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右京「346プロダクション?」


322: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:29:04.88 ID:EA7aNRyuO
ここで過ごして、はや半年、以上。

それなりの知名度は出てきて、仲間も増えた。

「…」

『…やはり今の状況は厳しいですか?』

『そうですねぇ…週5でバイト入れて…ギリギリです』

休憩中に観ていたとある地下アイドルに焦点を当てたドキュメンタリー番組。

『でもいつか私もテレビとかに出て…』

…正直、このご時世でこういう仕事で食べていけるって、凄いことなんだろうなって、つくづく思う。

そして、いつ終わるか分からないこの状態をいつも心に置いておかなければならないプレッシャーも、次第に感じるようになってきた。

…確かに、親がやらせたくない仕事というのも納得。

「…お気楽だけじゃ、やっていけない世界なんだね。こういうのって」

「君からそのような言葉が聞けるとは思いませんでしたよ」

「・・・」

いつものようにパソコンと書類に目を向ける右京さんは、軽口なのか本気なのか分からないけど、そう答えた。

…もう慣れたよ。

323: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:29:57.82 ID:EA7aNRyuO
「おはようございます!」

「どうも、おはようございます」

「おはよー!」

「おはようございます」

幸子ちゃんと紗枝ちゃんが学校から直でやってきた。

学生アイドルということもあり、制服のまま来るのは珍しくない。

「でも二人とも寮でしょ?近いんだし着替えてくれば良かったのに…」

「着物は時間がかかるんどすえ」

「着物着なきゃ良いのに…」

「う…正論を吐かれたわぁ…」

…本当は普通の私服持ってるくせに…。

「今はワンタッチ式の物もあるみたいですよ。ほら」

「ほー…」

幸子ちゃんが最新式の携帯の画面を見せる。

そこにはマジックテープでくっつく着物の画像が表示されていた。

…というより、お父さんにかなり甘やかされてるな、なんて思うのは野暮…かな。

「…あかん」

「え?」

「あかん!こんなちゃちいモン、着物とは認められまへん!」

…あ、変なスイッチ入ったみたい。

324: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:30:50.05 ID:EA7aNRyuO
友紀「そういえばさ。右京さん」

右京「何でしょうか」

友紀「今日でアタシと右京さんが会って、何日か知ってる?」

右京「半年と、3日ですかねぇ…」

友紀「…まあ、半年。半年だよ」

紗枝「あら、そない経つんどすか…つまり、ウチは3、4カ月…」

幸子「ボクは2カ月ですかね」

紗枝「…密度の濃い半年どすなぁ…」

友紀「…色々、あったよねぇ…」

右京「そう思えるのは、君達が努力してきたという何よりの証拠です」

幸子「…」

紗枝「…」

友紀「…」

右京「…」

紗枝「…そう…どすなぁ…」

幸子「そう…ですね…」

友紀「…えへへ…」

325: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:32:03.96 ID:EA7aNRyuO
幸子「…ところで」

友紀「?」

幸子「決まったんですよね?」

右京「何がでしょうか」

幸子「何がでしょうかじゃないですよ!ボク達のユニット!企画書出したんですよね?」

右京「ええ」

紗枝「そういえばもうかれこれ2週間は経ちますなぁ。お返事は来てまへんの?」

右京「そのようですねぇ…」

幸子「そのようですねぇって…」

友紀「今西部長に渡したんでしょ?」

右京「ええ。確かに」

紗枝「ほな今西部長で止まっとる…ちゅうことどすか?」

友紀「んー…あの人は確かにアバウトだけど…そんな鈍臭いことするかなぁ」

右京「…」

幸子「…」

友紀「どうかした?」

幸子「…いえ」

紗枝「…」

幸子「…」

紗枝「言いなはれ」

右京「…」

紗枝「そない煮え切らん態度、かえって不安を煽るだけどすえ」

幸子「…」

友紀「…」

幸子「…考えたくはないですけど…その…今西部長以外の役員の人達って…」

紗枝「…」

幸子「…ボク達のこと…」

友紀「…あ…」

右京「…」

友紀「だ、だとしたら…アタシ達…」

紗枝「…」

右京「…もう少し、待つとしましょう」

幸子「…」

友紀「…」

326: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:34:50.00 ID:EA7aNRyuO
今西「…」

