384: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:10:01.27 ID:HsihVarhO
「…」
それは、あまりにも突然だった。
「…」
突然過ぎて、訳が分からなかった。
「…」
予想など、出来るわけがない。
「…」
その人は。
「…」
杉下右京という人間は。
「…」
…まるで、初めから存在していなかったかのように。
自分が居た痕跡を、自分を。
全てを、消した。
それは、あまりにも突然だった。
「…」
突然過ぎて、訳が分からなかった。
「…」
予想など、出来るわけがない。
「…」
その人は。
「…」
杉下右京という人間は。
「…」
…まるで、初めから存在していなかったかのように。
自分が居た痕跡を、自分を。
全てを、消した。
385: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:11:21.98 ID:HsihVarhO
幸子「…どうして…」
友紀「…」
幸子「…どうして、こんな事に…」
紗枝「…」
幸子「…ボクは、ボクはただ…」
友紀「…幸子ちゃん…」
幸子「…楽しく居たかった。それだけなのに…」
紗枝「…そないなこと…ウチかて…」
友紀「紗枝ちゃん…」
幸子「右京さんは…どうして辞表なんか…」
紗枝「…」
友紀「…」
幸子「折角、これからだって時に…」
紗枝「ほんまどすなぁ…」
幸子「…〜ッッッ!!!」
友紀「…」
友紀「…」
幸子「…どうして、こんな事に…」
紗枝「…」
幸子「…ボクは、ボクはただ…」
友紀「…幸子ちゃん…」
幸子「…楽しく居たかった。それだけなのに…」
紗枝「…そないなこと…ウチかて…」
友紀「紗枝ちゃん…」
幸子「右京さんは…どうして辞表なんか…」
紗枝「…」
友紀「…」
幸子「折角、これからだって時に…」
紗枝「ほんまどすなぁ…」
幸子「…〜ッッッ!!!」
友紀「…」
386: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:12:20.78 ID:HsihVarhO
アタシ達が、打ち上げを終え、休みとなった翌日。
右京さんは一人でプロジェクトルームに入り、荷物を片付けた。
辞表は既に今西部長に渡していたそうだ。
有給休暇を使い切った後にそのまま辞める、と。
一言に纏めればそう書いてあったらしい。
あまりにも突然の事に、早苗さんや瑞樹さんも驚いていた。
…だけど、違う反応を見せた人もいた。
ちひろさん。
米沢さん。
今西部長。
…あの人達は、間違いなく何かを知っている。
そう確信していた早苗さんや瑞樹さんは、3人にそれぞれ事情を聞きにいった。
けれど、3人とも口を閉ざしていたそうだった。
…それが自身の身を守る為であるならば、無条件で怒るつもりだった。
そう2人は語っていた。
…けれど、怒る事は出来なかった。
3人の顔は、決して自分を守るといったもののそれではなかった。
決して演技派ではない彼らの表情は悲しみに満ちており、早苗さんも瑞樹さんも、それ以上は聞くことが出来なかったらしい。
「…」
勿論、今に至るまでに何度も何度も、電話やメールをした。
…でも、相変わらず返事は無い。
「…」
右京さんが残したものは、どうやらただの物ではなかったようだ。
…あまりにも、酷なものを残してくれた。
「…」
…残したものは、ただの虚しさだけだよ。右京さん。
右京さんは一人でプロジェクトルームに入り、荷物を片付けた。
辞表は既に今西部長に渡していたそうだ。
有給休暇を使い切った後にそのまま辞める、と。
一言に纏めればそう書いてあったらしい。
あまりにも突然の事に、早苗さんや瑞樹さんも驚いていた。
…だけど、違う反応を見せた人もいた。
ちひろさん。
米沢さん。
今西部長。
…あの人達は、間違いなく何かを知っている。
そう確信していた早苗さんや瑞樹さんは、3人にそれぞれ事情を聞きにいった。
けれど、3人とも口を閉ざしていたそうだった。
…それが自身の身を守る為であるならば、無条件で怒るつもりだった。
そう2人は語っていた。
…けれど、怒る事は出来なかった。
3人の顔は、決して自分を守るといったもののそれではなかった。
決して演技派ではない彼らの表情は悲しみに満ちており、早苗さんも瑞樹さんも、それ以上は聞くことが出来なかったらしい。
「…」
勿論、今に至るまでに何度も何度も、電話やメールをした。
…でも、相変わらず返事は無い。
「…」
右京さんが残したものは、どうやらただの物ではなかったようだ。
…あまりにも、酷なものを残してくれた。
「…」
…残したものは、ただの虚しさだけだよ。右京さん。
387: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:13:06.58 ID:HsihVarhO
「3人のこれからについてですが…」
ちひろさんが努めて冷静に、プロデューサーのいなくなったプロジェクトのこれからを事務的に話し出した。
「…」
けど、紗枝ちゃんはそれを聞こうとはしない。
明後日の方向を向き、ちひろさんに敵意を剥き出しにする。
アタシと幸子ちゃんは、彼女がいつちひろさんに喰ってかかるか心配でいつでも抑え込めるよう準備していた。
普段は大人しい彼女が牙を剥くというのがどれだけ恐ろしい事なのか、それなりに付き合いの長いアタシ達は重々承知していた。
「新しいプロデューサーさんに着いていただいて…」
