」
『そうかいそうかい。ところで安達さん』
「なんですかー?」
『明日暇かなー?安達と水族館へ行きたいと思うんだけどー?』
「え?あ、うん。いいけど……」
『ほほう?そっかそっかー それじゃあ明日9時に駅前集合ね!』
「わ、わかりました……」
『んじゃ、お休み~』
「はい……お休みなさい……」
……なんか、すごく緊張してきた。
翌日、私は時間よりも早く家を出てしまった。……だって昨日のしまむらとの電話でつい口走ってしまったのだ。「明日楽しみにしてます!」と。その言葉が嬉しくて、待ちきれなくて、気付けば家を飛び出していた。
「おはよう!しまむら!」
「ういうい、おはよー。今日はいつもより早いね。」
「うん!昨日はあまり眠れなかったよ!」
「遠足前の小学生みたいだなぁ。まあいいか。とりあえず電車乗ろう。」
「うん!」
「今日も晴れて良かったねぇ。」
「そうだね!雨だと面倒だしね!」
しまむらの家を出て、二人で駅に向かう。しまむらとは毎日一緒なので特に会話は無くても、沈黙が苦痛ということもない。ただ、しまむらの歩くスピードが遅いので、自然としまむらに合わせてしまう。
「あっ……ごめん、ちょっとトイレ行ってくるから先にホーム行っててくれる?」
「わかった!」
しまむらがトイレに向かったのを確認してから私はベンチに座って待つことにした。
(あ~どうしよう……)
実は昨日の夜あまり寝られなかったというのは嘘だ。本当は全然眠くないのだが、少しでも長く一緒にいたかったのでそういうことにしておいた。……それにしても、しまむらと二人きりで出かけるのは初めてだからとても緊張する。……でも、それ以上に楽しみでもある。……しかし、こんなことで本当に大丈夫だろうか?もし、私が変に意識してしまむらに嫌われたらどうしよう……。
しまむらのことが好きだと自覚してから、私はしまむらの言動に過敏に反応してしまっている気がする。例えばしまむらが私のことを可愛いと言ってくれた時など、すぐに顔が熱くなり、まともにしまむらの顔を見れなくなってしまう。
しまむらが他の女の子と話している時は、胸の奥がチクッとして嫌だと思うし、しまむらが自分以外の誰かと仲良くしていたら、なんだかもやもやする……これは一体なんだろう? しまむらがしまむら妹に何か言われているときは、しまむらに抱きつきたくなって、しまむらがしまむら妹に何か言っているときは、しまむらを抱き締めたくなる。
しまむらのことを考えるだけで色々な気持ちになる。
私はしまむらのことを考えているうちに、しまむらがトイレから戻ってきた。
「お待たせー。それじゃあ行こうかー」
「うん!」
私たちは水族館へ向かうため電車に乗った。水族館へ着くとまず最初にクラゲの展示コーナーへ向かった。そこには様々な種類のクラゲがいた。……正直、私はクラゲについてよく知らないけれど、水槽の中を自由に泳ぐクラゲたちはとても綺麗だったと思う。
次にペンギンのコーナーへと向かった。ここではペンギンたちの可愛らしい仕草を見ることが出来た。
そして、最後にイルカショーを見た。
「しまむら!すごい!いまジャンプしたよ!」
「そうだね、凄いね。」
しまむらは興味なさそうにしている。
「しまむら!しまむら!見て!あの子、すっごく可愛い!」
しまむらがこちらを振り向く。
「んー?どれ?」
「ほら、あそこ!あの白い子!」
「ああ、あれね。確かに可愛いね。」
「でしょ!?」
しまむらの一言で、思わず声が大きくなってしまう。
しまむらのことが大好きだと気付いてから、私は自分が自分でないようになってしまった。しまむらの些細な言動に過剰に反応してしまい、しまいにはしまむらの表情の変化まで目で追うようになってしまう。……今だって、私はしまむらに話しかけるタイミングを狙っているのだ。……でも、なかなか上手くいかない……。……すると突然、しまむらと目が合った。私は慌てて目を逸らす。……しまった……変に思われたかな……。恐る恐るしまむらの方を見ると、特に気にしていない様子だったので安心する。……良かった。
その後も、しまむらとは色々あった。
例えば、二人で歩いているときに、たまたま通りかかったクレープ屋さんを見て、 しまむらが食べたそうな顔をしたので、 私は勇気を出してしまむらに声をかけてみた。
「し、しまむら!あ、あの……えっと……その……わ、わた、私、しまむらに……お、お願いがあるんだけど……」
「ん?どうしたの?」
(……こ、これって、デートみたいだよね……)
しまむらと二人きりで出かけるのは初めてなので、少し緊張する。
「……。」
しまむらがトイレに行ってしまって一人きりで待っている間、私はしまむらのことを考えていた。
しまむらが私のことを可愛いと言ってくれた時、私は顔が熱くなり、まともにしまむらの顔を見れなくなってしまった。
しまむらが他の女の子と話している時は、胸の奥がチクッとして嫌だと思うし、しまむらが自分以外の誰かと仲良くしていたら、なんだかもやもやする 。……これが、嫉妬というものなんだろうか。
しまむらが、別の女の子と楽しそうに話をしている。
しまむらが、その子と手を繋いでいる。
しまむらが、その子と公園のベンチに座っている。
しまむらが、その子と腕を組んでいる。
しまむらが、その子と手を繋いだまま歩いている。
しまむらが、その子に告白をされている。
しまむらが、その子に……
――しまむらのことが好きだという気持ちに気付いたのはいつだっただろう。
最初はただのサボり仲間で、一緒にピンポンをする程度の仲でしかなかった。
でも、しまむらと過ごす時間が増えていくうちに、私はしまむらのことが大好きになっていった。
しまむらの些細な仕草にドキッとする。しまむらのことを考えるだけで色々な気持ちになる。しまむらはそんな私の変化には気付かない。しまむらはいつものように私に接する。それが少しだけ寂しい。
しまむらがトイレから戻ってきた後、私たちはチンアナゴのコーナーへと向かった。「うーん、やっぱりこのコーナーはすごいね。……何度見ても飽きないし、面白い。」
「うん、そうだね。……でも、しまむら。……ちょっと近いよ。」
しまむらが水槽の前でしゃがみこんだせいで、しまむらの顔がすぐ近くにある。「え?あぁ、ごめん つい夢中になっちゃった」
しまむらが立ち上がる。
「しまむら、次はどこに行こうか?」
「うーん、じゃああっちの方行ってみようか」
しまむらが指さす方向に歩いて行くと、そこには『オーロラ広場』と書かれた看板があった。
「あ、ここってベルーガがいるところだよね」
「へぇ、そうなんだ」
「しまむら、動物好き?私は結構好きだな」
「わたしも好きだよ」
「そっか、良かった。」
しまむらが嬉しそうにしている。
しまむらが喜んでくれると、自分も嬉しい。
日が暮れ始め、空がオレンジ色に染まる頃、私はしまむらと二人で帰路についていた。
今日一日、しまむらと過ごした時間は本当に楽しかった。しまむらと一緒なら、どこに行っても楽しい。しまむらと一緒だから、どんなことでも特別になる。
しまむらと別れて、家に帰る途中もずっとしまむらのことを考えていた。しまむらと初めて会った時のこと、一緒にピンポンをした時、しまむらと本屋に行った時、しまむらが私の頭を撫でてくれた時、しまむらが……。
――しまむらのことを考えると胸がドキドキして、苦しくなる。
しまむらと離れたくない。
しまむらともっと一緒にいたい。
しまむらと……キスしたい。
しまむらと…… ――しまむらと、恋人になりたい。
――
安達のことが心配だ。さっきからずっと黙り込んで下を向いてるんだよねぇ。どうしたものか。とりあえず声をかけてみるか。
安達に声をかけるが、俯いたままだった。……何回か試した結果、安達は人前で話さないのが一番良いと判断してピンポンを続けることにした。安達の様子がいつもと少し違ったことは気がかりだが仕方がない、諦めるか……。
2日目の昼休みになっても安達とは距離のある状態が続いていたのだった。
――今日も授業が始まる前の短い時間でわたしは1人でお弁当を食べ終え、安達の様子を見てみる。相変わらずの状態だった。……ん、今安達の方をチラッと見たら目が合ってしまった。……安達が慌てる。……しまったなあ。こっちを見ているのは分かっていたがまさか目が合うと思っていなかったせいで思わずドキッとしてしまって動揺を隠せなかったのだ……どう誤魔化すか。
しかしそんなことを考えていた矢先、 教室の入り口の方で騒がしい気配を感じたと思った時には既に手遅れになっていた。……ああー。
「ねー、しまむらちゃん」
そう言って話しかけてくるのは安宅さん。
わたしは困ったような表情を浮かべながら言った。
「なに?」
すると、わたしの机の上に座る。
そして、ニヤッと笑ってこう聞いてきた。
「しまむらちゃん、この前デートしてたよね?」…………まずいことになったなぁ。
わたしの顔が引きつるのを感じる。
安達の視線も痛くなってきた気がする。
何故バレたかというと、おそらく見られていたのだろう。
あの時は結構急いでいて周りをよく見ていなかったのだ
「どこ行ってたの?教えてくれても良かったじゃん。わたしにも紹介してくれればよかったのにぃ〜」
そう言いながらわたしの首筋辺りに顔を近づけてきて匂いを嗅ごうとする。
わたしは慌てて椅子ごと後ろに下がった。
安達が凄い形相でこちらを見ている。
「……えぇ〜?しまむらちゃん汗かいちゃってるのぉ〜?ふひひっ。いい香りがするか確かめさせてもらってもいいかな〜?あ、もちろん嫌なら別にいいんだけど〜?」
――その時、何かが切れてしまった音がした。
気がついたら安達が
「……安達です」
と呟いていた。……安達の目からはハイライトが無くなっているように見えた。
「へっ?」
と、間抜けな声を出す安宅さんの手を安達は掴み、そのままどこかに連れて行こうとする。……おいおい、ちょっと待って!安達は何をしようとしているんだ。
「ちょっ!安達!ストップ!」
わたしが止めるが安達には聞こえていないようだった。
安達はまるで幽鬼のような顔で、
「……しまむらは私のですから。……触らないで下さい……」
と言い放ち、そのまま教室から出て行ってしまった。
「あ、安達?……あああ」
――
あーあ。やっちゃったねぇ。
「安宅さん。安達追いかけないと。このままじゃマズイよ」
安宅さんにそう言うが、
「うぅ……怖いよー。しまむらちゃん助けてー」
と言って抱きついてきた。……。
安達を追いかけたい気持ちはあったが、 今はそれよりも
「ごめん、無理」……そう言って安宅さんを引き剥がす。
そして、教室を出て行った。……ま、さすがにこれは安達が悪いわな。うん。
その後安達を見つけたのは体育館裏にある焼却炉の前だった。
安達は1人そこに座り込んでいた
「安達、大丈夫?」
わたしが声をかけるとビクッとした後、ゆっくりと振り返り、わたしの姿を確認すると安心したようにため息をつく。……安達の表情を見てわたしは驚いた。
泣いている……。
安達の頬を涙が伝っている。
わたしの姿を見て
「……しまむらっ!!」
と立ち上がり、泣きながら飛びついてくる。……安達を受け止めたは良いものの、勢い余って2人とも倒れこんでしまった。
安達はわたしを押し倒すような形で乗っかってきており、わたしの胸に顔を埋めたまま涙を流し続けている。
安達の頭を撫でて「安達」と言うと、ガバッと起き上がりわたしを見つめてくる。
その目はまだ潤んでいたが、
「しまむらぁ〜」
また飛びつかれて押し倒される。
「安達」
「しまむらぁ」
「……安達」
「しまむら」
「……」
「しまむら」
「はい」
「しまむら」
「何でしょう」
「しまむら」
「……いや、もういいけど」
「しまむら」
「分かったってば」
「しまむら」
「ああー、うるさいなぁ。なに?」
「しまむらぁ〜、私どうしよう……」
「……とりあえず落ち着いて。深呼吸して。ほら、吸って、吐いて。はい、もう一回」
「スー、ハー、スー、ハー。……よし、落ち着いた」
「お、良かった良かった。それで?落ち着いたところで聞かせて欲しいことがあるんですけれども。」
「はい」
「一応聞くけど、安達はどこまで覚えてる?」
「えっと……確か……しまむらの家に行って、それで……」……なるほど。概ね予想通りといったところか。
「あの後、安達は安達だよ。何も変わってない。安達のまま。だから気にしなくていいと思うよ」
「でも、私があんなこと言わなければ……今頃、きっとみんなも受け入れてくれたはずなのに……。あ、そうだ。しまむら、携帯貸してもらえませんか?」……ん?なんでだろう?
