275: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:20:59.22 ID:5WCzEdVRO
「ふー…自分でコーヒーを淹れるというのも新鮮で良いですね!最も?ボクなら卒無くこなせますが!」
「手洗い場の水汲もうとした方が言わんでくれますか?」
「がっ…!冷蔵庫にミネラルウォーターがあるってパッと言ってくれれば良かったでしょう!!」
いつのまにか置かれていたコーヒーポットを利用しているウチの新入り、幸子ちゃん。
「…これで、スイッチを押す、と!」
今までは、お母さんが何でもやっていたからか、それすらが新鮮でならないみたい。
「あれ?…色薄い…」
「粉入れなさ過ぎだよ…」
「だって、スプーン一杯で良いって…」
「それは右京さんが紅茶混ぜてる小さいやつ。普通のはそっち」
…最近、幸子ちゃんの家庭にちょっとした動きがあったみたい。
実家に戻ったお母さんが、働き出したというのだ。
「麻痺した金銭感覚を戻すとかなんとか…まあ、ボクはそれくらいで許す気はありませんがね!」
じゃあ、何でそれをアタシに嬉々として話すのかな。
そんな疑問が浮かんだけど、聞くのは野暮かなと思ってやめておいた。
「…今の生活は少し苦しいですが、これもいつか慣れていくでしょう!ああ…なんて順応の早いボク…」
この子は、今まで外食が多かったらしい。
…そんな彼女が、なんと自分の意思で寮に入ることを決めた。
料理は出来ると豪語してたけど、紗枝ちゃん曰く、どうやら食に関しては寮のおばちゃん頼りみたい。
それにフカフカのベッドなどではなく、固い畳の上に敷布団。
温室育ちだった幸子ちゃんにとってはかなり寝辛いはず。
それでも楽しそうにしているということは、よっぽど解放感があるんだろうなあ。
「…ええと、これは何処で洗うんですか?」
「それは、手洗い場どすえ。あっち。ほんでこれ、洗剤どす」
「あ…改めて思うとなんだか行きづらい…」
「慣れればどうということありまへん」
…あれから、塾は結局辞めたらしい。
寮から通うのは難しいし、全員の誤解が解けた訳ではないから。
それでも、もう変に辛い態度を取られる事は無かったようだ。
「手洗い場の水汲もうとした方が言わんでくれますか?」
「がっ…!冷蔵庫にミネラルウォーターがあるってパッと言ってくれれば良かったでしょう!!」
いつのまにか置かれていたコーヒーポットを利用しているウチの新入り、幸子ちゃん。
「…これで、スイッチを押す、と!」
今までは、お母さんが何でもやっていたからか、それすらが新鮮でならないみたい。
「あれ?…色薄い…」
「粉入れなさ過ぎだよ…」
「だって、スプーン一杯で良いって…」
「それは右京さんが紅茶混ぜてる小さいやつ。普通のはそっち」
…最近、幸子ちゃんの家庭にちょっとした動きがあったみたい。
実家に戻ったお母さんが、働き出したというのだ。
「麻痺した金銭感覚を戻すとかなんとか…まあ、ボクはそれくらいで許す気はありませんがね!」
じゃあ、何でそれをアタシに嬉々として話すのかな。
そんな疑問が浮かんだけど、聞くのは野暮かなと思ってやめておいた。
「…今の生活は少し苦しいですが、これもいつか慣れていくでしょう!ああ…なんて順応の早いボク…」
この子は、今まで外食が多かったらしい。
…そんな彼女が、なんと自分の意思で寮に入ることを決めた。
料理は出来ると豪語してたけど、紗枝ちゃん曰く、どうやら食に関しては寮のおばちゃん頼りみたい。
それにフカフカのベッドなどではなく、固い畳の上に敷布団。
温室育ちだった幸子ちゃんにとってはかなり寝辛いはず。
それでも楽しそうにしているということは、よっぽど解放感があるんだろうなあ。
「…ええと、これは何処で洗うんですか?」
「それは、手洗い場どすえ。あっち。ほんでこれ、洗剤どす」
「あ…改めて思うとなんだか行きづらい…」
「慣れればどうということありまへん」
…あれから、塾は結局辞めたらしい。
寮から通うのは難しいし、全員の誤解が解けた訳ではないから。
それでも、もう変に辛い態度を取られる事は無かったようだ。
276: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:21:59.04 ID:5WCzEdVRO
幸子ちゃんのお母さんは、この子をとにかく一番にしたかった。
そう言っていたけど、本当は違った。
一番の幸子ちゃんの母親である自分が好きだったんだ。
だから、他の子達が大勢いる中にもわざと連れていって、自慢気に引き連れて歩いていたんだ。
「…」
異常だと、今でも思う。
そんなのはまるでペット扱いだから。
だからそのペットのわがままは許さなかった。
貰った名刺も即座に発見して、破り捨てた。
…名刺を失くしたって言ってたのは、そういうことだった。
「…よく、頑張ったね」
「む…な、何ですか…いきなりそんな…やめてください!恥ずかしくなりますから!」
…右京さんは、この子を心の弱い子だって言ってたけど、アタシは違うと思う。
弱い部分しか見ていないから、そう思っただけなのかもしれないけど。
こんなに色んな重圧に耐え抜いたこの子が、そんな弱い訳がない。
「…」
…だけど、どうなんだろう。
あの人を毛細血管の一本一本まで見抜くような人だ。
何かしらの意味を込めて言ったのかもしれない。
「…」
…だとしたら、この子は。
今でも、無理をしているのだろうか。
なら、この子が受けた心の傷は、いつか癒える日が来るのだろうか。
そう言っていたけど、本当は違った。
一番の幸子ちゃんの母親である自分が好きだったんだ。