…確かに、何かを隠してるのは分かっているのに何も知ることが出来ないのはフラストレーションが溜まる。
「…それで…」
「ええ加減にしとくれまへんか?」
「え…」
ちひろさんが努めて冷静に、プロデューサーのいなくなったプロジェクトのこれからを事務的に話し出した。
「…」
けど、紗枝ちゃんはそれを聞こうとはしない。
明後日の方向を向き、ちひろさんに敵意を剥き出しにする。
アタシと幸子ちゃんは、彼女がいつちひろさんに喰ってかかるか心配でいつでも抑え込めるよう準備していた。
普段は大人しい彼女が牙を剥くというのがどれだけ恐ろしい事なのか、それなりに付き合いの長いアタシ達は重々承知していた。
「新しいプロデューサーさんに着いていただいて…」
…確かに、何かを隠してるのは分かっているのに何も知ることが出来ないのはフラストレーションが溜まる。
「…それで…」
「ええ加減にしとくれまへんか?」
「え…」
388: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:14:20.65 ID:HsihVarhO
…初めに限界が来たのは、勿論紗枝ちゃん。
「…紗枝さん」
幸子ちゃんが彼女の袖を柔らかく摘む。
紗枝ちゃんはそれを制止し、決して喰ってかかることはないと態度で示す。
「ちひろはん。そない態度と話で、ウチが納得すると思うとるんどすか?」
「…」
そして座ったまま、ちひろさんに思いの丈をぶつける。
「何故右京はんが辞めたんか、辞めなければあかんかったんか…その辺をウチにも分かり易く説明してくれへんと、聞くもんも聞きたないんどすわ」
普段よりも低い声で、はっきりと敵意を示す。
「…それは…」
だけど、その質問に彼女は答えない。
答えられない理由があるのかもしれない。
「…お答え出来ません」
「そうどすか。…ほな、ウチもこれ以上は聞けまへん」
「…しかし…」
「紗枝ちゃん。ちひろさんだって…」
「分かっとります。ウチまで辞めるとまでは言いまへん。ただその程度でクビ言うんやったら…話は別どすわ」
「さ、紗枝ちゃん…」
「それに友紀はんもほんまは何かを知っとるんとちゃいますか?」
…。
「…紗枝さん」
幸子ちゃんが彼女の袖を柔らかく摘む。
紗枝ちゃんはそれを制止し、決して喰ってかかることはないと態度で示す。
「ちひろはん。そない態度と話で、ウチが納得すると思うとるんどすか?」
「…」
そして座ったまま、ちひろさんに思いの丈をぶつける。
「何故右京はんが辞めたんか、辞めなければあかんかったんか…その辺をウチにも分かり易く説明してくれへんと、聞くもんも聞きたないんどすわ」
普段よりも低い声で、はっきりと敵意を示す。
「…それは…」
だけど、その質問に彼女は答えない。
答えられない理由があるのかもしれない。
「…お答え出来ません」
「そうどすか。…ほな、ウチもこれ以上は聞けまへん」
「…しかし…」
「紗枝ちゃん。ちひろさんだって…」
「分かっとります。ウチまで辞めるとまでは言いまへん。ただその程度でクビ言うんやったら…話は別どすわ」
「さ、紗枝ちゃん…」
「それに友紀はんもほんまは何かを知っとるんとちゃいますか?」
…。
389: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:15:25.26 ID:HsihVarhO
…正直、なんとなくは目星はついてる。
…それは、右京さんの過去。
彼が、牙を向けた相手。
この会社の、役員の人達。
そして、その結末。
「…」
「黙っとるっちゅうことは、何か隠しとる…ゆうことでええんどすな?」
隠すつもりは、無い。
だけど、ちひろさんや米沢さんの件を聞くと、喋って良いのかどうか分からない。
「…」
アタシも、演技力には自信はない。
だから、こうやって突っ込まれると弱い。
「ウチらだけ蚊帳の外。幾ら何でも酷いとちゃいます?」
「…」
「…」
アタシとちひろさんは、ただ紗枝ちゃんの言葉を黙って聞くしかなかった。
「…もう、ええどすわ。ウチは今日は帰らせていただきます」
乱暴に立ち上がり、荷物を持って出ていく紗枝ちゃんの背中も、黙って見続けることしか出来なかった。
「紗枝さん」
「…」
…ただ一人、幸子ちゃんを覗いて。
…それは、右京さんの過去。
彼が、牙を向けた相手。
この会社の、役員の人達。
そして、その結末。
「…」
「黙っとるっちゅうことは、何か隠しとる…ゆうことでええんどすな?」
隠すつもりは、無い。
だけど、ちひろさんや米沢さんの件を聞くと、喋って良いのかどうか分からない。
「…」
アタシも、演技力には自信はない。
だから、こうやって突っ込まれると弱い。
「ウチらだけ蚊帳の外。幾ら何でも酷いとちゃいます?」
「…」
「…」
アタシとちひろさんは、ただ紗枝ちゃんの言葉を黙って聞くしかなかった。
「…もう、ええどすわ。ウチは今日は帰らせていただきます」
乱暴に立ち上がり、荷物を持って出ていく紗枝ちゃんの背中も、黙って見続けることしか出来なかった。
「紗枝さん」
「…」
…ただ一人、幸子ちゃんを覗いて。
390: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:16:36.61 ID:HsihVarhO
紗枝「どうされました?」
幸子「こうやって話を聞くのも仕事ですよ」
紗枝「気分が悪いんどす。体調不良とでも言うといて下さいな」