「いいよ。はい」
そう言ってスマホを渡すと安達は自分のポケットから自分のものを取り出して操作し始める。しばらくして返されたそれを見ると着信履歴があった。……誰だろこれ? 電話に出ると安宅さんの声が聞こえた。
『あ、もしもーし、しまむらちゃん?』……安宅さん?
「はーい、しまむらですよー」
安達の方を見るが首を横に振っていた。
安達は安宅さんに電話をかけていないようだ。
『安達ちゃんのことなんだけどね』「うん」
『あー、あれからいろいろ聞いたんだよー。そしたら、安達ちゃんがしまむらちゃんの家に泊まったって聞いて、安達ちゃんが暴走したって言うからさー。……安達ちゃんにはキツく言っといたよ。……しまむらちゃんには迷惑かけちゃダメだってさ。それと、ごめんなさいって伝えておいて欲しいんだよね。あと、私は全然気にしてないよって。それだけ伝えたくてさ。じゃ、そういうことで』ブチッ!ツー、ツー、ツー。一方的に切られてしまった。
「うわっ、相変わらず一方的というか。……ま、いっか。安達、なんか飲む?」
「……ジュース?」
「あいよ、ちょっと待ってて。……はい、コーラ。安達、好きだもんね。」
「ありがと……」
安達は一口飲んではっとする。
「……この味知ってる」……そりゃそうでしょうとも。
「安達の家の冷蔵庫に入ってたものだからねぇ」
「え!?私の家にあったのをわざわざ買ってくれたの!?」
「まぁ、そうだけど」
「ありがとう!嬉しいっ!!」……そんな喜ぶほどの事だろうか。
安達が嬉しそうな顔をしているとこちらもなんだかこそばゆい気持ちになる。
それからしばらく安達と他愛もない話をしながら時間を潰すのだった。
安達が落ち着きを取り戻したのを確認して、 安達を連れて帰ることにした。
安達は名残惜しそうにしていたが、また明日会えるということで納得してくれたらしい。……しかし、安達がわたしのことを好きなのか分からないというのは少し困ったものだなぁ。……もう少し様子を見るか。
――わたしの中の何かが囁いている気がしたが、気づかなかったことにした。
次の日、朝から雨が降っていて外では傘の花が咲いていた。
いつものように適当に朝食を食べていると玄関の鍵を開ける音が聞こえる。誰か来たようだが、生憎今は手が離せないため、そのままにしておいた。すると、バタバタとした足音と共にリビングに飛び込んでくる影があった。その人物とは勿論、安達である。
「おはよう、しまむら」
「おはよー。よく眠れた?」
「うん。ぐっすり」
「それは良かった」
「……ところで、これはどういう状況?」
「見れば分かるでしょう。ご飯食べてる」
「いや、そうではなくて……」
「安達も食べる?」
「いただきます」
「はいよ」
安達は席に着くとその光景を見て目を丸くしていた。
「しまむら、料理できたんだ……」
「失礼な。……といっても簡単なものしか作れないけどね。目玉焼きとかトーストとか。後は昨日の残り物」
「十分すごいと思うけど……」
「そうかな?」
「そうだよ。……私なんてカップ麺すらまともに作れるか怪しいし」
「お湯入れるだけだから簡単だと思うんだけどねぇ。……はい、出来た。安達、先に飲み物出しておいてくれない?コップはこれ使っていいから」
「分かった」
安達はキッチンへと向かい、お茶の入ったグラスとコーラを持って戻ってきた。そして、手を合わせて「いっただきまーす」と言ってから食事を始める。
「それで、安達は何でここにいるわけ?もうすぐ学校始まるんだけど分かってる?あ、まさかサボり?不良娘めー」
冗談交じりに言うと安達は慌てながら否定してきた。
「ち、違うよ!……今日はちょっと用事があるっていうかなんというか」歯切れの悪い答えだったがとりあえず置いておくことにしよう。それよりも聞きたいことがあるのだ。
「それよりさ、これ何?」箸で指したのはテーブルの上に置いてある一通の手紙だ。
「……ラブレターだよ」
「へぇ、これが噂の。……それじゃあ行ってくるといいよ。ほら、早くしないと遅刻するよ?」
「……しまむらは来ないの?」
「行く訳ないじゃん。面倒だし。それに、安達なら大丈夫っしょ。可愛いし、頭良いしさ。……じゃ、わたしは先に出るんで。鍵は持ってってもいいけどちゃんと施錠して帰ってよね。んじゃ、バイバーイ」
安達は何か言いかけていたようだけど、無視をして家を出た。……だって、めんどいもん。
教室に入ると安達が1人でポツンと座っていた。……珍しいこともあるものだ。あの子は大抵誰かと一緒にいたような気がするが……。友達がいないわけではないだろうに。まぁ、わたしには関係ないことだ。わたしは自分の席について鞄の中から教科書を取り出して机の中に仕舞う。そして、授業が始まるまでボーっとすることにした。……あれからどれくらい経っただろうか。どうやら寝てしまっていたようだ。チャイムの音で目が覚める。ふわぁ、と思いっきり伸びをした。時計を見ると次の授業の時間になっていた。……安達はどこに行ったのだろうか。休み時間になるといつも一緒にいたのに。
トイレにでも行ってるのだろうか。
まぁ、別にいいけど。
わたしはまた意識を夢の中へと旅立たせていくのだった。
放課後になって帰ろうとしていると後ろから声をかけられた。
振り返るとそこには安達がいた。
「どうしたの?」
「えっと、その、しまむらに用事があって」
「そうなの?」
「うん。今から一緒に来てもらっていい?」
「いいけど、どこに?」
「着いてくれば分かるよ」
そう言って歩き出した安達の後を追うようにして付いていく。……一体、何処に行くつもりなのだろうか。
「ここ」
しばらく歩いて到着した場所は見覚えのある場所。
「図書室?」
「うん」
「なんで?」
「えっ!?︎そ、それは……」明らかに動揺していた。
「あーはいはい」適当にあしらうことにした。
「うぅ」
「それで、何?本を読むとか?」
「そういうことじゃないんだけど」
「じゃあ何さ?」
「えーっとね、…………その……」安達はモジモジしながら俯いていた。
「ん?はっきり言わないと分からないんだけど?」
「だから、その、……しまむらのことが好きって言ったら、しまむらは私のことを嫌いになるかな?」
「えっ?」……これはどういう状況なのか。
「好きって、つまり、恋愛的な意味で?」
「……うん」
「……マジで?」
「……うん」
「……そっかぁ。……なるほどねぇ。……でも、どうしてわたし?」
「……しまむらといると落ち着くんだよね」
「へぇ〜」わたしは特に何も考えずに相槌を打つ。
「それでね!それだけじゃなくて、私はしまむらともっと仲良くなりたいなって思って!」
「ふむふむ」
「それで、色々考えた結果、どうすればいいのか分からなくなってしまって、相談に乗ってもらおうと思ったんだ」「ふむ。なるほど」
「……ごめん。急にこんなこと言われても困るよね」
「いや、別にいいけどさ。……ちなみに、わたしとどうしたいの?」
「えっと、その、お付き合いできたらいいな、なんて思っているというか、あわよくば、結婚したいと思っているというか、とにかく、しまむらとずっと一緒に居られたら幸せだなって思ってるの!」
「ふーん」わたしは気のない返事をする。
「あっ、やっぱりダメだよねぇ。そうだよね。しまむらにはもう既に付き合っている人が居るもんね。」
「えっ?いないよ?」
「嘘っ!?︎本当に?それなら、私にもチャンスがあるってことだよね?」
「えっ?いや、まあ、そうだけど。」
「やった〜!!︎」
「ちょっと待った。まだ、OKしたわけじゃないからね」
「大丈夫だよ。だって、しまむらは私のことが好きだから」
「いや、それはない」
「そんなことないよ。きっと、私がしまむらのことを好きなのと同じくらい、しまむらは私のことを好きでいてくれているはず」
「いやいや、絶対に違うから」
「そ、そうなの?」
「そうだよ」「じゃあ、もし違っていたとしても、これから好きになってもらえるように頑張ればいいんだね?」
「そういうこと」
「分かった。じゃあ、まずは呼び方を変えようと思うんだけど、しまむらのことは何て呼べばいいのかな?」
「えっ?なんで?」
「えっとね、仲の良い人はお互い名前呼びが多いみたいなんだけど……駄目かな?」
「うーん……別に構わないけど」
「ありがとう!じゃあ早速しまむらのことを呼び捨てにしてもいい?」
「えっ?」
「嫌だったらいいんだけど……」
「いや、全然問題無いけど……急すぎてビックリしたというか」「良かったぁ。じゃあ、今度からは『しまむら』じゃなくて、『抱月』って呼ぶね?」
「うん。……じゃなくて、はい。お願いします。」
「敬語じゃなくても良いんだよ?」