だから、他の子達が大勢いる中にもわざと連れていって、自慢気に引き連れて歩いていたんだ。
「…」
異常だと、今でも思う。
そんなのはまるでペット扱いだから。
だからそのペットのわがままは許さなかった。
貰った名刺も即座に発見して、破り捨てた。
…名刺を失くしたって言ってたのは、そういうことだった。
「…よく、頑張ったね」
「む…な、何ですか…いきなりそんな…やめてください!恥ずかしくなりますから!」
…右京さんは、この子を心の弱い子だって言ってたけど、アタシは違うと思う。
弱い部分しか見ていないから、そう思っただけなのかもしれないけど。
こんなに色んな重圧に耐え抜いたこの子が、そんな弱い訳がない。
「…」
…だけど、どうなんだろう。
あの人を毛細血管の一本一本まで見抜くような人だ。
何かしらの意味を込めて言ったのかもしれない。
「…」
…だとしたら、この子は。
今でも、無理をしているのだろうか。
なら、この子が受けた心の傷は、いつか癒える日が来るのだろうか。
277: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:23:08.45 ID:5WCzEdVRO
「しかしボクの初仕事がもう決まっただなんて、流石ボクですね!」
「…宣材撮影は誰でもやるから…」
「どうせならカメラマンさんを悩殺するくらいの…」
上半身を必死に反らせて胸を強調している。
…アタシが言うのもなんだけど、正直…無い。
「どうですか?悩殺されましたか?」
「時間の無駄になりそやなぁ。そういう意味でならカメラマン殺し言うんちゃいます?」
「ムキー!ああ言えばこう言う!!」
…紗枝ちゃんとの相性は良いのか悪いのか。
こういう自然なやりとりを見ていると、答えは自然と分かる。
「ならこれはどうです?スカートをヒラヒラっと…」
「鳥の求愛ダンスどすか?」
「何でカメラマンに求愛してるんですか!!セクシーさですよ!セクシーさ!!」
「…あかんなぁ。セクシーのセの字も理解してまへん」
「…そんなに言うなら、見せて下さいよ」
「ふ…」
不敵な笑みを浮かべ、紗枝ちゃんが立ち上がる。
すると、突然着物を少しだけ緩め、スリットを作り出した。
艶やかな表情とともに、妖艶に足を少し出し…。
「…こんな感じ…どすか?」
「おー…」
思わず拍手が出た。
これはアタシにも出来ない。
…っていうか、そんなんやりたくない。
「ふ、ふふふ。それくらいボクにとってはお茶の子さいさいですよ!ほーらほら!」バッサバッサ
「あらあら、ここにオス鳥はおりまへんえ?」ケラケラ
「誰がメス鳥ですか!!そもそも求愛するのは雄の方でしょうが!」
…最年長のアタシが、一番置いてけぼりくらってる気がする…。
「…宣材撮影は誰でもやるから…」
「どうせならカメラマンさんを悩殺するくらいの…」
上半身を必死に反らせて胸を強調している。
…アタシが言うのもなんだけど、正直…無い。
「どうですか?悩殺されましたか?」
「時間の無駄になりそやなぁ。そういう意味でならカメラマン殺し言うんちゃいます?」
「ムキー!ああ言えばこう言う!!」
…紗枝ちゃんとの相性は良いのか悪いのか。
こういう自然なやりとりを見ていると、答えは自然と分かる。
「ならこれはどうです?スカートをヒラヒラっと…」
「鳥の求愛ダンスどすか?」
「何でカメラマンに求愛してるんですか!!セクシーさですよ!セクシーさ!!」
「…あかんなぁ。セクシーのセの字も理解してまへん」
「…そんなに言うなら、見せて下さいよ」
「ふ…」
不敵な笑みを浮かべ、紗枝ちゃんが立ち上がる。
すると、突然着物を少しだけ緩め、スリットを作り出した。
艶やかな表情とともに、妖艶に足を少し出し…。
「…こんな感じ…どすか?」
「おー…」
思わず拍手が出た。
これはアタシにも出来ない。
…っていうか、そんなんやりたくない。
「ふ、ふふふ。それくらいボクにとってはお茶の子さいさいですよ!ほーらほら!」バッサバッサ
「あらあら、ここにオス鳥はおりまへんえ?」ケラケラ
「誰がメス鳥ですか!!そもそも求愛するのは雄の方でしょうが!」
…最年長のアタシが、一番置いてけぼりくらってる気がする…。
278: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:24:13.93 ID:5WCzEdVRO
幸子ちゃんがここにやってきた当初の理由。
早苗さんや右京さんの想像でしかないけど。
…誰でも良いから助けを求めていた、から。
今、この子にとってアタシ達は求められた側の責任は果たせているだろうか。
…むしろ、こんなことを考えている方が不謹慎なのか。
「…」
アタシには、分からない。
「…」
でも、今は、これでいいのかなって思う。
紆余曲折あったけど、来てくれたんだから。
今は、それでいいや。
それに、変に悩み過ぎるのもアタシらしくない。
…そんなことより。
「…」
【輿水幸子】
【小早川紗枝】
【姫川友紀】
[杉下右京]
…右京さん、どこ?
早苗さんや右京さんの想像でしかないけど。
…誰でも良いから助けを求めていた、から。
今、この子にとってアタシ達は求められた側の責任は果たせているだろうか。
…むしろ、こんなことを考えている方が不謹慎なのか。
「…」
アタシには、分からない。
「…」
でも、今は、これでいいのかなって思う。
紆余曲折あったけど、来てくれたんだから。
今は、それでいいや。
それに、変に悩み過ぎるのもアタシらしくない。
…そんなことより。
「…」
【輿水幸子】
【小早川紗枝】
【姫川友紀】
[杉下右京]
…右京さん、どこ?