幸子「話を聞くことくらい出来るでしょう。聞いた後は帰って良いですから」
紗枝「…この方を、庇うんどすか?」
幸子「庇うじゃありません。ボク達のこれからの仕事の方針を一生懸命話してくれてる人に耳を傾けるのは人として当然ということです」
紗枝「一生懸命?その方元々右京はんを煙たがってはった方の一人どすえ?」
幸子「それがどうしたっていうんですか?」
紗枝「…それが?」
幸子「ボク達はアイドルです。アイドルの仕事はファンの方々を笑顔にすることです。プロデューサーが代わっただけで…」
紗枝「…話になりまへんわ」
幸子「…」
紗枝「ウチらが今までやってこれたんは、ウチらだけの力やない。それをそない言い方…」
幸子「いい加減にして下さい!!」
紗枝「!」
友紀「!」
ちひろ「!」
幸子「こうやって話を聞くのも仕事ですよ」
紗枝「気分が悪いんどす。体調不良とでも言うといて下さいな」
幸子「話を聞くことくらい出来るでしょう。聞いた後は帰って良いですから」
紗枝「…この方を、庇うんどすか?」
幸子「庇うじゃありません。ボク達のこれからの仕事の方針を一生懸命話してくれてる人に耳を傾けるのは人として当然ということです」
紗枝「一生懸命?その方元々右京はんを煙たがってはった方の一人どすえ?」
幸子「それがどうしたっていうんですか?」
紗枝「…それが?」
幸子「ボク達はアイドルです。アイドルの仕事はファンの方々を笑顔にすることです。プロデューサーが代わっただけで…」
紗枝「…話になりまへんわ」
幸子「…」
紗枝「ウチらが今までやってこれたんは、ウチらだけの力やない。それをそない言い方…」
幸子「いい加減にして下さい!!」
紗枝「!」
友紀「!」
ちひろ「!」
391: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:17:34.45 ID:HsihVarhO
幸子「貴方は、何の為にアイドルをやってるんですか!?」
紗枝「…」
幸子「プロデューサーの為だけですか!?右京さんの為、それだけですか!?」
紗枝「そ、そないなことは…」
幸子「貴方がここまでやってきたのは、ボク達がここまでやってこれたのは、右京さんの力だけじゃないでしょう!?」
友紀「…紗枝ちゃん…」
幸子「…ボク達の力は、絆はそんな小さなものなんですか…?」
ちひろ「…」
幸子「ボク達の力は、右京さんがいなくなっただけで消えるようなものなんですか?」
紗枝「…」
幸子「…もし違うと言うなら、今すぐ出ていって下さい。そんな簡単に、ボク達のチームを否定出来るなら!!」
紗枝「…!」
友紀「さ、幸子ちゃん…右京さんだって、大事な…」
幸子「そんな事分かってますよ!!」
友紀「…」
幸子「だけど、まだ…まだここにはいるでしょう!?貴方も、貴方も!!ボクも!!」
紗枝「幸子はん…」
幸子「…確かに、右京さんはいなくなってしまいました。…でも…」
友紀「…」
幸子「…まだ、右京さんはいるじゃないですか…」
紗枝「…」
幸子「…ここに」カタ
紗枝「…」
幸子「プロデューサーの為だけですか!?右京さんの為、それだけですか!?」
紗枝「そ、そないなことは…」
幸子「貴方がここまでやってきたのは、ボク達がここまでやってこれたのは、右京さんの力だけじゃないでしょう!?」
友紀「…紗枝ちゃん…」
幸子「…ボク達の力は、絆はそんな小さなものなんですか…?」
ちひろ「…」
幸子「ボク達の力は、右京さんがいなくなっただけで消えるようなものなんですか?」
紗枝「…」
幸子「…もし違うと言うなら、今すぐ出ていって下さい。そんな簡単に、ボク達のチームを否定出来るなら!!」
紗枝「…!」
友紀「さ、幸子ちゃん…右京さんだって、大事な…」
幸子「そんな事分かってますよ!!」
友紀「…」
幸子「だけど、まだ…まだここにはいるでしょう!?貴方も、貴方も!!ボクも!!」
紗枝「幸子はん…」
幸子「…確かに、右京さんはいなくなってしまいました。…でも…」
友紀「…」
幸子「…まだ、右京さんはいるじゃないですか…」
紗枝「…」
幸子「…ここに」カタ
392: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:18:47.19 ID:HsihVarhO
幸子ちゃんが手に取ったもの。
それは、アタシ達全員集合の写真が貼られていた写真立て。
右京さんはあまり写真に写る事を好んでおらず、その数は少ない。
その中の一番写りの良いものを手に取って、アタシ達に見せた。
その行為が意味するもの。
いくらアタシでも、それは分かる。
「…まだ残ってるでしょう?」
歩み寄り、アタシの胸をぽんと叩く。
「…」
「ボク達が忘れない限り、右京さんはここにいます。ボク達の、心の中に」
「あ…」
今なら、なんとなく分かる気がする。
何故、右京さんが幸子ちゃんをリーダーにすることに賛成したのか。
それは、多数決などではない。
「…」
アタシの目に映る、幸子ちゃん。
その後ろに見える、一人の影。
「…右京…はん…?」
…そうだ。
まだ、ここにいるんだ。
「…」
涙のせいで、見えなくなったけど。
右京さんは、まだここにいる。
「…何泣いてるんですか。二人とも…」
「…幸子ちゃんだって…」
「…それでは、話を、続けましょうか」
一つ咳をしたちひろさんが、アタシ達の真ん中に立ち笑顔で話す。
「…うん」
…でも、その前に。
「ちひろさん」
「…はい」
「…ティッシュ下さい」
「……はい……」