「いや、それは流石に……。それより、早く行こうよ。」
「了解。じゃあ、行こっか。」
――
しまむらと私は並んで歩き始める。
しまむらは今日も可愛い。
しまむらはいつも通り、だらしない格好をしている。
しまむらは、背が高くて、足が長くて、胸が大きくて、髪は黒々としていて、艶があって、目は大きくて、鼻筋は通っていて、唇は薄くて、肌は白くて、まるで外国のモデルさんみたい。
しまむらは、私と違って可愛くて、綺麗で、何でも出来ちゃう。
しまむらは、私とは違って優しくて、頼りがいのある人だと思う。
しまむらは、私なんかよりもずっとずっと凄い人で、頭が良くて、運動神経も良くて、なんでも出来る。
しまむらは、私にとって憧れの存在だ。
しまむらは、私とは違う世界に住んでいる。
でも、それでも私は……しまむらとずっと一緒にいたい。
私は、しまむらのことが好きだから。
空はまだ灰色に染まる中、太陽な存在のしまむらがいるだけで、私の心は晴れやかな気持ちで満たされていた。
安達としまむら AIが紡ぐ二人の物語
―完―
一階を見下ろすことのできる側には、緑色のネットがかかっている。打ち損じたボールが下に落ちないようにと、卓球部がこの学校にあった頃の名残と思われる。それの端をお尻で踏んづけて、安達とぼそぼそお喋りするのもいささか飽きていたところなので、わたしも賛成した。
十月下旬、衣替えが済んで、でもまだ長袖の制服が少し暑い季節。空は高く、青く澄んでいて体育の授業もグラウンドで行われている。体育館を勝手に利用しているのはわたしたちだけだ。下を覗いて確認してから、安達と卓球台の準備を始めた。
※ここまで、入間人間 著『安達としまむら』第1巻より引用
以下、AIのべりすとが書き下ろした文章です(一部管理人による加筆・修正あり)。
――
そうして始まった卓球は、実に三時間ほど続いた。昼食を食べてから始めたというのもあるし、二人しかいないから延々とラリーが続くのだ。わたしたちは言葉少なに、ラケットでボールを弾いた。時々、安達が妙なことを言い出す以外は、本当に静かなものだった。
三時間経って、さすがに疲れてきた頃に、ようやくわたしは言った。
「もう終わりにしない?」
「えー」
不満そうな声を出した安達だったが、すぐに同意してくれた。
「そうだね。ちょっと休憩するか」
「うん」
そしてわたしたちは、並んで座りながら黙って壁を見つめた。天井近くの小窓から差し込む光は、すでにオレンジ色になりつつある。日が短くなっていることを実感する。
やがて、ぽつりと言ったのは安達の方だった。
「しまむらって、運動神経いいよね」
「そう? 普通だと思うけど」
「そんなことないよ。なんか、フォームきれいだし、速い球打てるし」
「う~ん……まあ、小さい頃からやってるからねえ」
「へぇ、何歳から?」
「幼稚園くらいかなぁ」
「すごい」
感心しているらしい安達の横顔を見て、わたしは何だかくすぐったくなる。褒められるというのは、なかなかどうして悪い気分ではないものだ。
「じゃあさ、今度うちの卓球部に遊びに来ない?」
「……なんでまた」
わたしは首を傾げる。別に部活に入っているわけではないけれど、わざわざ練習するほど熱心でもない。それに、卓球なんてやるのは小学校以来だ。
「ほら、私一人だと寂しいじゃん?」
「ああ、そういうこと。それなら他の友達誘えばいいじゃない」
「だってみんな用事あるっていうんだもん!」
頬を膨らませて抗議してくる安達。どうやら本気で言っているようだ。確かに安達は友達が少ない。同じクラスになってからそこそこ経つというのに、未だに会話するのはわたしぐらいなのだ。
「それはご愁傷様だけど、わたしも卓球部に入るつもりはないわねぇ」
「なんで!? 楽しいよ卓球! しまむらきっと上手だよ!」
「わたし、そこまで熱中できるタイプじゃないんだよなあ。ていうか、安達もあまり好きそうには見えないんだけど」
「むぅ、やってみないとわからないじゃないか」
唇を尖らせる安達。その姿を見て思う。なんだか、出会った頃の安達を思い出すような仕草が多い。最近になって安達が見せてくれるようになった一面の一つかもしれない。
安達の変化が嬉しいのか、戸惑っているのか、自分でもよくわからなかった。ただ、安達に対して抱いている感情が以前よりも複雑になっていることは確かだった。
「あっ、そうだ。それなら卓球部のマネージャーになればいいんじゃないかな。それならしまむらも卓球ができるし、一石二鳥でしょ?」
安達が名案を思い付いたように手を打った。
「それもいいかもね。でも、わたしはあんまり体動かすの得意じゃないから、力仕事はできないと思うよ。卓球台片付けろとか言われたら困っちゃうし」
「……そっか、それもそうだよね」
明らかに落ち込んだ様子の安達。
わたしが何か言う前に、安達が口を開いた。
「そしたら、せめて卓球の対戦相手をしてくれない? せっかく二人で一緒にいるんだしさ」
安達の言葉に、わたしは少しだけ考える。
放課後、安達と一緒に帰るのは嫌いではなかった。安達が一方的に話しかけてくるだけで、わたしは何も話さないことが多いのだけど、それでも誰かと一緒なのはやっぱり安心できた。今日みたいに卓球をするのも悪くない。
でも、わたしは首を横に振った。
「うーん、それならいいよ。でも、もう少しちゃんとしたコートでやりたいかな。ピンポン玉って結構危ないし、床の板目で怪我することもあるって聞くし」
「あー、たしかにあるね」
安達は納得したようで、何度か肯いてくれた。それから、自分のバッグの中を漁り始める。
「よし、じゃあ行こう」
「行くってどこに?」
「卓球場。ここの近くにもあるの知ってる?」
知らなかった。
「ちょっと遠いけど、電車に乗って行けばすぐに着くはず」
「……さすが安達。よく調べてるねえ」
わたしが感心すると、安達が得意げに鼻を鳴らした。
――
そして、わたしたちは駅に向かって歩き出した。
安達が道案内してくれるおかげで、わたしは初めて利用する駅の改札にも迷わずたどり着くことができた。
平日の夕方だからなのか、構内はあまり混んでいないようだった。
「しまむら、こっち」
安達が階段を上っていくのに続いて、わたしもその一段目に足をかけた。
「……」
そこでふと考える。
わたしはこれからどこに行くのだろう。
「あの、安達さん」
「何?」
「……今から卓球するんだよね?」
「うん、そうだけど」
「……わたしたち、どこに向かわされているのでしょう?」
「えっと、駅前の卓球場だよ」
「……なんで?」
「なんでって、遊びに行くって言ったじゃん」
安達は当たり前のように答える。
「……ああ、あれは遊びの話だったんだ」
「?」
安達は不思議そうな顔をしている。
わたしも首を傾げた。
安達の行動には時々こういうところがある。
安達は目的もなく行動するタイプの人間ではないはずだ。なのに、たまに意味不明なことを言い出すのだ。しかも、本人はそれを自覚していないらしい。
「まあ、いいや。それで、卓球場に着いたらどうすればいいわけ?」
「受付に行ってお金払えばいいんじゃなかったっけ?……あぁ、しまったなあ。私、お金足りないかも。どうしよう……」
急に不安そうになる安達。なんだか放っておけない雰囲気だ。
仕方ないなあと息をつく。
「はい、これ使っていいよ」
わたしがお金を渡そうとすると、なぜか制服の内ポケットに入れていた生徒手帳を差し出してくる安達。
「いらないよ。安達が持ってて」
「……そう言われると思ってた。でも、大丈夫だと思う。卓球場の料金って安いし、多分、お釣りくれるから」
「……それならいいんだけど」
安達から生徒手帳を受け取る。
「はい、確かにお預かりしました」
「うむ、よろしく頼むぞ。我が友よ」
安達は大仰な調子で言う。
わたしはそれに小さく笑って返した。
「では参りましょうか、姫君」
――
2人で券売機に向かう。
目的地までの切符を買って、ホームに降りるとちょうど電車が来たところだった。
ドアが開いて乗り込むと、車内は比較的空いていた。わたしと安達は並んで座席に座ることができた。
電車はすぐに走り始めたけれど、しばらくは沈黙が続いた。
わたしは窓の外を流れる景色を眺めながら、ぼんやりしていた。
安達はというと、わたしと同じように外の風景を見ていた。
しかし、その視線はどこか遠くを見ているような気がした。
そんな横顔を見ながら、わたしは考えていた。
安達は一体何を考えているのだろうか。
安達はいつもと変わらない様子に見える。
でも、それは表面的なことで、もっと深くを見ると違うのかもしれない。
例えば、今日の朝、靴箱で会った時のこと。