279: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:25:13.06 ID:5WCzEdVRO
紗枝「友紀はんが来た時もおらんかったんどすか?」
友紀「うん。いつもはあれ表にしてあるし」
幸子「寝坊ですか?」
友紀「あの人が…?」
紗枝「…考えられまへんなあ」
友紀「まず寝てるのかって話になるよ。右京さんの場合」
幸子「と言ってももう無理をするような年齢ではないと思いますが…」
友紀「…まあねぇ…」
紗枝「何処か行っとるんちゃいます?右京はんがそないミスをするとは思えまへんしなぁ…」
幸子「連絡は無いんですか?」
友紀「今のところ無いなぁ…」
『♪』
友紀「うわびっくりしたぁ!!」
『右京さん』
幸子「…噂をすれば…ですね」
紗枝「そないなことより早よ出なあきまへんえ」
友紀「あ、うん…」pi
友紀「うん。いつもはあれ表にしてあるし」
幸子「寝坊ですか?」
友紀「あの人が…?」
紗枝「…考えられまへんなあ」
友紀「まず寝てるのかって話になるよ。右京さんの場合」
幸子「と言ってももう無理をするような年齢ではないと思いますが…」
友紀「…まあねぇ…」
紗枝「何処か行っとるんちゃいます?右京はんがそないミスをするとは思えまへんしなぁ…」
幸子「連絡は無いんですか?」
友紀「今のところ無いなぁ…」
『♪』
友紀「うわびっくりしたぁ!!」
『右京さん』
幸子「…噂をすれば…ですね」
紗枝「そないなことより早よ出なあきまへんえ」
友紀「あ、うん…」pi
280: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:26:21.45 ID:5WCzEdVRO
友紀「…もしもし?」
右京『おはようございます』
友紀「ん。おはよ!…いやそうじゃなくて!」
右京『君達は今、事務所内ですか?』
友紀「え?…う、うん…」
右京『それは良かった。今日の予定は、君は午後からレッスン、小早川君は学校に、幸子君は宣材撮影後、学校ですね?』
友紀「え?…あ、幸子ちゃん。学校は撮影終わってからだよね?」
幸子「はい!今からどんなポーズを取ろうか…」
友紀「撮影後学校だって」
右京『聞こえています』
友紀「・・・あ、そ・・・」
右京『今回、幸子君に付き添って頂きたいんですよ。君に』
友紀「え?右京さんは?」
右京『僕は今日中に終わらせなければならないことがあります。…ああ!僕の木札を表にしておいて下さい』
友紀「…はいはい」
右京『では、よろしくお願いします』
友紀「ん。…で?予定は?」
右京『それは後ほど』
友紀「え?ちょっ……あ、切られた…」ツーツー
幸子「何だか、猫みたいですね」
友紀「…あんな猫嫌だよ」
紗枝「猫…ウチも言われたことありますわぁ」
幸子「言われてそうですね。お腹突き抜けて背中まで真っ黒ですから」
紗枝「幸子はんはお尻が青いんとちゃいます?」
幸子「ムガー!!子供扱いしないで下さい!!」
紗枝「ウフフ」
右京『おはようございます』
友紀「ん。おはよ!…いやそうじゃなくて!」
右京『君達は今、事務所内ですか?』
友紀「え?…う、うん…」
右京『それは良かった。今日の予定は、君は午後からレッスン、小早川君は学校に、幸子君は宣材撮影後、学校ですね?』
友紀「え?…あ、幸子ちゃん。学校は撮影終わってからだよね?」
幸子「はい!今からどんなポーズを取ろうか…」
友紀「撮影後学校だって」
右京『聞こえています』
友紀「・・・あ、そ・・・」
右京『今回、幸子君に付き添って頂きたいんですよ。君に』
友紀「え?右京さんは?」
右京『僕は今日中に終わらせなければならないことがあります。…ああ!僕の木札を表にしておいて下さい』
友紀「…はいはい」
右京『では、よろしくお願いします』
友紀「ん。…で?予定は?」
右京『それは後ほど』
友紀「え?ちょっ……あ、切られた…」ツーツー
幸子「何だか、猫みたいですね」
友紀「…あんな猫嫌だよ」
紗枝「猫…ウチも言われたことありますわぁ」
幸子「言われてそうですね。お腹突き抜けて背中まで真っ黒ですから」
紗枝「幸子はんはお尻が青いんとちゃいます?」
幸子「ムガー!!子供扱いしないで下さい!!」
紗枝「ウフフ」
281: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:27:20.90 ID:5WCzEdVRO
右京「…」
店員「お待たせしましたー。ミルクティーです」
右京「どうもありがとうございます」
店員「どうぞごゆっくり…あれ?」
今西「やあ杉下君」
右京「おはようございます」
今西「ああ、私はホットコーヒーを」
店員「…か、かしこまりましたー」
右京「…」