それは、アタシ達全員集合の写真が貼られていた写真立て。
右京さんはあまり写真に写る事を好んでおらず、その数は少ない。
その中の一番写りの良いものを手に取って、アタシ達に見せた。
その行為が意味するもの。
いくらアタシでも、それは分かる。
「…まだ残ってるでしょう?」
歩み寄り、アタシの胸をぽんと叩く。
「…」
「ボク達が忘れない限り、右京さんはここにいます。ボク達の、心の中に」
「あ…」
今なら、なんとなく分かる気がする。
何故、右京さんが幸子ちゃんをリーダーにすることに賛成したのか。
それは、多数決などではない。
「…」
アタシの目に映る、幸子ちゃん。
その後ろに見える、一人の影。
「…右京…はん…?」
…そうだ。
まだ、ここにいるんだ。
「…」
涙のせいで、見えなくなったけど。
右京さんは、まだここにいる。
「…何泣いてるんですか。二人とも…」
「…幸子ちゃんだって…」
「…それでは、話を、続けましょうか」
一つ咳をしたちひろさんが、アタシ達の真ん中に立ち笑顔で話す。
「…うん」
…でも、その前に。
「ちひろさん」
「…はい」
「…ティッシュ下さい」
「……はい……」
393: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:20:05.21 ID:HsihVarhO
早苗「…いざいなくなると、何か虚しいもんね」
瑞樹「そうね。憎まれ口叩いてたの貴方だけだけど」
早苗「うっさいわね。気遣ってたのよ」
瑞樹「あら?貴方にもそんな優しさがあったの?」
早苗「アタシの半分はバファリンで出来てんのよ」
瑞樹「なら優しさ1/4しかないじゃない」
早苗「それだけあれば十分よ」
瑞樹「…にしても、一番ショックを受けてるのは、あの3人よ」
早苗「そうね。…で、どうするの?」
瑞樹「どうするって…」
早苗「アタシらが出来ることなんて、見守ることくらいよ」
瑞樹「…」
早苗「これからの、あの子らの行く末を…」
瑞樹「…」
早苗「…ん?」
瑞樹「何?」
早苗「…」
瑞樹「…」
早苗「…本当に見守るだけで良さそうね」
瑞樹「…そうね」
早苗「…あー。何か心配して損した…」
瑞樹「損得で考えてたの?やっぱりそういう人間なのね」
早苗「何よ。アタシはバファリンで出来てんのよ」
瑞樹「アンタもうただのバファリンじゃない」
…。
友紀「よーし!今日はアタシが奢っちゃうぞー!!」
紗枝「はいはい。今日はどこのファミレスどすか?」
幸子「ちょ…皆さん速過ぎですよ!」
瑞樹「そうね。憎まれ口叩いてたの貴方だけだけど」
早苗「うっさいわね。気遣ってたのよ」
瑞樹「あら?貴方にもそんな優しさがあったの?」
早苗「アタシの半分はバファリンで出来てんのよ」
瑞樹「なら優しさ1/4しかないじゃない」
早苗「それだけあれば十分よ」
瑞樹「…にしても、一番ショックを受けてるのは、あの3人よ」
早苗「そうね。…で、どうするの?」
瑞樹「どうするって…」
早苗「アタシらが出来ることなんて、見守ることくらいよ」
瑞樹「…」
早苗「これからの、あの子らの行く末を…」
瑞樹「…」
早苗「…ん?」
瑞樹「何?」
早苗「…」
瑞樹「…」
早苗「…本当に見守るだけで良さそうね」
瑞樹「…そうね」
早苗「…あー。何か心配して損した…」
瑞樹「損得で考えてたの?やっぱりそういう人間なのね」
早苗「何よ。アタシはバファリンで出来てんのよ」
瑞樹「アンタもうただのバファリンじゃない」
…。
友紀「よーし!今日はアタシが奢っちゃうぞー!!」
紗枝「はいはい。今日はどこのファミレスどすか?」
幸子「ちょ…皆さん速過ぎですよ!」
394: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:21:20.68 ID:HsihVarhO
「…」
「お待たせしましたー!ミルクティーの…セットです!」
「ああ、どうも。そこに置いといてくれますか?」
「あ、はい。…でも、出来立てが…」
「もうすぐ来るはずですから。だから気にしないで」
「?…あ、い、いらっしゃいませー!」
「あ、それ。その人僕と待ち合わせてる人」
「え?あ、は、はい!」
…。
「いやあ、久しぶりだねぇ」
右京「…」
「お前も何か頼んだら?ここのセットは美味しいんですよ」
右京「その前に、確認したいことが一つ、あります」
「何?」
右京「貴方は、小野田官房長で宜しいんですね?」
「…」
右京「どうでしょうか?」
「…」
右京「…」
小野田「うん。よく分かりました」
「お待たせしましたー!ミルクティーの…セットです!」
「ああ、どうも。そこに置いといてくれますか?」
「あ、はい。…でも、出来立てが…」
「もうすぐ来るはずですから。だから気にしないで」
「?…あ、い、いらっしゃいませー!」
「あ、それ。その人僕と待ち合わせてる人」
「え?あ、は、はい!」
…。
「いやあ、久しぶりだねぇ」
右京「…」
「お前も何か頼んだら?ここのセットは美味しいんですよ」
右京「その前に、確認したいことが一つ、あります」
「何?」
右京「貴方は、小野田官房長で宜しいんですね?」
「…」
右京「どうでしょうか?」
「…」
右京「…」
小野田「うん。よく分かりました」
395: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:22:31.18 ID:HsihVarhO
右京「やはりそうでしたか」
小野田「ちなみに、どうして分かったの?」