安達は何かを言いかけて、そのまま黙ってしまった。
そして、その後の休み時間も、昼休みも、放課後になっても、結局何も言わないままでいた。
わたしは何を言うべきか分からなくて、安達の言葉を待っていた。
でも、安達は何も言ってはくれなかった。
安達がわたしに何かを伝えようとしていたことは間違いないだろう。
わたしはそれを知るべきなのか、知らない方がいいのか、判断がつかない。
ただ、安達が何を考えていて、何を伝えたかったのか知りたいと思った。
電車が目的の駅に到着したので、わたしたちは電車を降りた。
駅から少し歩くだけで、駅前の喧騒からは離れることができ、落ち着いた住宅街に入った。
その先に、安達の言っていた卓球場があった。
安達は迷わず進んでいく。その後ろ姿についていく。
しばらく歩いて、とある一軒家の前で立ち止まった。
表札を確認すると、『安達』と書かれている。……そういえば、この辺りは安達の家の近くだったかなあ。
「ここだよ」
「へー」
安達の家はそれなりに大きい二階建ての洋風建築だった。
玄関の横にはガレージがあって、車は2台停まっている。どちらも白い軽自動車だ。
安達は玄関の前に立つと、鍵を取り出して開けた。
「ただいま」
「お邪魔します」
安達に続いて中に入る。
「おかえりなさい」
奥の方から女性の声が聞こえてきた。
声の主はエプロンをつけた若い女性だった。
容姿は安達に似ていて、背は高く、スタイルも良い。
モデルさんのような美人さんだ。
「お母さん、今日友達を連れてきた」
「あら、そう。いらっしゃい」
「あ、はい。どうも」
ペコリとお辞儀をする。
女性は笑顔で返してくれた。
「さあさあ、上がってちょうだい」
「うん」
促されるまま、家の中に上がる。
「はい、スリッパ」
「ありがとう」
「あ、そうだ。自己紹介してなかったね。私は桜の母の赤華です。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。えっと、わたしは――」
「知ってるわよ。抱月ちゃんでしょう?」
「……どうして名前を知ってるんですか?わたし、名乗ってませんよね」
「ふっふっふ。娘から話は聞いているのよ。学校一の問題児である『氷の女王』と呼ばれている子と一緒のクラスなんだって?」
「……問題児って」
「それで、仲直りしたんでしょう。良かったじゃない」
「……」
「まあまあ、お母さん。とりあえず、部屋に案内しようよ」
「それもそうね。じゃあ付いてきて」
リビングを通り抜けて階段を上っていく。
2階に上がり廊下を進んだ一番奥の部屋が安達の部屋らしい。
安達が扉を開けると、安達母が顔を覗かせた。
「ベッドとか好きに使っていいからね。あと、冷蔵庫に飲み物が入ってます。他に何かあったら遠慮なく言ってください。それでは、失礼しました」
と言って、部屋を出て行った。
安達母は、見た目は若く見えるけど、言動はしっかりしているように見えた。
安達とは正反対に見える。
安達母は出て行く時に一度振り返り、「夜ご飯できたら呼びに来るからゆっくりしていてね」と言い残していった。
……1人取り残されたわたしはベッドの上に腰かけた。
安達も隣に座った。
安達の匂いがする……。
安達も緊張していたようで、肩の力を抜いて大きく息を吐いた。
安達が口を開いた。
「あの、さっきの人は私の母の赤華。普段は家にいないんだけど、今日はたまたま仕事が休みだったみたいで、帰ってきたんだよ」
「そっか。安達のお母さん、すごく綺麗な人だったね。それに、優しそうな人だし、安心したよ」
「……うん、自慢の母親なんだ」
嬉しそうに話す安達を見て、わたしも嬉しい気持ちになった。
「安達はお父さんとも一緒に住んでいるの?」
「ううん、父はいないよ。私が小学生の時に離婚して、今は母親と2人で暮らしている。……あ!でも大丈夫だから心配しないで!」
「……それはどういう意味?」
「えーと……その」
「あぁー別に言いたくないなら言わなくて良いよ」
「ごめん」
「謝らないでよ。誰だって話したく無いことの一つや二つはあるよ。それより、安達は普段何して過ごしているの?」
「読書したり、ゲームしたりするくらいかな」
「へー、どんな本を読んでるの?」
「主にラノベだけど、たまに小説を読むこともあるよ」
「例えば?」
「最近はこれ」
そう言って、カバンの中から取り出した本を渡された。
表紙にはタイトルが書いてあるだけで、中身は見れないようになっている。
「この本はどんな内容?」
「異世界召喚された主人公が勇者として魔王を倒す物語だよ」
「面白そうだね。読んでみるよ」
「うん」
「安達はどんなジャンルが好き?」
「ファンタジー系が多いかな」
「そっか。なんか安達っぽいかも」
「そう?」
「うん。安達はいつも落ち着いていて大人びてる感じがするから」
「そんな事ないと思うけど」
「そんなことあるよ。少なくともわたしにとってはそう見えてた。安達は猫みたいだなって思ってた。ほら、こんな風にすぐ懐いてくるところとか」
わたしは両手を広げて安達の方に向けた。
すると、安達は飛びついてきた。
そのまま、ぎゅっと抱きしめる。
安達の身体はとても柔らかく、そして温かかった。
「……しまむら、ちょっと苦しい」
「あ、ごめん」
慌てて手を離す。
「ふぅ」
安達は少し苦しかっただけのようだ。
「しまむら、私を抱き枕にして寝たい?」
「抱き心地良さそうだもんね。じゃあお言葉に甘えて」
そう言って安達を横向きに抱えるようにしてベッドに倒れ込んだ。安達の頭の下に自分の腕を差し込む。
安達の顔が目の前にある。
安達の目は閉じられており、長いまつ毛が目元に影を落としていた。
(相変わらず可愛い顔しているな)と思ったところで我に返った。
よく考えたらこの状況はまずくないか? ベッドの上で女の子を後ろから抱っこするようにして密着している状態って、どう考えてもよろしくない気がするんですが!?︎ 心臓がバクバク言っている。安達にも聞こえてしまっているんじゃないだろうか。
安達は規則正しい呼吸をしながら眠っているように見える。……良かった。
起こさないように静かに深呼吸する。
安達の首筋からシャンプーの良い香りが漂ってくる。
安達はわたしと同じものを使っているはずなのに、どうしてこうも良い匂いがするんだろう。
安達は、わたしより小柄だから、わたしの腕の中にスッポリ収まっている。
安達の髪がわたしの鼻に当たってこそばゆい。
安達は温かい。
安達の体温を感じながら、わたしはいつの間にか眠りに落ちていった。
…………
「しまむら、起きて」
誰かが耳元で囁いている。
「ん、おはよう安達」
「おはよ。もう朝ごはんできてるよ」
安達はわたしの頭を撫でた。
時計を見ると、既に7時を過ぎている。
「え、もうそんな時間?」
「うん。早く来てね」
安達は部屋を出て行った。
「…………」
あれは夢だったのか。……まあ、いいや。それよりも今日も学校行かないとなぁ……。
私は着替えをしてリビングに向かった。朝食を食べ終わり、歯磨きをしていると安達に声をかけられた。
「あの、しまむら」
「なに?」
鏡越しに見る安達の顔はかなり緊張していた。
何か大事な用でもあるのだろうか。
「えーと、その、今日の放課後なんだけど、もし暇だったら一緒に本屋さんに行ってくれないかな?」
「本屋?」
「うん」
「本買いに行くの?」
「う、うん」
「別に良いけど、なんの本を買うの?」
「それは、その、秘密」
「秘密?」
「う、うん」
「別に良いよ。じゃ、終わったら連絡するね」
「わかった」
「それじゃ、また後で」
「うん」
――そういえば、安達と一緒にどこかへ行くなんて初めてじゃないか? わたしは少しだけワクワクしながら家を出た。
――
しまむらが玄関から出て行く音が聞こえる。
「ふう」
私は安堵のため息を漏らした。
危なかった。
昨日読んだ漫画のせいで変なこと口走ってしまうところだった。
でも、大丈夫。きっとバレていないはずだ。……だって、私が今読んでいたのは異世界召喚モノの漫画なんだから。
この前、しまむらが言っていた言葉を思い出す。
『安達はいつも落ち着いていて大人びてる感じがする』
そんな事ない。
ただ、しまむらの前では少しでも良い子でいたいだけ。
しまむらの前だと、私はいつも空回りばかりしてしまう。
しまむらは私にとって大切な人。
しまむらにとっても、そうなってほしい。
その為には、もっと素直になる必要があると思う。
そのための第一歩として、まずはデートに誘おうと思ってしまったのだけれど、いきなりハードルが高かったかもしれない。
とにかく、気合を入れすぎておかしなことを言わないようにしないと……!