今西「いやー…聞いたよ。随分盛り上がっているようだね!」
右京「ええ。しかしそれは彼女達の頑張りがあるからこそです」
今西「ふむふむ。しかし君の力もあってこそ、だ!」
右京「…恐縮です」
今西「…それと、輿水君に関してはそれとなく聞いているよ。いやはや、君の行動力にはいつも驚かされる…」
右京「…」
今西「…と!君は無駄話はあまり好きではなかったね。…まあ、確かに社内では色々面倒だからねぇ」
右京「僕も、自分自身がどういう立場なのかは承知しています」
今西「…そうかね?」
右京「ええ」
店員「お待たせしましたー。ミルクティーです」
右京「どうもありがとうございます」
店員「どうぞごゆっくり…あれ?」
今西「やあ杉下君」
右京「おはようございます」
今西「ああ、私はホットコーヒーを」
店員「…か、かしこまりましたー」
右京「…」
今西「いやー…聞いたよ。随分盛り上がっているようだね!」
右京「ええ。しかしそれは彼女達の頑張りがあるからこそです」
今西「ふむふむ。しかし君の力もあってこそ、だ!」
右京「…恐縮です」
今西「…それと、輿水君に関してはそれとなく聞いているよ。いやはや、君の行動力にはいつも驚かされる…」
右京「…」
今西「…と!君は無駄話はあまり好きではなかったね。…まあ、確かに社内では色々面倒だからねぇ」
右京「僕も、自分自身がどういう立場なのかは承知しています」
今西「…そうかね?」
右京「ええ」
282: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:28:17.75 ID:5WCzEdVRO
今西「…何せ君を快く思っていない連中もいる。変に聞かれて邪魔されるのは私も防ぎたいからね」
右京「…それで、会社から離れた喫茶店ですか」
今西「…その方が、君も話しやすいかと思ってね。迷惑だったかな?」
右京「いえ。お心遣い感謝致します」
店員「お待たせしましたー。ホットコーヒーですー」
今西「ああどうも。…それで?」
右京「ええ。是非とも今西部長のお知恵を借りたいと思いまして…」
今西「それは光栄だねぇ。…どんな相談かね?」
右京「まずは、これを見て下さい」
今西「む?…ほう…これは…」
右京「それをスタートするにあたって、まず初めに必要なものは…」
今西「ふむ…」
右京「…それで、会社から離れた喫茶店ですか」
今西「…その方が、君も話しやすいかと思ってね。迷惑だったかな?」
右京「いえ。お心遣い感謝致します」
店員「お待たせしましたー。ホットコーヒーですー」
今西「ああどうも。…それで?」
右京「ええ。是非とも今西部長のお知恵を借りたいと思いまして…」
今西「それは光栄だねぇ。…どんな相談かね?」
右京「まずは、これを見て下さい」
今西「む?…ほう…これは…」
右京「それをスタートするにあたって、まず初めに必要なものは…」
今西「ふむ…」
283: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:29:18.24 ID:5WCzEdVRO
「はーいこっちに目線頂戴!…うーん…ちょっと堅いかなぁ…」
「うぐ…」
アタシも、というか芸能人になるなら誰でも必ずやることがある。
それは、宣材写真の撮影。
この人はこんなですよ。
こういう感じの人ですよ。
ああ、じゃこうしましょうね、これに使いましょうね。
という流れを作る為の、第一歩となる仕事。
アタシや紗枝ちゃんはそこまで苦労はしなかったこの仕事だけど…幸子ちゃんには難しいのかな?
「…」
自分が出来ることを、人が出来ないとどうしても疑問になる。
でも、右京さんならきっとこう言うんだ。
『君のように撮られるのが苦でない方もいれば、そうでない方もいるということです』
自分を基準にするな。
人には人の基準がある。
そういう教え。
そしてもう一つ、右京さんはアタシにこうも言っていた。
『自分が人より知恵のある人間だと思わない事です』
…ならアタシの事バカにしないでほしいけど。
「…」
けど、この言葉の本心は、多分こうだ。
『上には上がいる』
だから、井の中の蛙ではいるな、と言いたいんだと思う。
その上は、知恵だったり、力だったり。
…ただの、地位だったり。
だから、変に敵を作ると危ない目に遭うということ。
…まるで自分を反面教師にしろと言わんばかりだよね。
「うぐ…」
アタシも、というか芸能人になるなら誰でも必ずやることがある。
それは、宣材写真の撮影。
この人はこんなですよ。
こういう感じの人ですよ。
ああ、じゃこうしましょうね、これに使いましょうね。
という流れを作る為の、第一歩となる仕事。
アタシや紗枝ちゃんはそこまで苦労はしなかったこの仕事だけど…幸子ちゃんには難しいのかな?