右京「僕は、どうやらここでは貴方とは殆ど関わっていないようですから」
小野田「あ、そうなの?」
右京「ええ。それなのに随分僕の事を知っていらっしゃるようでしたから」
小野田「ふーん。まあいいや」
右京「…貴方は、何か聞きたいことは?」
小野田「勿論、ありますよ」
右京「…」
小野田「まず、どうして今回の件で何もしなかったのか。気になりますね」
右京「何もしない、というのは告発しなかったということですか?」
小野田「うん。お前の事だからやると思ってた」
右京「…」
小野田「アイドルの皆に影響を受けたのかな?」
右京「…」
小野田「どうやら今度の相棒達は、一癖も二癖もあったみたいですね」
右京「影響を受けたかどうかはともかく、僕自身も疑問はありました」
小野田「あれ?自分のしたことに疑問があるの?」
右京「ええ。大きな罪を見逃すというのは、少し…いえ、とても心苦しいものでした」
小野田「…」
右京「…」
小野田「…じゃあ、こう考えたらどうですか?」
右京「はいぃ?」
小野田「彼女達の笑顔を再び消す事になるかもしれない…それもまた、大きな罪」
右京「…」
小野田「…お前のキャラじゃないね」
右京「…いえ」
小野田「ちなみに、どうして分かったの?」
右京「僕は、どうやらここでは貴方とは殆ど関わっていないようですから」
小野田「あ、そうなの?」
右京「ええ。それなのに随分僕の事を知っていらっしゃるようでしたから」
小野田「ふーん。まあいいや」
右京「…貴方は、何か聞きたいことは?」
小野田「勿論、ありますよ」
右京「…」
小野田「まず、どうして今回の件で何もしなかったのか。気になりますね」
右京「何もしない、というのは告発しなかったということですか?」
小野田「うん。お前の事だからやると思ってた」
右京「…」
小野田「アイドルの皆に影響を受けたのかな?」
右京「…」
小野田「どうやら今度の相棒達は、一癖も二癖もあったみたいですね」
右京「影響を受けたかどうかはともかく、僕自身も疑問はありました」
小野田「あれ?自分のしたことに疑問があるの?」
右京「ええ。大きな罪を見逃すというのは、少し…いえ、とても心苦しいものでした」
小野田「…」
右京「…」
小野田「…じゃあ、こう考えたらどうですか?」
右京「はいぃ?」
小野田「彼女達の笑顔を再び消す事になるかもしれない…それもまた、大きな罪」
右京「…」
小野田「…お前のキャラじゃないね」
右京「…いえ」
396: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:23:33.34 ID:HsihVarhO
小野田「で?お前はこれからどうするの?」
右京「どうですかねぇ…」
小野田「ここの警察官にでもなる?」
右京「それも悪くありませんが、恐らく僕はもうすぐ戻るでしょう」
小野田「どうして?お前も死んだんじゃない?」
右京「どうでしょう。ただ当初の目標は達成しましたから」
小野田「ふーん」
右京「…これから貴方はどうするおつもりですか?」
小野田「まだ汚職を続けるかってこと?…心外ですね。僕は無関係ですよ」
右京「受け取っている時点で貴方も同じですよ」
小野田「あ、そうだね。じゃあ…辞める原因も出来たかな」
右京「…」
小野田「これからは余生を静かに過ごします。ゆっくりと」
右京「…そうですか」
小野田「お前もさ、大概にしなさいよ。もう良い歳なんだから」
右京「残念ながら、僕はまだそのつもりはありません」
小野田「そっか」
右京「それでは僕はこれで」
小野田「あれ?食べてかないの?奢ってあげようと思ったのに」
右京「僕はもう食べてきましたから」
小野田「ふーん。変わりませんね。お前は。…それじゃ」
右京「…」ペコ
右京「どうですかねぇ…」
小野田「ここの警察官にでもなる?」
右京「それも悪くありませんが、恐らく僕はもうすぐ戻るでしょう」
小野田「どうして?お前も死んだんじゃない?」
右京「どうでしょう。ただ当初の目標は達成しましたから」
小野田「ふーん」
右京「…これから貴方はどうするおつもりですか?」
小野田「まだ汚職を続けるかってこと?…心外ですね。僕は無関係ですよ」
右京「受け取っている時点で貴方も同じですよ」
小野田「あ、そうだね。じゃあ…辞める原因も出来たかな」
右京「…」
小野田「これからは余生を静かに過ごします。ゆっくりと」
右京「…そうですか」
小野田「お前もさ、大概にしなさいよ。もう良い歳なんだから」
右京「残念ながら、僕はまだそのつもりはありません」
小野田「そっか」
右京「それでは僕はこれで」
小野田「あれ?食べてかないの?奢ってあげようと思ったのに」
右京「僕はもう食べてきましたから」
小野田「ふーん。変わりませんね。お前は。…それじゃ」
右京「…」ペコ
397: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:24:35.68 ID:HsihVarhO
幸子「…右京さんと友紀さんに、そんなことが…」
友紀「あの時はさ、正直驚いたよね」
紗枝「?」
友紀「え?いや…普通さ、スカウトって…何か、名刺渡してはいさよならみたいな感じじゃないのかなって…」
幸子「…確かに、イメージとしては…」
友紀「でもさ、右京さんは違ったんだよね」
紗枝「それはもう…よう分かっとりますわ」
友紀「もう絶対アタシをアイドルにする気満々でさ…。その為なら2時間でも3時間でも10時間でも付き合ってやるって感じでね」