……
「しまむら!」
安達の声に振り返ると、自転車に乗った安達がいた。「ごめんね。待たせちゃった?」
「ううん。全然待ってないよ。私もさっき来たばっかりだし」
「そっか。じゃ、行こうか」
安達の後ろに乗った。
安達にギュッとしがみつく。
「では出発します」
「はいよ」
安達の運転は安定していて、とても乗り心地が良い。
しばらくすると大きな建物が見えてきた。
安達が駐輪場へ停める。
「ここが目的の場所だよ」
安達が指差した先には本屋があった。
「ほほう。ここに来るのは初めてだねえ。何買うの?」
「それは着いてからのお楽しみです」
「ふむ。ちなみにどんな系統の本を読むのかね?」
「ジャンルは問わないかな。何でも読むし。しまむらは?」
「わたしはラノベが多いかも。あとは雑誌とかマンガかな。あ、でも最近はあんまり読まないから、わかんないかも」
「そ、そうなんだ」……なんか残念そうだな。
――店内に入ると、そこにはたくさんの本が置いてあった。
本棚の間を縫うように通路があり、そこを通って目当てのコーナーまで移動するようだ。
「それじゃ、行ってくるね」
「うん。ここで適当に見てるね」
安達は小説コーナーの方へ向かった。
わたしも適当なところを見て回ることにする。
「んー……」
安達の趣味に合わせてみようと思ったのだが、どれもパッとしない。
「どうしようかなぁ」
――その時、あるタイトルが目に入った。
「恋愛?」……最近そういう系の漫画を読んでいなかったので、ちょっと興味がある。
安達もまだ来ないだろうし……うん。一冊くらいならいいだろう。
「どれにしようかなぁ」
色々あって迷ったが、結局最初の巻を手に取った。
安達はまだ戻ってこなさそうだったのでレジに行って会計を済ませた。
「おまたせー」
「おかえり」
「はいこれ。あげる」
「え?」
「読み終わったら貸して」
「え?いいの?」
「うん。感想聞かせて」
「う、うん。ありがとう」安達は嬉しそうに受け取ってくれた。
それから、わたし達はショッピングモール内の喫茶店でお茶をして時間を潰した。
――
しまむらが渡してくれた紙袋を開ける。
中にはしまむらが最近読んでいるという漫画が入っていた。
早速読んでみることに。……………………。
「面白い!」
思わず声が出てしまった。
主人公がヒロインの為に一生懸命頑張る姿が胸を打つ。
私はその漫画に夢中になった。
しまむらもこの漫画が好きなのか。
しまむらが好きなものがわかって嬉しい。それにしても、しまむらはこういう漫画を読むのか。
意外だけど、これはこれで可愛い。
しまむらは普段、あまり感情を見せないけど、時々見せてくれる笑顔はとても可愛くて、私は大好きだった。
しまむらが笑うだけで、私の心は温かくなって幸せな気持ちになれる。しまむらは私にとって大切な人。だから、もっと笑ってほしい。その為にも、もっと素直にならないと!
――次の日、学校へ行く途中、しまむらを見つけた。
「しまむら!」
しまむらに声をかけた。
「お、おはようしまむら!」
「お、おう。……ど、どうしたの?」
「あの、昨日の漫画、面白かったよ!しまむらはこのシリーズ全部読んだことあるの?」
「ま、まあね。それなりに」
「そっか。じゃあさ、今度続きを貸してほしいんだけど」
「うん。いいよ」
「やった!」
しまむらと話せた。それだけですごく幸せだ。……でも、今日も素っ気なかったような……。もう少し頑張って話しかけないとダメだよね。
よし!頑張ろう!
――その日の放課後。いつものようにピンポンをしている最中のことだった。
しまむらが何か言いたげにしていることに気づいた。…………多分、さっきのことだと思う。
しまむらは照れ屋さんなのでなかなか自分のことを話さない。
でも、今日のしまむらはどこか様子が違う。
「しまむら。何か話したいことがあるの?」
「あ、ああ。実は、前に安達が言っていた漫画のことで聞きたいことが……」やっぱりそうだ。……でもどうして?まさか!?︎
「しまむらはアレを読んだの!?︎」
「いや、まだだよ。……でも、なんかハマっちゃったみたいで……」……よかったぁ。バレたかと思った。……でもなんで?
「それで、続きを借りようと思って」なるほど。そういうことだったか。……ちょっと待ってください。それってつまり……。
「じゃあ、一緒に行こう」……わーい!2人で行くんだー!
「え、あー、うん。そうだね」
「うん!」
――
「ふぅー」
「どうだった?」
「す、凄く良かった」
「そ、そうなんだ」
「うん」
「……じゃあ、はい」
「ありがと」
しまむらから本を受け取る。
この漫画、本当に面白いなぁ。
「それじゃ、わたし帰るね」
「うん。また明日」
しまむらを見送って家に帰った。
自室に戻って漫画を読み進める。……。
「うーん」
主人公の男の子がヒロインの為に一生懸命頑張る姿に感動する。
しかし、最後の方は少しやり過ぎな気がしてきた。
女の子だって嫌なことはあると思うし、主人公があまりにも一途過ぎるせいかもしれない。
「うーん」
私は考え込んだ。……。
「よし、決めた!」
私はベッドに寝転んでスマホをいじり始めた。
……そして、数日が経ったある日のことだった。
「しまむら!」
「お、おう。ど、どうしたの安達?」
「あの、その、漫画借りたままでごめんなさい!」
「お、おう。別にいいけど。あれ、そんなに気に入ったの?」
「はい!」
しまむらが笑っている。笑顔が可愛い。
「じゃ、じゃあ、今度続編貸してあげるよ。全巻持ってるから」
「ありがとう!楽しみにしてます!」
「おう」……これでいいはずだ。
――それから数日後。
私が漫画を読んでいると、しまむらが現れた。
「あ、あのさ、その漫画だけど……」
「はい!読みました!」
「お、おおそうか。どうだった?」
「うん!とっても面白かった!」
「そ、それは何よりだ」
「はい!」
「……」
「……」……沈黙が続く。
「あの、しまむら」
「あのさ、安達」
「あっ、どうぞしまむらから」
「いや、いいよ。安達から」
「いえ、しまむらから」
「わたしの方こそ」
「私の方が」
「あの、しまむら」
「あの、安達」
「……」
「……」
「ぷっ、はははははははははははっははっ」
「ふっ、ふふっふふっ」……なんだこれ。
2人同時に喋ってしまい、お互い譲り合っているうちにおかしくなってきた。
しばらく笑い続けた後、しまむらが言った。
「ははっ。変な感じになっちゃったね」
「うん。でも楽しかった」
「ふふっ。そうだね」
しまむらが笑う度に幸せを感じる。……この時間がずっと続けば良いのに。
――その日の放課後。いつものようにピンポンをしている最中のことだった。……安達の視線を感じる。……どうかしたのか? 安達に声をかけてみる。
すると、いきなり話しかけられたせいか安達が慌てる。
安達が落ち着くのを待って、話を続ける。……なんか、様子がおかしかった。……一体、何を考えてるんだろう。
まあ、いいか。それよりもピンポンだ。……しかし、なかなか調子が出なくてミスを連発してしまう。
結局、今日の成績は5点だった。……まずいなあ。安達のことも心配だが、それ以上に自分の方が心配だった。
――その日の夜。
わたしは自分の部屋で1人で勉強をしていた。
机に向かってノートを広げる。シャープペンを握って問題を解くが、いまいち頭に入ってこない。……うーん。どうも気分が乗らないなぁ……。少し息抜きをするか。
部屋の中を見渡す。
ふむ、雑誌がいっぱいある。その中からファッション雑誌を抜き取って開くと、パラパラとページを送る。そして適当に見開きを目で追う。……うーん。何か物足りないなぁ……。今度はファッション誌とは別の本を拾い上げる。……んー、何かが違う気がする。
別の本を開く。……うん、これも違うな。次の本の表紙を見ると、それを見た瞬間にわたしの頭に電流が走る。……お、おお。これならイケる。表紙に写っている服に心惹かれたのだ。わたしはそれを手に取る。……そして中身を開いた時、わたしは固まってしまった。そこには可愛らしい少女達が沢山写っていた。しかし、その子達は全て水着姿でポーズを取っていた。つまりは、えっちぃやつだった。しかもかなり過激め。
これはいけない。わたしはすぐに本を閉じた。……しかし、好奇心が勝った。もう一度だけ見てみよう。
わたしはおそるおそるページを開き、そこに目をやった。……わお。これはすごいな。こんなの着ちゃってるのか。あー、そういえば安達、こういうの好きかもなあ……。と、その時である。ガチャリという音が聞こえてきた。
ドアが開けられると同時にお母さんが部屋に入ってきた。
目が合う2人の間に沈黙が流れる。……しばし見つめ合ったあと、お母さんは笑顔で言ってきた。
その顔には冷や汗が見えるような気さえした。……マズい! 私は慌てて立ち上がる。そのままダッシュして逃げようとしたが、お母さんの方が早かった。
ガシッ 肩に手をかけられて振り向く。
そこには満面の笑みのお母さんがいた。
「ねぇ、抱月?」
あ、ああ、終わった……。わたしの高校生活が終わる…… その後、わたしはお母さんから尋問を受けることになった。
質問の内容は様々だったが、大体は安達との関係についてだった。
「それでね?抱月はその……どんな子が好みなのかなって思ってさ!」
私の答えを聞いた後、しばらく考え込んだ後にお母さんが聞いてくる。
「……うーん。じゃあさ、例えばの話だけど、もしその子と付き合えるとしたら、どういうデートをしたいとかあるかな!?」
「……えっと、うーん……、映画……とか……」
わたしの言葉を聞いて、お母さんは腕を組んで考える。
しばらくして、お母さんはぽんっと手を叩いた。
「よし!わかった!じゃあ次は水族館に行くといいよ!」……こうして次の行き先が決まった。
――
あの後のしまむらが怖くて何も言えないまま家に帰ってきたのだが……本当にこれからどうしよう……。明日になったらしまむらの記憶がなくなっていないかな?なんて期待しながら布団の中で考えていたが……そんな都合の良いことはなかったようだ。