「…」
自分が出来ることを、人が出来ないとどうしても疑問になる。
でも、右京さんならきっとこう言うんだ。
『君のように撮られるのが苦でない方もいれば、そうでない方もいるということです』
自分を基準にするな。
人には人の基準がある。
そういう教え。
そしてもう一つ、右京さんはアタシにこうも言っていた。
『自分が人より知恵のある人間だと思わない事です』
…ならアタシの事バカにしないでほしいけど。
「…」
けど、この言葉の本心は、多分こうだ。
『上には上がいる』
だから、井の中の蛙ではいるな、と言いたいんだと思う。
その上は、知恵だったり、力だったり。
…ただの、地位だったり。
だから、変に敵を作ると危ない目に遭うということ。
…まるで自分を反面教師にしろと言わんばかりだよね。
284: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:30:02.61 ID:5WCzEdVRO
幸子「うー…思い通りに行こうとすると恥ずかしくなります」
友紀「世の男性をメロメロにするんでしょ?じゃあ頑張らないと!」
幸子「不特定多数の人に見られてる、見られると思うと…」
友紀「あー…」
幸子「友紀さんは、無かったんですか?」
友紀「いや、あったよそりゃ…」
幸子「どんな感じでした?」
友紀「初めて大きい仕事貰った時さ、数百人の前で司会やるんだけど…緊張して言葉忘れたり、体動かなくなったり…」
幸子「数百人…」
友紀「いや、そりゃ大物みたいにうん万人とまではいかないよ。でも慣れると…なんか悪くないなって思っちゃう」
幸子「…なるほど…」
友紀「だからさ、とにかくやってみたら良いよ。アタシもそうだったから」
幸子「…」
「すいませーん。そろそろ再開しますよー?」
友紀「あ、はい!…じゃ、幸子ちゃん、ほら早く早く!」
幸子「は、はい。分かりましたから…押さないで…」
友紀「そんなんじゃ紗枝ちゃんにバカにされたままだよ?」
幸子「う…それは嫌です…」
友紀「じゃ、頑張らなきゃだね!」
幸子「は、はい…」
友紀「世の男性をメロメロにするんでしょ?じゃあ頑張らないと!」
幸子「不特定多数の人に見られてる、見られると思うと…」
友紀「あー…」
幸子「友紀さんは、無かったんですか?」
友紀「いや、あったよそりゃ…」
幸子「どんな感じでした?」
友紀「初めて大きい仕事貰った時さ、数百人の前で司会やるんだけど…緊張して言葉忘れたり、体動かなくなったり…」
幸子「数百人…」
友紀「いや、そりゃ大物みたいにうん万人とまではいかないよ。でも慣れると…なんか悪くないなって思っちゃう」
幸子「…なるほど…」
友紀「だからさ、とにかくやってみたら良いよ。アタシもそうだったから」
幸子「…」
「すいませーん。そろそろ再開しますよー?」
友紀「あ、はい!…じゃ、幸子ちゃん、ほら早く早く!」
幸子「は、はい。分かりましたから…押さないで…」
友紀「そんなんじゃ紗枝ちゃんにバカにされたままだよ?」
幸子「う…それは嫌です…」
友紀「じゃ、頑張らなきゃだね!」
幸子「は、はい…」
285: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:30:59.39 ID:5WCzEdVRO
休憩が終わってまた撮影してるけど。
…まだぎこちない。
人見知りではないけど、恥ずかしがり屋なのかな。
「うーん…ちょっとまだぎこちないかなぁ…」
カメラマンの人もどうしようか悩んでいるみたいで、それを見た幸子ちゃんの顔も次第に曇り始める。
「…」
相手の顔色をうかがっているのか、彼女の体がどんどん小さく縮こまっているのがなんとなく分かる。
…こんな時右京さんだったら、何て言うんだろう?
何も言わず、静かに見守るのかな?
魔法の言葉でもかけるのかな?
…あの人には、無理そう。
「…」
カメラマンの人がスタッフと写し方を話し合っている。
撮らない訳にはいかないから、構図を変えてみようという話をしているみたい。
「…で…を…」
「…あー…それで…」
幸子ちゃん、ちょっと出だし躓いちゃったかな、なんて思ってるその時。
「すいませーん!!」
「!」
…突然、知らない女の人の声がスタジオに響いた。
…まだぎこちない。
人見知りではないけど、恥ずかしがり屋なのかな。
「うーん…ちょっとまだぎこちないかなぁ…」
カメラマンの人もどうしようか悩んでいるみたいで、それを見た幸子ちゃんの顔も次第に曇り始める。
「…」
相手の顔色をうかがっているのか、彼女の体がどんどん小さく縮こまっているのがなんとなく分かる。
…こんな時右京さんだったら、何て言うんだろう?
何も言わず、静かに見守るのかな?
魔法の言葉でもかけるのかな?
…あの人には、無理そう。
「…」
カメラマンの人がスタッフと写し方を話し合っている。
撮らない訳にはいかないから、構図を変えてみようという話をしているみたい。
「…で…を…」
「…あー…それで…」
幸子ちゃん、ちょっと出だし躓いちゃったかな、なんて思ってるその時。
「すいませーん!!」
「!」
…突然、知らない女の人の声がスタジオに響いた。
286: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:31:58.18 ID:5WCzEdVRO
「ハァッ…ハァッ…す、すいません!お待たせしてしまいましたぁ…」
「あ、君…」
誰だろ…?
…っていうか、何だか奇抜な服装だなぁ。
今風って訳でもないし…でも大人っぽい訳でもないし…。
「アルバイトで少しトラブルが起きてしまいまして…」
「あ、そういうことじゃなくて…」
「ま、まさか!…く、クビですか…?」
「あ、いやだからね?………君、入り時間違うよ?」
「えっ?」
「あと2時間後だね。まあ…間違えたのは最初だから良しとして…」
「あ、そ、そうだったんですか…」
「…うーん…どうする?」
「そうっすねぇ…あ、幸子ちゃん!」
「はいっ!?」
「ちょっと他の人の参考にしてみよっか!見てみたら案外分かるかもしれないからさ!」
「は、はい…」
「というわけでさ、順番変わっちゃうけど良い?」
「あ、はい!大丈夫です!」
スタッフとカメラマンが入り時間よりも遥かに早く来てしまったこの人を、幸子ちゃんと入れ替えてみることにしたらしい。
学校に行く時間はまだ先っぽくなったけど…。
「それじゃあ…化粧して…服着て…」
「あ!お化粧は大丈夫です!衣装は…」
「大丈夫?…まあ、そっちが良いなら…」
その人は化粧は自分でやる派なのか、それとも幸子ちゃんに気を遣ったのか。
衣装に手を伸ばし、そして一切の迷いなく、それを選んだ。
「…メイド服?」
「はいっ!これはアルバイトでも着てますから!」
…メイド喫茶の人だったんだ…。
「あ、君…」
誰だろ…?