幸子「ボクの時も、そうでしたね…」
友紀「…今になってみると、ぜーんぶ、右京さんの掌の上だったのかなーって」
幸子「…」
紗枝「…」
友紀「でもね?悪い気が一切しないんだよね…」
幸子「どうしてですか?」
友紀「…何だろ…よく分かんないや」
紗枝「よお分からんのに…?」
友紀「だってさ、右京さんって、絶対人を悪く言ったりしないし、絶対に見捨てたりしないんだよね」
幸子「…そうですね…」
友紀「怒られたこともあるけど、それでも見限ったりするなんてこと絶対無かったよね」
紗枝「ウチらが諦めない限り、どこまでも背中を押す…」
幸子「…」
友紀「…不思議な人…」
紗枝「…」
友紀「…だったよね」
幸子「…でしたね」
紗枝「そやったなぁ…」
友紀「あの時はさ、正直驚いたよね」
紗枝「?」
友紀「え?いや…普通さ、スカウトって…何か、名刺渡してはいさよならみたいな感じじゃないのかなって…」
幸子「…確かに、イメージとしては…」
友紀「でもさ、右京さんは違ったんだよね」
紗枝「それはもう…よう分かっとりますわ」
友紀「もう絶対アタシをアイドルにする気満々でさ…。その為なら2時間でも3時間でも10時間でも付き合ってやるって感じでね」
幸子「ボクの時も、そうでしたね…」
友紀「…今になってみると、ぜーんぶ、右京さんの掌の上だったのかなーって」
幸子「…」
紗枝「…」
友紀「でもね?悪い気が一切しないんだよね…」
幸子「どうしてですか?」
友紀「…何だろ…よく分かんないや」
紗枝「よお分からんのに…?」
友紀「だってさ、右京さんって、絶対人を悪く言ったりしないし、絶対に見捨てたりしないんだよね」
幸子「…そうですね…」
友紀「怒られたこともあるけど、それでも見限ったりするなんてこと絶対無かったよね」
紗枝「ウチらが諦めない限り、どこまでも背中を押す…」
幸子「…」
友紀「…不思議な人…」
紗枝「…」
友紀「…だったよね」
幸子「…でしたね」
紗枝「そやったなぁ…」
398: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:25:52.79 ID:HsihVarhO
少し無理をしようと敷居の高そうな店に入ろうとしたところ、制止されて近くのファミレスで落ち着いた。
…アタシのお財布事情は、筒抜けなようだ。
そこでアタシ達は、これからの話に前向きに行こうと語っていた。
だけど、話はいつの間にか思い出話になり、その話題の中心はやはり右京さんになっていた。
そして、その話は幸子ちゃんも紗枝ちゃんも詳しくは知らなかったアタシと右京さんの出会いにシフトされていた。
「人生なんて…重い言葉使いますなぁ…」
「何でだろうね。今思えばこれ、愛の告白みたい」
過去の話でのたうちまわる経験ならたくさんあるけど、それがつい半年前のことだからかのたうちまわろうにも出来なかった。
「…まあ、紗枝さんの事は分かりましたけど…まさか友紀さんも…?」
「うえっ!?さ、流石に無いよ!っていうか向こうもそう思ってるよ!」
紗枝「はて…どうだか…」
「だって考えてみなよ…。少なくとも年齢差30以上あるんだよ?」
「ボク達なんて40はいきますよ」
「これ、絶対無理だって。世間的に」
「まあでも、ウチらの中では…」
「比較的マシな部類…」
「アタシ達の中ではマシって…そんなこと言ったらキリないじゃん!」
「ふふ。冗談冗談…」
「もー…」
思い起こせば、密度の濃い時間だった。
…けど。
「…でも、楽しかったね…」
「楽しい事ばかりじゃなかったですけどね…」
「…まあ、そうだけど…」
「全て踏まえた上で、楽しい時間…」
「まあ、ね…」
…だけど。
「…せやけど…」
「…ええ」
「…もう、いないんだよね…」
…それは、もう。
過去の話となっていた。
…アタシのお財布事情は、筒抜けなようだ。
そこでアタシ達は、これからの話に前向きに行こうと語っていた。
だけど、話はいつの間にか思い出話になり、その話題の中心はやはり右京さんになっていた。
そして、その話は幸子ちゃんも紗枝ちゃんも詳しくは知らなかったアタシと右京さんの出会いにシフトされていた。
「人生なんて…重い言葉使いますなぁ…」
「何でだろうね。今思えばこれ、愛の告白みたい」
過去の話でのたうちまわる経験ならたくさんあるけど、それがつい半年前のことだからかのたうちまわろうにも出来なかった。
「…まあ、紗枝さんの事は分かりましたけど…まさか友紀さんも…?」
「うえっ!?さ、流石に無いよ!っていうか向こうもそう思ってるよ!」
紗枝「はて…どうだか…」
「だって考えてみなよ…。少なくとも年齢差30以上あるんだよ?」
「ボク達なんて40はいきますよ」
「これ、絶対無理だって。世間的に」
「まあでも、ウチらの中では…」
「比較的マシな部類…」
「アタシ達の中ではマシって…そんなこと言ったらキリないじゃん!」
「ふふ。冗談冗談…」
「もー…」
思い起こせば、密度の濃い時間だった。
…けど。
「…でも、楽しかったね…」
「楽しい事ばかりじゃなかったですけどね…」
「…まあ、そうだけど…」
「全て踏まえた上で、楽しい時間…」
「まあ、ね…」
…だけど。
「…せやけど…」
「…ええ」
「…もう、いないんだよね…」
…それは、もう。
過去の話となっていた。
399: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:27:07.80 ID:HsihVarhO