そもそもどうしてしまむらに見られたのが恥ずかしかったのかよく分からない。……いや待てよ?……もし、しまむらの趣味嗜好を知った他の人達が同じ様な行動をしていたとしたら?それを思うだけで何故か胸の奥の方がモヤっとした感じになり嫌だと感じるのが分かる……多分だけど。
つまり、しまむらにそういう目で見られるかもしれないということに危機感を感じているんだと思う。でも……私がそうなってしまう相手は他の誰でもない、しまむらだった。……それが分かっただけでも収穫があったといえるのではないか。よし、そうと分かれば明日から色々と意識してしまむらのことを見るようにしなければ――って、それはダメじゃないか。そんなことしたら絶対変に思われてしまう……うーん。
しまむらのことを考えていると、しまむらから着信があったのですぐに電話に出た。
「もしもし。」
『おーす。安達は今何してるの?』
「さっきまで勉強してた」
『そうかいそうかい。ところで安達さん』
「なんですかー?」
『明日暇かなー?安達と水族館へ行きたいと思うんだけどー?』
「え?あ、うん。いいけど……」
『ほほう?そっかそっかー それじゃあ明日9時に駅前集合ね!』
「わ、わかりました……」
『んじゃ、お休み~』
「はい……お休みなさい……」
……なんか、すごく緊張してきた。
翌日、私は時間よりも早く家を出てしまった。……だって昨日のしまむらとの電話でつい口走ってしまったのだ。「明日楽しみにしてます!」と。その言葉が嬉しくて、待ちきれなくて、気付けば家を飛び出していた。
「おはよう!しまむら!」
「ういうい、おはよー。今日はいつもより早いね。」
「うん!昨日はあまり眠れなかったよ!」
「遠足前の小学生みたいだなぁ。まあいいか。とりあえず電車乗ろう。」
「うん!」
「今日も晴れて良かったねぇ。」
「そうだね!雨だと面倒だしね!」
しまむらの家を出て、二人で駅に向かう。しまむらとは毎日一緒なので特に会話は無くても、沈黙が苦痛ということもない。ただ、しまむらの歩くスピードが遅いので、自然としまむらに合わせてしまう。
「あっ……ごめん、ちょっとトイレ行ってくるから先にホーム行っててくれる?」
「わかった!」
しまむらがトイレに向かったのを確認してから私はベンチに座って待つことにした。
(あ~どうしよう……)
実は昨日の夜あまり寝られなかったというのは嘘だ。本当は全然眠くないのだが、少しでも長く一緒にいたかったのでそういうことにしておいた。……それにしても、しまむらと二人きりで出かけるのは初めてだからとても緊張する。……でも、それ以上に楽しみでもある。……しかし、こんなことで本当に大丈夫だろうか?もし、私が変に意識してしまむらに嫌われたらどうしよう……。
しまむらのことが好きだと自覚してから、私はしまむらの言動に過敏に反応してしまっている気がする。例えばしまむらが私のことを可愛いと言ってくれた時など、すぐに顔が熱くなり、まともにしまむらの顔を見れなくなってしまう。
しまむらが他の女の子と話している時は、胸の奥がチクッとして嫌だと思うし、しまむらが自分以外の誰かと仲良くしていたら、なんだかもやもやする……これは一体なんだろう? しまむらがしまむら妹に何か言われているときは、しまむらに抱きつきたくなって、しまむらがしまむら妹に何か言っているときは、しまむらを抱き締めたくなる。
しまむらのことを考えるだけで色々な気持ちになる。
私はしまむらのことを考えているうちに、しまむらがトイレから戻ってきた。
「お待たせー。それじゃあ行こうかー」
「うん!」
私たちは水族館へ向かうため電車に乗った。水族館へ着くとまず最初にクラゲの展示コーナーへ向かった。そこには様々な種類のクラゲがいた。……正直、私はクラゲについてよく知らないけれど、水槽の中を自由に泳ぐクラゲたちはとても綺麗だったと思う。
次にペンギンのコーナーへと向かった。ここではペンギンたちの可愛らしい仕草を見ることが出来た。
そして、最後にイルカショーを見た。
「しまむら!すごい!いまジャンプしたよ!」
「そうだね、凄いね。」
しまむらは興味なさそうにしている。
「しまむら!しまむら!見て!あの子、すっごく可愛い!」
しまむらがこちらを振り向く。
「んー?どれ?」
「ほら、あそこ!あの白い子!」
「ああ、あれね。確かに可愛いね。」
「でしょ!?」
しまむらの一言で、思わず声が大きくなってしまう。
しまむらのことが大好きだと気付いてから、私は自分が自分でないようになってしまった。しまむらの些細な言動に過剰に反応してしまい、しまいにはしまむらの表情の変化まで目で追うようになってしまう。……今だって、私はしまむらに話しかけるタイミングを狙っているのだ。……でも、なかなか上手くいかない……。……すると突然、しまむらと目が合った。私は慌てて目を逸らす。……しまった……変に思われたかな……。恐る恐るしまむらの方を見ると、特に気にしていない様子だったので安心する。……良かった。
その後も、しまむらとは色々あった。
例えば、二人で歩いているときに、たまたま通りかかったクレープ屋さんを見て、 しまむらが食べたそうな顔をしたので、 私は勇気を出してしまむらに声をかけてみた。
「し、しまむら!あ、あの……えっと……その……わ、わた、私、しまむらに……お、お願いがあるんだけど……」
「ん?どうしたの?」
(……こ、これって、デートみたいだよね……)
しまむらと二人きりで出かけるのは初めてなので、少し緊張する。
「……。」
しまむらがトイレに行ってしまって一人きりで待っている間、私はしまむらのことを考えていた。
しまむらが私のことを可愛いと言ってくれた時、私は顔が熱くなり、まともにしまむらの顔を見れなくなってしまった。
しまむらが他の女の子と話している時は、胸の奥がチクッとして嫌だと思うし、しまむらが自分以外の誰かと仲良くしていたら、なんだかもやもやする 。……これが、嫉妬というものなんだろうか。
しまむらが、別の女の子と楽しそうに話をしている。
しまむらが、その子と手を繋いでいる。
しまむらが、その子と公園のベンチに座っている。
しまむらが、その子と腕を組んでいる。
しまむらが、その子と手を繋いだまま歩いている。
しまむらが、その子に告白をされている。
しまむらが、その子に……
――しまむらのことが好きだという気持ちに気付いたのはいつだっただろう。
最初はただのサボり仲間で、一緒にピンポンをする程度の仲でしかなかった。
でも、しまむらと過ごす時間が増えていくうちに、私はしまむらのことが大好きになっていった。
しまむらの些細な仕草にドキッとする。しまむらのことを考えるだけで色々な気持ちになる。しまむらはそんな私の変化には気付かない。しまむらはいつものように私に接する。それが少しだけ寂しい。
しまむらがトイレから戻ってきた後、私たちはチンアナゴのコーナーへと向かった。「うーん、やっぱりこのコーナーはすごいね。……何度見ても飽きないし、面白い。」
「うん、そうだね。……でも、しまむら。……ちょっと近いよ。」
しまむらが水槽の前でしゃがみこんだせいで、しまむらの顔がすぐ近くにある。「え?あぁ、ごめん つい夢中になっちゃった」
しまむらが立ち上がる。
「しまむら、次はどこに行こうか?」
「うーん、じゃああっちの方行ってみようか」
しまむらが指さす方向に歩いて行くと、そこには『オーロラ広場』と書かれた看板があった。
「あ、ここってベルーガがいるところだよね」
「へぇ、そうなんだ」
「しまむら、動物好き?私は結構好きだな」
「わたしも好きだよ」
「そっか、良かった。」
しまむらが嬉しそうにしている。
しまむらが喜んでくれると、自分も嬉しい。
日が暮れ始め、空がオレンジ色に染まる頃、私はしまむらと二人で帰路についていた。
今日一日、しまむらと過ごした時間は本当に楽しかった。しまむらと一緒なら、どこに行っても楽しい。しまむらと一緒だから、どんなことでも特別になる。
しまむらと別れて、家に帰る途中もずっとしまむらのことを考えていた。しまむらと初めて会った時のこと、一緒にピンポンをした時、しまむらと本屋に行った時、しまむらが私の頭を撫でてくれた時、しまむらが……。
――しまむらのことを考えると胸がドキドキして、苦しくなる。
しまむらと離れたくない。
しまむらともっと一緒にいたい。
しまむらと……キスしたい。
しまむらと…… ――しまむらと、恋人になりたい。
――
安達のことが心配だ。さっきからずっと黙り込んで下を向いてるんだよねぇ。どうしたものか。とりあえず声をかけてみるか。
安達に声をかけるが、俯いたままだった。……何回か試した結果、安達は人前で話さないのが一番良いと判断してピンポンを続けることにした。安達の様子がいつもと少し違ったことは気がかりだが仕方がない、諦めるか……。
2日目の昼休みになっても安達とは距離のある状態が続いていたのだった。
――今日も授業が始まる前の短い時間でわたしは1人でお弁当を食べ終え、安達の様子を見てみる。相変わらずの状態だった。……ん、今安達の方をチラッと見たら目が合ってしまった。……安達が慌てる。……しまったなあ。こっちを見ているのは分かっていたがまさか目が合うと思っていなかったせいで思わずドキッとしてしまって動揺を隠せなかったのだ……どう誤魔化すか。
しかしそんなことを考えていた矢先、 教室の入り口の方で騒がしい気配を感じたと思った時には既に手遅れになっていた。……ああー。
「ねー、しまむらちゃん」
そう言って話しかけてくるのは安宅さん。
わたしは困ったような表情を浮かべながら言った。
「なに?」
すると、わたしの机の上に座る。
そして、ニヤッと笑ってこう聞いてきた。
「しまむらちゃん、この前デートしてたよね?」…………まずいことになったなぁ。
わたしの顔が引きつるのを感じる。
安達の視線も痛くなってきた気がする。
何故バレたかというと、おそらく見られていたのだろう。
あの時は結構急いでいて周りをよく見ていなかったのだ
「どこ行ってたの?教えてくれても良かったじゃん。わたしにも紹介してくれればよかったのにぃ〜」
そう言いながらわたしの首筋辺りに顔を近づけてきて匂いを嗅ごうとする。