…っていうか、何だか奇抜な服装だなぁ。
今風って訳でもないし…でも大人っぽい訳でもないし…。
「アルバイトで少しトラブルが起きてしまいまして…」
「あ、そういうことじゃなくて…」
「ま、まさか!…く、クビですか…?」
「あ、いやだからね?………君、入り時間違うよ?」
「えっ?」
「あと2時間後だね。まあ…間違えたのは最初だから良しとして…」
「あ、そ、そうだったんですか…」
「…うーん…どうする?」
「そうっすねぇ…あ、幸子ちゃん!」
「はいっ!?」
「ちょっと他の人の参考にしてみよっか!見てみたら案外分かるかもしれないからさ!」
「は、はい…」
「というわけでさ、順番変わっちゃうけど良い?」
「あ、はい!大丈夫です!」
スタッフとカメラマンが入り時間よりも遥かに早く来てしまったこの人を、幸子ちゃんと入れ替えてみることにしたらしい。
学校に行く時間はまだ先っぽくなったけど…。
「それじゃあ…化粧して…服着て…」
「あ!お化粧は大丈夫です!衣装は…」
「大丈夫?…まあ、そっちが良いなら…」
その人は化粧は自分でやる派なのか、それとも幸子ちゃんに気を遣ったのか。
衣装に手を伸ばし、そして一切の迷いなく、それを選んだ。
「…メイド服?」
「はいっ!これはアルバイトでも着てますから!」
…メイド喫茶の人だったんだ…。
287: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:32:57.40 ID:5WCzEdVRO
「…じゃー撮影するよー!…緊張してない?」
「ちょっぴりしてますけど…大丈夫です!」
幸子「…」
友紀「…」
「そう!じゃあ安心だ!幸子ちゃん!こういう感じだよ!だからリラックスリラックス!」
幸子「は、はい!」
友紀「…」
「はい!じゃあ自分で良いなと思ったポーズを取って!」
「はいっ!」
「じゃー名前言っちゃおう!大きな声で!」
友紀「…」
幸子「…」
菜々「安部菜々!ウサミン星からやってきたウサミン星人です!地球ではJKやってます!キャハッ♪」
「・・・」
友紀「・・・」
幸子「・・・」
菜々「・・・」
「…よーし!!良い笑顔貰ったよー!!」パシャッ
菜々「はいっ!これからウサミン星人の侵略が始まりますよー!!」
幸子「…」
友紀「…幸子ちゃん」
幸子「はい?」
友紀「…参考になる?」
幸子「…なりませんけど、あのハートは見習います」
友紀「…あはは…」
「ちょっぴりしてますけど…大丈夫です!」
幸子「…」
友紀「…」
「そう!じゃあ安心だ!幸子ちゃん!こういう感じだよ!だからリラックスリラックス!」
幸子「は、はい!」
友紀「…」
「はい!じゃあ自分で良いなと思ったポーズを取って!」
「はいっ!」
「じゃー名前言っちゃおう!大きな声で!」
友紀「…」
幸子「…」
菜々「安部菜々!ウサミン星からやってきたウサミン星人です!地球ではJKやってます!キャハッ♪」
「・・・」
友紀「・・・」
幸子「・・・」
菜々「・・・」
「…よーし!!良い笑顔貰ったよー!!」パシャッ
菜々「はいっ!これからウサミン星人の侵略が始まりますよー!!」
幸子「…」
友紀「…幸子ちゃん」
幸子「はい?」
友紀「…参考になる?」
幸子「…なりませんけど、あのハートは見習います」
友紀「…あはは…」
288: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:34:09.41 ID:5WCzEdVRO
「いやー…かなり早く終わっちゃったね!いやさっきのはびっくりしたよー…」
「ナナは本物の宇宙人なんですよ!」
「あ、そ、そうなの?」
「はいっ!」
安部菜々ちゃん。
17歳の女子高校生で、メイド喫茶でアルバイトをしながら生計を立ててるらしい。
「次は…えっと…」
「輿水幸子です」
「幸子さんですね!頑張って下さい!ウサミーン!パワー!注・入!!ビビビビーン!」
「やめてください!伝わりましたから!色々と!」
「元気は出ましたか?」
「出ました!出ましたから!」
「良かったです!キャハッ♪」
…何だろう。
この子、色々ぶっ飛んでる人なのかな…?
「…あ!貴方は姫川友紀さんですね!」
「え?知ってるの?」
「はいっ!ナナはアイドルの方なら結構知ってるんですよ?」
菜々ちゃんは、アタシの方に向くと、すぐにアタシの名前を言い当ててみせた。
…アタシも、有名になれたってことなんだなぁ。
「嬉しいなぁ…これからよろしくね!菜々ちゃん!」
「はいっ!」
…確かに、この子に応援されたら元気出るかも。
「じゃあ、幸子ちゃん。…オッケー?」
「…はい!オッケーです!」
幸子ちゃんの緊張も解れたみたいで、カメラマンもスタッフもみんな安堵の色を浮かべている。
「じゃあ、幸子ちゃん!張り切ってこうね!」
「はい!」
…うん。
…良いスタートがきれたかな。
「じゃあポーズ取ってー!」
「はい…」スッ
「?…お、セクシー路線かー…良いよ良いよー!挑発的な表情いってみよー!」
「はい!…これで…?」
「……オッケー!はい撮れたー!」
アタシはプロデューサーではないけど。
…今なら気持ちが分かる気がするよ、右京さん。
「おーし。良いの撮れたじゃない!」
「はい!」
…身内が成功すると、こんなにも嬉しいものなんだね。
「ナナは本物の宇宙人なんですよ!」
「あ、そ、そうなの?」
「はいっ!」
安部菜々ちゃん。
17歳の女子高校生で、メイド喫茶でアルバイトをしながら生計を立ててるらしい。
「次は…えっと…」
「輿水幸子です」
「幸子さんですね!頑張って下さい!ウサミーン!パワー!注・入!!ビビビビーン!」
「やめてください!伝わりましたから!色々と!」
「元気は出ましたか?」
「出ました!出ましたから!」
「良かったです!キャハッ♪」
…何だろう。
この子、色々ぶっ飛んでる人なのかな…?