紗枝「…さ!思い出に浸ってる時間もありまへん!」パン
幸子「紗枝さん…」
紗枝「幸子はんが言うたんどすえ?これからも何とかやってく、と…」
幸子「…そう、ですね…」
友紀「…紗枝ちゃんは、その…」
紗枝「…確かに、初めは右京はん目当てでここに来ましたわ。それは認めまひょ」
幸子「公然の事実ですけど」
紗枝「…せやけど、もう…それだけやないんどすわ」
友紀「…」
紗枝「こんな深く、太く繋がったん、もう千切りようがない…」
幸子「…」
友紀「…」
紗枝「…ちゃいます?」
友紀「…うん!」
幸子「はい!」
紗枝「ほな、先ずはユニットデビューしたゆうことで…勿論!歌は欲しいどすわ…」
幸子「あ、それボクも思いました!」
友紀「じゃあさ!歌詞はアタシ達で書くとか!」
紗枝「ええどすなぁ。その代わり野球系の単語は禁止どすえ」
友紀「え!?アタシのアイデンティティが!!」
幸子「なら紗枝さんは京都系禁止で」
紗枝「ほんならカワイイ禁止」
幸子「もうボク達のアイデンティティ無いじゃないですか!!」
紗枝「…」
幸子「…」
友紀「…」
紗枝「…ふふっ」
幸子「ふふふっ」
友紀「えへへ…」
…右京さん。
アタシ達、これからも何とかなりそうだよ。
幸子「紗枝さん…」
紗枝「幸子はんが言うたんどすえ?これからも何とかやってく、と…」
幸子「…そう、ですね…」
友紀「…紗枝ちゃんは、その…」
紗枝「…確かに、初めは右京はん目当てでここに来ましたわ。それは認めまひょ」
幸子「公然の事実ですけど」
紗枝「…せやけど、もう…それだけやないんどすわ」
友紀「…」
紗枝「こんな深く、太く繋がったん、もう千切りようがない…」
幸子「…」
友紀「…」
紗枝「…ちゃいます?」
友紀「…うん!」
幸子「はい!」
紗枝「ほな、先ずはユニットデビューしたゆうことで…勿論!歌は欲しいどすわ…」
幸子「あ、それボクも思いました!」
友紀「じゃあさ!歌詞はアタシ達で書くとか!」
紗枝「ええどすなぁ。その代わり野球系の単語は禁止どすえ」
友紀「え!?アタシのアイデンティティが!!」
幸子「なら紗枝さんは京都系禁止で」
紗枝「ほんならカワイイ禁止」
幸子「もうボク達のアイデンティティ無いじゃないですか!!」
紗枝「…」
幸子「…」
友紀「…」
紗枝「…ふふっ」
幸子「ふふふっ」
友紀「えへへ…」
…右京さん。
アタシ達、これからも何とかなりそうだよ。
400: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:28:26.82 ID:HsihVarhO
今西「…」
米沢「…」
今西「…君も、か」
米沢「ええ。実を言うと私、ヘッドハンティングなるものを受けまして」
今西「…そうか。それは…良かった」
米沢「貴方はどうするおつもりですかな?」
今西「…私は、まだ残らなくてはならない」
米沢「ふむ。そうですか…」
今西「…来年」
米沢「む?」
今西「来年、新しい人材がここに来る。部長職から始めるそうだ」
米沢「おや。ここでもヘッドハンティングですか」
今西「…いや、そうではない」
米沢「…とすると、社長の親族の方ですかな?」
今西「ああ。まだ私も二、三話した程度だが…かなり面白い人間だったよ」
米沢「面白い…とは?」
今西「まるで、彼らを見ているようだった。…若々しい目をしていたよ」
米沢「ほう…貴方の言う彼らとは…例のお二方ですかな」
今西「…願わくは…彼女がこの世の中に流されないよう…」
米沢「…」
今西「私が出来る罪滅ぼしは、それくらいだ」
米沢「…そう、ですか…」
今西「しかし、君がいなくなるとすると…いよいよもって私の昼時の話し相手がいなくなるな…」
米沢「おや?まだいるではありませんか」
今西「む…?……ああ…」
「部長!今西部長!」
今西「…そう…だね…」
米沢「それでは私はこれで。彼にもよろしく伝えておいて下さい」
今西「ああ」
「今西部長!」
今西「どうしたかね?」
「…今西部長。その…杉下係長が…」
今西「ああ。だが気に病むことはない。彼は満足して辞めていったよ」
「…」
今西「…君も、満足出来る人生を送りたまえよ」
武内P「…はい」
米沢「…」
今西「…君も、か」
米沢「ええ。実を言うと私、ヘッドハンティングなるものを受けまして」
今西「…そうか。それは…良かった」
米沢「貴方はどうするおつもりですかな?」
今西「…私は、まだ残らなくてはならない」
米沢「ふむ。そうですか…」
今西「…来年」
米沢「む?」
今西「来年、新しい人材がここに来る。部長職から始めるそうだ」
米沢「おや。ここでもヘッドハンティングですか」
今西「…いや、そうではない」
米沢「…とすると、社長の親族の方ですかな?」
今西「ああ。まだ私も二、三話した程度だが…かなり面白い人間だったよ」
米沢「面白い…とは?」
今西「まるで、彼らを見ているようだった。…若々しい目をしていたよ」
米沢「ほう…貴方の言う彼らとは…例のお二方ですかな」
今西「…願わくは…彼女がこの世の中に流されないよう…」
米沢「…」
今西「私が出来る罪滅ぼしは、それくらいだ」
米沢「…そう、ですか…」
今西「しかし、君がいなくなるとすると…いよいよもって私の昼時の話し相手がいなくなるな…」
米沢「おや?まだいるではありませんか」
今西「む…?……ああ…」
「部長!今西部長!」
今西「…そう…だね…」
米沢「それでは私はこれで。彼にもよろしく伝えておいて下さい」
今西「ああ」
「今西部長!」