わたしは慌てて椅子ごと後ろに下がった。
安達が凄い形相でこちらを見ている。
「……えぇ〜?しまむらちゃん汗かいちゃってるのぉ〜?ふひひっ。いい香りがするか確かめさせてもらってもいいかな〜?あ、もちろん嫌なら別にいいんだけど〜?」
――その時、何かが切れてしまった音がした。
気がついたら安達が
「……安達です」
と呟いていた。……安達の目からはハイライトが無くなっているように見えた。
「へっ?」
と、間抜けな声を出す安宅さんの手を安達は掴み、そのままどこかに連れて行こうとする。……おいおい、ちょっと待って!安達は何をしようとしているんだ。
「ちょっ!安達!ストップ!」
わたしが止めるが安達には聞こえていないようだった。
安達はまるで幽鬼のような顔で、
「……しまむらは私のですから。……触らないで下さい……」
と言い放ち、そのまま教室から出て行ってしまった。
「あ、安達?……あああ」
――
あーあ。やっちゃったねぇ。
「安宅さん。安達追いかけないと。このままじゃマズイよ」
安宅さんにそう言うが、
「うぅ……怖いよー。しまむらちゃん助けてー」
と言って抱きついてきた。……。
安達を追いかけたい気持ちはあったが、 今はそれよりも
「ごめん、無理」……そう言って安宅さんを引き剥がす。
そして、教室を出て行った。……ま、さすがにこれは安達が悪いわな。うん。
その後安達を見つけたのは体育館裏にある焼却炉の前だった。
安達は1人そこに座り込んでいた
「安達、大丈夫?」
わたしが声をかけるとビクッとした後、ゆっくりと振り返り、わたしの姿を確認すると安心したようにため息をつく。……安達の表情を見てわたしは驚いた。
泣いている……。
安達の頬を涙が伝っている。
わたしの姿を見て
「……しまむらっ!!」
と立ち上がり、泣きながら飛びついてくる。……安達を受け止めたは良いものの、勢い余って2人とも倒れこんでしまった。
安達はわたしを押し倒すような形で乗っかってきており、わたしの胸に顔を埋めたまま涙を流し続けている。
安達の頭を撫でて「安達」と言うと、ガバッと起き上がりわたしを見つめてくる。
その目はまだ潤んでいたが、
「しまむらぁ〜」
また飛びつかれて押し倒される。
「安達」
「しまむらぁ」
「……安達」
「しまむら」
「……」
「しまむら」
「はい」
「しまむら」
「何でしょう」
「しまむら」
「……いや、もういいけど」
「しまむら」
「分かったってば」
「しまむら」
「ああー、うるさいなぁ。なに?」
「しまむらぁ〜、私どうしよう……」
「……とりあえず落ち着いて。深呼吸して。ほら、吸って、吐いて。はい、もう一回」
「スー、ハー、スー、ハー。……よし、落ち着いた」
「お、良かった良かった。それで?落ち着いたところで聞かせて欲しいことがあるんですけれども。」
「はい」
「一応聞くけど、安達はどこまで覚えてる?」
「えっと……確か……しまむらの家に行って、それで……」……なるほど。概ね予想通りといったところか。
「あの後、安達は安達だよ。何も変わってない。安達のまま。だから気にしなくていいと思うよ」
「でも、私があんなこと言わなければ……今頃、きっとみんなも受け入れてくれたはずなのに……。あ、そうだ。しまむら、携帯貸してもらえませんか?」……ん?なんでだろう?
「いいよ。はい」
そう言ってスマホを渡すと安達は自分のポケットから自分のものを取り出して操作し始める。しばらくして返されたそれを見ると着信履歴があった。……誰だろこれ? 電話に出ると安宅さんの声が聞こえた。
『あ、もしもーし、しまむらちゃん?』……安宅さん?
「はーい、しまむらですよー」
安達の方を見るが首を横に振っていた。
安達は安宅さんに電話をかけていないようだ。
『安達ちゃんのことなんだけどね』「うん」
『あー、あれからいろいろ聞いたんだよー。そしたら、安達ちゃんがしまむらちゃんの家に泊まったって聞いて、安達ちゃんが暴走したって言うからさー。……安達ちゃんにはキツく言っといたよ。……しまむらちゃんには迷惑かけちゃダメだってさ。それと、ごめんなさいって伝えておいて欲しいんだよね。あと、私は全然気にしてないよって。それだけ伝えたくてさ。じゃ、そういうことで』ブチッ!ツー、ツー、ツー。一方的に切られてしまった。
「うわっ、相変わらず一方的というか。……ま、いっか。安達、なんか飲む?」
「……ジュース?」
「あいよ、ちょっと待ってて。……はい、コーラ。安達、好きだもんね。」
「ありがと……」
安達は一口飲んではっとする。
「……この味知ってる」……そりゃそうでしょうとも。
「安達の家の冷蔵庫に入ってたものだからねぇ」
「え!?私の家にあったのをわざわざ買ってくれたの!?」
「まぁ、そうだけど」
「ありがとう!嬉しいっ!!」……そんな喜ぶほどの事だろうか。
安達が嬉しそうな顔をしているとこちらもなんだかこそばゆい気持ちになる。
それからしばらく安達と他愛もない話をしながら時間を潰すのだった。
安達が落ち着きを取り戻したのを確認して、 安達を連れて帰ることにした。
安達は名残惜しそうにしていたが、また明日会えるということで納得してくれたらしい。……しかし、安達がわたしのことを好きなのか分からないというのは少し困ったものだなぁ。……もう少し様子を見るか。
――わたしの中の何かが囁いている気がしたが、気づかなかったことにした。
次の日、朝から雨が降っていて外では傘の花が咲いていた。
いつものように適当に朝食を食べていると玄関の鍵を開ける音が聞こえる。誰か来たようだが、生憎今は手が離せないため、そのままにしておいた。すると、バタバタとした足音と共にリビングに飛び込んでくる影があった。その人物とは勿論、安達である。
「おはよう、しまむら」
「おはよー。よく眠れた?」
「うん。ぐっすり」
「それは良かった」
「……ところで、これはどういう状況?」
「見れば分かるでしょう。ご飯食べてる」
「いや、そうではなくて……」
「安達も食べる?」
「いただきます」
「はいよ」
安達は席に着くとその光景を見て目を丸くしていた。
「しまむら、料理できたんだ……」
「失礼な。……といっても簡単なものしか作れないけどね。目玉焼きとかトーストとか。後は昨日の残り物」
「十分すごいと思うけど……」
「そうかな?」
「そうだよ。……私なんてカップ麺すらまともに作れるか怪しいし」
「お湯入れるだけだから簡単だと思うんだけどねぇ。……はい、出来た。安達、先に飲み物出しておいてくれない?コップはこれ使っていいから」
「分かった」
安達はキッチンへと向かい、お茶の入ったグラスとコーラを持って戻ってきた。そして、手を合わせて「いっただきまーす」と言ってから食事を始める。
「それで、安達は何でここにいるわけ?もうすぐ学校始まるんだけど分かってる?あ、まさかサボり?不良娘めー」
冗談交じりに言うと安達は慌てながら否定してきた。
「ち、違うよ!……今日はちょっと用事があるっていうかなんというか」歯切れの悪い答えだったがとりあえず置いておくことにしよう。それよりも聞きたいことがあるのだ。
「それよりさ、これ何?」箸で指したのはテーブルの上に置いてある一通の手紙だ。
「……ラブレターだよ」
「へぇ、これが噂の。……それじゃあ行ってくるといいよ。ほら、早くしないと遅刻するよ?」
「……しまむらは来ないの?」
「行く訳ないじゃん。面倒だし。それに、安達なら大丈夫っしょ。可愛いし、頭良いしさ。……じゃ、わたしは先に出るんで。鍵は持ってってもいいけどちゃんと施錠して帰ってよね。んじゃ、バイバーイ」
安達は何か言いかけていたようだけど、無視をして家を出た。……だって、めんどいもん。
教室に入ると安達が1人でポツンと座っていた。……珍しいこともあるものだ。あの子は大抵誰かと一緒にいたような気がするが……。友達がいないわけではないだろうに。まぁ、わたしには関係ないことだ。わたしは自分の席について鞄の中から教科書を取り出して机の中に仕舞う。そして、授業が始まるまでボーっとすることにした。……あれからどれくらい経っただろうか。どうやら寝てしまっていたようだ。チャイムの音で目が覚める。ふわぁ、と思いっきり伸びをした。時計を見ると次の授業の時間になっていた。……安達はどこに行ったのだろうか。休み時間になるといつも一緒にいたのに。
トイレにでも行ってるのだろうか。
まぁ、別にいいけど。
わたしはまた意識を夢の中へと旅立たせていくのだった。
放課後になって帰ろうとしていると後ろから声をかけられた。
振り返るとそこには安達がいた。
「どうしたの?」
「えっと、その、しまむらに用事があって」
「そうなの?」
「うん。今から一緒に来てもらっていい?」
「いいけど、どこに?」
「着いてくれば分かるよ」
そう言って歩き出した安達の後を追うようにして付いていく。……一体、何処に行くつもりなのだろうか。
「ここ」
しばらく歩いて到着した場所は見覚えのある場所。
「図書室?」
「うん」
「なんで?」
「えっ!?︎そ、それは……」明らかに動揺していた。
「あーはいはい」適当にあしらうことにした。
「うぅ」
「それで、何?本を読むとか?」
「そういうことじゃないんだけど」
「じゃあ何さ?」
「えーっとね、…………その……」安達はモジモジしながら俯いていた。
「ん?はっきり言わないと分からないんだけど?」
「だから、その、……しまむらのことが好きって言ったら、しまむらは私のことを嫌いになるかな?」
「えっ?」……これはどういう状況なのか。
「好きって、つまり、恋愛的な意味で?」
「……うん」
「……マジで?」
「……うん」
「……そっかぁ。……なるほどねぇ。……でも、どうしてわたし?」
「……しまむらといると落ち着くんだよね」
「へぇ〜」わたしは特に何も考えずに相槌を打つ。
「それでね!それだけじゃなくて、私はしまむらともっと仲良くなりたいなって思って!」
「ふむふむ」
「それで、色々考えた結果、どうすればいいのか分からなくなってしまって、相談に乗ってもらおうと思ったんだ」「ふむ。なるほど」