「…あ!貴方は姫川友紀さんですね!」
「え?知ってるの?」
「はいっ!ナナはアイドルの方なら結構知ってるんですよ?」
菜々ちゃんは、アタシの方に向くと、すぐにアタシの名前を言い当ててみせた。
…アタシも、有名になれたってことなんだなぁ。
「嬉しいなぁ…これからよろしくね!菜々ちゃん!」
「はいっ!」
…確かに、この子に応援されたら元気出るかも。
「じゃあ、幸子ちゃん。…オッケー?」
「…はい!オッケーです!」
幸子ちゃんの緊張も解れたみたいで、カメラマンもスタッフもみんな安堵の色を浮かべている。
「じゃあ、幸子ちゃん!張り切ってこうね!」
「はい!」
…うん。
…良いスタートがきれたかな。
「じゃあポーズ取ってー!」
「はい…」スッ
「?…お、セクシー路線かー…良いよ良いよー!挑発的な表情いってみよー!」
「はい!…これで…?」
「……オッケー!はい撮れたー!」
アタシはプロデューサーではないけど。
…今なら気持ちが分かる気がするよ、右京さん。
「おーし。良いの撮れたじゃない!」
「はい!」
…身内が成功すると、こんなにも嬉しいものなんだね。
289: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:35:44.60 ID:5WCzEdVRO
右京「そうでしたか。幸子君の初仕事は大成功でしたか」
友紀「うん。…よ…いしょっ…」グググ…
トレーナー「はい息吸ってー…」
友紀「すうううう…」
トレーナー「はい3秒止めて、吐く」
友紀「んっ・・・ふうううう…」
右京「君も、随分成長しましたねぇ。少なくとも後輩の面倒を見るくらいには」
友紀「大袈裟だよ。それに菜々ちゃんって子の手助けが無かったら…」
右京「遅かれ早かれ、君なら手本を見せるということに気がつくでしょう」
友紀「まあ…よ…いしょっ………ね」
右京「…今回、僕は今西部長に企画を提案してきました」
友紀「すうううう……んむ?」
右京「ああそのままレッスンを続けて下さい。僕は勝手に話していますから…」
友紀「ふうううう……で、どうしたの?」
右京「…3人が3人ともバラバラというのも、どうかと思いましてねぇ」
友紀「…まあ、アタシも紗枝ちゃんもセットで呼ばれること多かったしねぇ」
右京「ええ。ですからこの際、君達にユニットを組んでもらおうかと思いまして…」
友紀「…え!ユニット!?」
トレーナー「あら…おめでとうございます!」
友紀「あ、ありがとうございます…。でもそんな、こんな所で話さなくても…いや嬉しいけどさ」
右京「小早川君も幸子君も学校。校内で電話をいじるのはよろしくありませんから」
友紀「…アタシはここにいるもんねぇ…」
右京「それもありますが、まず君に話しておきたかったものですから」
友紀「…そっか。なんか…ありがと」
友紀「うん。…よ…いしょっ…」グググ…
トレーナー「はい息吸ってー…」
友紀「すうううう…」
トレーナー「はい3秒止めて、吐く」
友紀「んっ・・・ふうううう…」
右京「君も、随分成長しましたねぇ。少なくとも後輩の面倒を見るくらいには」
友紀「大袈裟だよ。それに菜々ちゃんって子の手助けが無かったら…」
右京「遅かれ早かれ、君なら手本を見せるということに気がつくでしょう」
友紀「まあ…よ…いしょっ………ね」
右京「…今回、僕は今西部長に企画を提案してきました」
友紀「すうううう……んむ?」
右京「ああそのままレッスンを続けて下さい。僕は勝手に話していますから…」
友紀「ふうううう……で、どうしたの?」
右京「…3人が3人ともバラバラというのも、どうかと思いましてねぇ」
友紀「…まあ、アタシも紗枝ちゃんもセットで呼ばれること多かったしねぇ」
右京「ええ。ですからこの際、君達にユニットを組んでもらおうかと思いまして…」
友紀「…え!ユニット!?」
トレーナー「あら…おめでとうございます!」
友紀「あ、ありがとうございます…。でもそんな、こんな所で話さなくても…いや嬉しいけどさ」
右京「小早川君も幸子君も学校。校内で電話をいじるのはよろしくありませんから」
友紀「…アタシはここにいるもんねぇ…」
右京「それもありますが、まず君に話しておきたかったものですから」
友紀「…そっか。なんか…ありがと」
290: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:37:06.30 ID:5WCzEdVRO
右京「…思えば君がここに来て、随分経ちます」
友紀「…そだね。もう半年くらい?」
右京「5カ月と、21日です」
友紀「細かいなぁ…」
右京「…僕の…」
友紀「悪い癖、でしょ?」
右京「それはともかく、このプロジェクトの中では、君が一番の先輩ですから」
友紀「…でも、ユニットかぁ…」
右京「ええ。まだまだ先の話ですが…」
友紀「そう、だね…。名前とか、リーダーとか決めなきゃだし」
右京「ええ。ですがそれらは君達にお任せします」
友紀「そう?」
右京「君達が決めたことなら、君達も納得するでしょうから」
友紀「…そっか」
右京「ええ。今のところはまだ企画段階ですが、何か質問はありますか?」
友紀「え?…うーん…じゃあ、さ」
右京「何でしょうか?」
友紀「リーダーは、誰が良いの?」