今西「どうしたかね?」
「…今西部長。その…杉下係長が…」
今西「ああ。だが気に病むことはない。彼は満足して辞めていったよ」
「…」
今西「…君も、満足出来る人生を送りたまえよ」
武内P「…はい」
401: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:29:21.02 ID:HsihVarhO
友紀「…ただいまー」ガチャ
友紀「ふー…今日は食べ過ぎちゃったなあ…」
友紀「ビールは…あ…やめとこ。太ったらヤバイし…」
友紀「お風呂、入ろっかなぁ」
友紀「…あ!その前に…野球野球…」
『♪』
友紀「ん?」
『♪』
友紀「あれ?…この着信音って…」
『杉下 右京』
友紀「!!?」バッ
友紀「ふー…今日は食べ過ぎちゃったなあ…」
友紀「ビールは…あ…やめとこ。太ったらヤバイし…」
友紀「お風呂、入ろっかなぁ」
友紀「…あ!その前に…野球野球…」
『♪』
友紀「ん?」
『♪』
友紀「あれ?…この着信音って…」
『杉下 右京』
友紀「!!?」バッ
402: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:30:22.53 ID:HsihVarhO
右京『もしもし』
友紀「もしもしじゃないよ!!今までどこで何やってたの!?」
右京『何処かで何かをしていました』
友紀「そ…そんな冗談…」
右京『まだやり忘れた事があることに気づきましてねぇ』
友紀「え…な、何!?」
右京『最後に別れの言葉を言おうと思っていたのですが、どうにも思いつかず…お時間を頂きました』
友紀「…わ、別れって…」
右京『…というわけで、一言だけ』
友紀「…」
右京『頑張って下さい』ブツ
友紀「もしもしじゃないよ!!今までどこで何やってたの!?」
右京『何処かで何かをしていました』
友紀「そ…そんな冗談…」
右京『まだやり忘れた事があることに気づきましてねぇ』
友紀「え…な、何!?」
右京『最後に別れの言葉を言おうと思っていたのですが、どうにも思いつかず…お時間を頂きました』
友紀「…わ、別れって…」
右京『…というわけで、一言だけ』
友紀「…」
右京『頑張って下さい』ブツ
403: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:31:21.60 ID:HsihVarhO
「…」
…最後に残した言葉が…それ?
「…ふ…ふふ…」
…頑張って下さい…。
「…本当、勝手な人だなぁ…ここまで人を巻き込んでおいて…」
…でも、良いや。
それが、杉下右京なんだから。
「そうだね…」
これからも、アタシ達は頑張るよ。
右京さんに負けないくらい。
ずーっと、頑張っていくよ。
「…」pipipi
…右京さん。
『ありがと!!』
…ビール、飲んでも良いよね?
http://youtu.be/iDBQG3yc278
http://youtu.be/I49ki5ZKPdc
…最後に残した言葉が…それ?
「…ふ…ふふ…」
…頑張って下さい…。
「…本当、勝手な人だなぁ…ここまで人を巻き込んでおいて…」
…でも、良いや。
それが、杉下右京なんだから。
「そうだね…」
これからも、アタシ達は頑張るよ。
右京さんに負けないくらい。
ずーっと、頑張っていくよ。
「…」pipipi
…右京さん。
『ありがと!!』
…ビール、飲んでも良いよね?
http://youtu.be/iDBQG3yc278
http://youtu.be/I49ki5ZKPdc
404: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 01:36:36.63 ID:HsihVarhO
くぅ疲
完結
ここからこれに続いてると思ってるイタ過ぎるアレ
右京さんだったら普通に元の世界に戻れるっスよね?
完結
ここからこれに続いてると思ってるイタ過ぎるアレ
右京さんだったら普通に元の世界に戻れるっスよね?
405: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/09(月) 01:53:31.80 ID:X7ctk/5lO
乙乙
語彙ないから月並みな言葉しか並べられん。
とても良かった。
語彙ないから月並みな言葉しか並べられん。
とても良かった。
407: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/09(月) 02:16:55.50 ID:oANLwLy8O
おつ
408: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/09(月) 02:43:22.47 ID:Bo+nuY4k0
おつ
この後味の微妙さ、season5ぐらいまでの相棒っぽいわ
この後味の微妙さ、season5ぐらいまでの相棒っぽいわ
409: ◆GWARj2QOL2 2016/05/09(月) 06:04:25.54 ID:HsihVarhO
>>408
個人的には亀時代が一番かなと
個人的には亀時代が一番かなと
406: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/09(月) 02:11:57.30 ID:FGNQEYrY0
乙
いい感じに靄がかかって終わったなぁ。
良かった
いい感じに靄がかかって終わったなぁ。
良かった