「……ごめん。急にこんなこと言われても困るよね」
「いや、別にいいけどさ。……ちなみに、わたしとどうしたいの?」
「えっと、その、お付き合いできたらいいな、なんて思っているというか、あわよくば、結婚したいと思っているというか、とにかく、しまむらとずっと一緒に居られたら幸せだなって思ってるの!」
「ふーん」わたしは気のない返事をする。
「あっ、やっぱりダメだよねぇ。そうだよね。しまむらにはもう既に付き合っている人が居るもんね。」
「えっ?いないよ?」
「嘘っ!?︎本当に?それなら、私にもチャンスがあるってことだよね?」
「えっ?いや、まあ、そうだけど。」
「やった〜!!︎」
「ちょっと待った。まだ、OKしたわけじゃないからね」
「大丈夫だよ。だって、しまむらは私のことが好きだから」
「いや、それはない」
「そんなことないよ。きっと、私がしまむらのことを好きなのと同じくらい、しまむらは私のことを好きでいてくれているはず」
「いやいや、絶対に違うから」
「そ、そうなの?」
「そうだよ」「じゃあ、もし違っていたとしても、これから好きになってもらえるように頑張ればいいんだね?」
「そういうこと」
「分かった。じゃあ、まずは呼び方を変えようと思うんだけど、しまむらのことは何て呼べばいいのかな?」
「えっ?なんで?」
「えっとね、仲の良い人はお互い名前呼びが多いみたいなんだけど……駄目かな?」
「うーん……別に構わないけど」
「ありがとう!じゃあ早速しまむらのことを呼び捨てにしてもいい?」
「えっ?」
「嫌だったらいいんだけど……」
「いや、全然問題無いけど……急すぎてビックリしたというか」「良かったぁ。じゃあ、今度からは『しまむら』じゃなくて、『抱月』って呼ぶね?」
「うん。……じゃなくて、はい。お願いします。」
「敬語じゃなくても良いんだよ?」
「いや、それは流石に……。それより、早く行こうよ。」
「了解。じゃあ、行こっか。」
――
しまむらと私は並んで歩き始める。
しまむらは今日も可愛い。
しまむらはいつも通り、だらしない格好をしている。
しまむらは、背が高くて、足が長くて、胸が大きくて、髪は黒々としていて、艶があって、目は大きくて、鼻筋は通っていて、唇は薄くて、肌は白くて、まるで外国のモデルさんみたい。
しまむらは、私と違って可愛くて、綺麗で、何でも出来ちゃう。
しまむらは、私とは違って優しくて、頼りがいのある人だと思う。
しまむらは、私なんかよりもずっとずっと凄い人で、頭が良くて、運動神経も良くて、なんでも出来る。
しまむらは、私にとって憧れの存在だ。
しまむらは、私とは違う世界に住んでいる。
でも、それでも私は……しまむらとずっと一緒にいたい。
私は、しまむらのことが好きだから。
空はまだ灰色に染まる中、太陽な存在のしまむらがいるだけで、私の心は晴れやかな気持ちで満たされていた。
安達としまむら AIが紡ぐ二人の物語
―完―
いかがでしたでしょうか?
最初はしまむら視点から始まり時々視点が入れ替わりつつ、最終的には安達のしまむらへの想いを描いて完結できたので大変満足のいく出来になりました。
「私と卓球場に行こう」と言って自分の家に連れ込む積極的な安達や、そばで眠っている彼女と密着して思わず意識してしまうしまむらなど、原作の要素を取り入れつつ「AIのべりすと」が作り出した二人の新たな一面が見られて安達としまむらの同性を好きになった女の子が徐々に距離が近くなっていく百合的な可愛さに心が躍りだしそうなぐらいときめいていました。
安達が卓球部に所属していたり(原作では二人とも帰宅部)、安達と母親の関係が比較的良好だったり、しまむらが中学時代に「氷の女王」と呼ばれたり、クラスメイトの安宅さんというオリジナルキャラが二人と関わりがあったりなど、原作にはない要素がいくつかありますが、どんな世界線でも安達としまむらは絶対に結ばれる運命にあるのでこういう展開もアリだと思います。
当初は水族館デートの下りはありませんでしたが、最初に読み返してなんか物足りなかったのでしまむらと母親とのやり取りを一部変更しその後の展開に違和感がないように繋げてみました。
その結果として、安達がしまむらに対する「好き」という感情をより大きく膨らませることに成功したのでこのシーンを追加して正解でした。
まあ、安達ならしまむらと一緒に同じ時間と空間を共有できればどんなデートでも幸福感を得られるけれど…。
しまむらに話しかけてきた安宅さんに嫉妬し一人で泣いていた安達をしまむらが優しく接する場面に、しまむらが一時期サンチョらと一緒に過ごすことになり学校を休み色々あって立ち直りしまむらに話しかけるシーンや、夏祭りにしまむらが樽見と仲良くしているのを見てショックを受けて長電話をした時のことを思い出させてくれます。
そして、最後の安達のモノローグ(「しまむらと私は並んで歩き始める。しまむらは今日も可愛い。~以下略」)は個人的に一番のお気に入りで、制作前に考えていた構想では彼女が愛するしまむらへの想いを綴ったポエム調の文章で終わらせたかったので特にこだわって何度も修正しました。
AIのべりすとが「でも、それでも私は……」まで生成してくれた時は「よしぅ、これはイケる!」とガッツポーズしましたが、勝手に場面が変わってしまったり、想定外の文章が出てきたり中々思い通りにいかなかなかったので「こうなれば最後は自分で納得のいく終わりを書こう」と思い安達らしさを感じられる文章を作り上げた時は我ながらいい感じに完結できて感動しました!
反省点としては、場面の情景が広がるような詩的な比喩表現をもっと盛り込んでおきたかったことと、日野や永藤やヤシロとか他のキャラクターも出したかったことですね。
時間があればまた安達としまむらのSSを作りたいと思います。
よければコメントを頂ければめちゃくちゃ喜びます。
水族館デートや二人でイチャイチャするあだしまイラストも見てみたいかも…。
自分も「グリマス日和」の管理人さんやあだしまや『プリンセス・プリンシパル』などのファンアートを描いている反町豆腐さんみたいに画力上げたい…
最初はしまむら視点から始まり時々視点が入れ替わりつつ、最終的には安達のしまむらへの想いを描いて完結できたので大変満足のいく出来になりました。
「私と卓球場に行こう」と言って自分の家に連れ込む積極的な安達や、そばで眠っている彼女と密着して思わず意識してしまうしまむらなど、原作の要素を取り入れつつ「AIのべりすと」が作り出した二人の新たな一面が見られて安達としまむらの同性を好きになった女の子が徐々に距離が近くなっていく百合的な可愛さに心が躍りだしそうなぐらいときめいていました。
安達が卓球部に所属していたり(原作では二人とも帰宅部)、安達と母親の関係が比較的良好だったり、しまむらが中学時代に「氷の女王」と呼ばれたり、クラスメイトの安宅さんというオリジナルキャラが二人と関わりがあったりなど、原作にはない要素がいくつかありますが、どんな世界線でも安達としまむらは絶対に結ばれる運命にあるのでこういう展開もアリだと思います。
当初は水族館デートの下りはありませんでしたが、最初に読み返してなんか物足りなかったのでしまむらと母親とのやり取りを一部変更しその後の展開に違和感がないように繋げてみました。
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しまむらに話しかけてきた安宅さんに嫉妬し一人で泣いていた安達をしまむらが優しく接する場面に、しまむらが一時期サンチョらと一緒に過ごすことになり学校を休み色々あって立ち直りしまむらに話しかけるシーンや、夏祭りにしまむらが樽見と仲良くしているのを見てショックを受けて長電話をした時のことを思い出させてくれます。
そして、最後の安達のモノローグ(「しまむらと私は並んで歩き始める。しまむらは今日も可愛い。~以下略」)は個人的に一番のお気に入りで、制作前に考えていた構想では彼女が愛するしまむらへの想いを綴ったポエム調の文章で終わらせたかったので特にこだわって何度も修正しました。
AIのべりすとが「でも、それでも私は……」まで生成してくれた時は「よしぅ、これはイケる!」とガッツポーズしましたが、勝手に場面が変わってしまったり、想定外の文章が出てきたり中々思い通りにいかなかなかったので「こうなれば最後は自分で納得のいく終わりを書こう」と思い安達らしさを感じられる文章を作り上げた時は我ながらいい感じに完結できて感動しました!
反省点としては、場面の情景が広がるような詩的な比喩表現をもっと盛り込んでおきたかったことと、日野や永藤やヤシロとか他のキャラクターも出したかったことですね。
時間があればまた安達としまむらのSSを作りたいと思います。
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0:こちらの記事もオススメ! 2021/07/23(金) 12:34:56.78
今年のオリックス、去年までのファンに言っても信じてもらえなさそうなことが多すぎる
正直『安達としまむら』がこれほど尊み溢れるシリーズになるとは思わなかった
ワイ、ウマ娘のナイスネイチャのストーリーで号泣してしまう
プリンセス・プリンシパル見てるんやが全然話分からん
陣内智則「敵に囲まれてもうた…せやgoogleに聞いたろ!OKグーグル、ここから脱出できる確率は?」
オリックスの先発陣、顔面偏差値が高すぎる
ウマ娘のナリタタイシンちゃん、小柄で気が強い
【安達としまむら】あだしま第10巻のraemzさんのイラストが期待していた以上に良くて感激
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なんJミライトワくんソメイティくんすこすこ部
『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』第1章見返したら新たな発見があってさらに面白い
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