右京「…君達で…」
友紀「そうじゃなくってさ、右京さんは、誰が良いの?」
右京「…」
友紀「ほら、右京さんの意見もないと…」
右京「…そうですねぇ…」
友紀「やっぱり紗枝ちゃんかな?落ち着いてるし…」
右京「…色々と考えました」
友紀「…例えば?」
右京「小早川君は落ち着きのある方。幸子君は空間認識能力が高い…君は年長者で、2人の面倒を見ている…」
友紀「見てるって、そこまでは…」
右京「僕としては君にお任せしたいところですが、まあ…そこは話し合って頂ければ幸いです」
友紀「…ん…」
右京「それでは僕は部屋に戻っています」
友紀「ん。また後でね」
友紀「…そだね。もう半年くらい?」
右京「5カ月と、21日です」
友紀「細かいなぁ…」
右京「…僕の…」
友紀「悪い癖、でしょ?」
右京「それはともかく、このプロジェクトの中では、君が一番の先輩ですから」
友紀「…でも、ユニットかぁ…」
右京「ええ。まだまだ先の話ですが…」
友紀「そう、だね…。名前とか、リーダーとか決めなきゃだし」
右京「ええ。ですがそれらは君達にお任せします」
友紀「そう?」
右京「君達が決めたことなら、君達も納得するでしょうから」
友紀「…そっか」
右京「ええ。今のところはまだ企画段階ですが、何か質問はありますか?」
友紀「え?…うーん…じゃあ、さ」
右京「何でしょうか?」
友紀「リーダーは、誰が良いの?」
右京「…君達で…」
友紀「そうじゃなくってさ、右京さんは、誰が良いの?」
右京「…」
友紀「ほら、右京さんの意見もないと…」
右京「…そうですねぇ…」
友紀「やっぱり紗枝ちゃんかな?落ち着いてるし…」
右京「…色々と考えました」
友紀「…例えば?」
右京「小早川君は落ち着きのある方。幸子君は空間認識能力が高い…君は年長者で、2人の面倒を見ている…」
友紀「見てるって、そこまでは…」
右京「僕としては君にお任せしたいところですが、まあ…そこは話し合って頂ければ幸いです」
友紀「…ん…」
右京「それでは僕は部屋に戻っています」
友紀「ん。また後でね」
291: ◆GWARj2QOL2 2016/04/04(月) 00:39:10.57 ID:5WCzEdVRO
…。
「はい。脚の柔軟いきますよ」
「はい…んしょ…」
さっき、何気無く聞いた質問。
誰がリーダーなら良いか。
「身体、柔らかいですねぇ…」
「チアガールやったこともありますから…」
右京さんは少し考えた後、何の気なしにアタシを推した。
…自分は頼りにされてないんじゃないかって思ってたけど。
…全然、違うじゃん。
「…嬉しそうですね。さっきのお話ですか?杉下さんとの」
「え?あ、いや…」
…また顔に出てる。
…気をつけなきゃ。
「でも尚更頑張らないといけませんね!」
「あ、はい!」
ま。まだ企画段階だし、リーダーが誰なんて話し合わなきゃ決まらないけどさ。
「…よいしょっ…」
…でも、まだ、気がついてなかった。
こんな何気無い日々がずっと続いていくと信じていたアタシ達。
もう、すでにこの時からその時計は針を進め、その時は刻一刻と迫っていた。
それが、どんな時間か?
…それは、アタシ達にとって、とても悲しくて、辛かったこと。
…右京さんとの、別れの時間。
第八話 終
「はい。脚の柔軟いきますよ」
「はい…んしょ…」
さっき、何気無く聞いた質問。
誰がリーダーなら良いか。
「身体、柔らかいですねぇ…」
「チアガールやったこともありますから…」
右京さんは少し考えた後、何の気なしにアタシを推した。
…自分は頼りにされてないんじゃないかって思ってたけど。
…全然、違うじゃん。
「…嬉しそうですね。さっきのお話ですか?杉下さんとの」
「え?あ、いや…」
…また顔に出てる。
…気をつけなきゃ。
「でも尚更頑張らないといけませんね!」
「あ、はい!」
ま。まだ企画段階だし、リーダーが誰なんて話し合わなきゃ決まらないけどさ。
「…よいしょっ…」
…でも、まだ、気がついてなかった。
こんな何気無い日々がずっと続いていくと信じていたアタシ達。
もう、すでにこの時からその時計は針を進め、その時は刻一刻と迫っていた。
それが、どんな時間か?
…それは、アタシ達にとって、とても悲しくて、辛かったこと。
…右京さんとの、別れの時間。
第八話 終
292: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/04(月) 01:51:08.99 ID:o/4i5LbZ0
乙
293: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/04(月) 07:39:34.50 ID:oxRy968jO
おつ
もうクライマックスが近いのか
もうクライマックスが近いのか
294: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/04(月) 07:42:10.17 ID:JuT+BHaY0
自分のいた世界に帰るのかな
乙!
乙!
295: と 2016/04/04(月) 09:39:09.71 ID:ETUXl0sr0
相棒世界からアイマス世界に飛ばされたってのにごく自然にプロデューサーの仕事こなしてる(?)右京さんパネエ