「…」

今西「…これは、どういう事でしょうか?」

「言ったはずですよ。杉下右京のこれ以上の勝手は見逃せない」

今西「結果は出している筈では?売り上げだけなら他のプロジェクトに比べても遜色ないと…」

「…それで?」

今西「彼の功績は、評価しない…と?」

「評価される人間じゃない。言い直して欲しいですね」

今西「…そこまで、彼は邪魔でしょうか?」

「邪魔…そうだねぇ。上司に従わない者がいつまでも出しゃばるのはどうかと思いますけどね」

今西「…最近は大人しくしているじゃありませんか」

「油断ならないね。あいつはその気になれば尻尾に噛み付くどころか根こそぎ飲み込んじゃう奴だから」

今西「…」

「…とはいえ、確かに結果を出しているといえば、否定出来ないよね」

今西「…ならば」

「うん。ユニットを組んで活動するのも良いんじゃないかなあ」

今西「…」

「…」

今西「…その条件が、これですか?」

「何かおかしいかな?これは社長からの直々の通達ですよ?」

今西「…」

「そんな目で見ないでくれよ。僕はただ社長からこれを渡してくれと言われただけなんだよ」

今西「…彼から、何もかも奪うつもりですか…?」

「奪うだなんて。担当が変わるだけじゃない」

今西「それを奪うと言うんじゃないんですか?」

「人聞きの悪い。これは栄転だよ?杉下も喜んでくれると思うけどね」

今西「…」

「…君だって、踏み込まれたら困る人間の一人じゃない」

今西「…」

「だから、当然の措置。こういうのは早いのに越したことはないんだから」

今西「…」

「ま、そういうことだから…」

今西「…」クシャ

327: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:35:58.14 ID:EA7aNRyuO
自分達が無事ユニットを組めるのかどうか。

そういった問題はとりあえず置いておくことにした。

「…せやけどユニットを組むんであれば…当然、決めんとあかんもんがあるんとちゃいます?」

「?」

紗枝ちゃんが右京さんの淹れた紅茶を啜りながら静かに呟く。

…決めなきゃいけないこと?

「ふむ…確かにそうですね」

アタシにはまだ分からないけど、幸子ちゃんには分かったみたい。

そしてその答えを聞こうとする前に、右京さんが口を開いた。

「ユニットの名前、それとそれを纏めるリーダー…でしょうかねぇ」

言い終わると同時にカップを皿に音も立てずに置いた。

…確かに、そうだよなあ。

それに、それはこの間少し右京さんに聞いてみたし…。

「ユニットの名前は一先ず置いといて…まずリーダーを決めんとあきまへんなあ」

右京さんの真似事なのか、カップを皿にカチンと置き、そしてチラチラと彼に目配せをする。

自分らで話し合うよりは、第三者、自分達を一番近くで見てきた右京さんに決めて欲しいんだろう。

…ただ、別の意味も含めてそうだけど。

「当然、ボクに決まってますよね!ボクはカワイイから!!」

「確かにカワイイどすなぁ。こないちっこくて」

「ちっこくないです!」

「…」

…カワイイが基準とは思わないけど。

でも、幸子ちゃんがリーダーというのも一理ある気がする。

洞察力に優れて、何より頭も良い。

ただ年長者だからアタシというのは安直過ぎるだろうし、紗枝ちゃんがリーダーというのも何だか偏った方向に行きそうだし…。

「右京はん、右京はんはどなたが良えと思いますか?」

「…僕が決めるというよりも、第三者に決められたものには少なからず不平不満が出るものです。ですから君達で決めることの方が後腐れなく、そして一番良い方法でしょうねぇ」

「そんな…右京はんが決めたんやったらウチは…」

「貴方が良くても、ボクは良くないんですよ」

「そういうことです。君達で決めて下されば、僕も幾分か楽になりますから」

…右京さんらしいや。

328: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:37:05.63 ID:EA7aNRyuO
紗枝「…ほな、友紀はんはどうなんどすか?」

友紀「え?」

幸子「そうですよ。何も言わないのはダメですよ」

友紀「…えー…」

紗枝「誰がなっても、メリットデメリットはあると思いますえ?」

友紀「…んー…」

幸子「これはですね、やはり何かで競うべきですよ」

友紀「…競う?」

幸子「そう!学力とか…」

紗枝「ほな保健体育でもやりまひょか。ほれ、これなーんや?」

幸子「ひ…卑怯ですよ!」

友紀「…あ!」

紗枝「?」

幸子「?」

右京「…」

友紀「あれは?あみだくじ!」

紗枝「…」

幸子「…」

右京「…」

友紀「…」

紗枝「…ない、どすなぁ」

幸子「…ない、ですねぇ」

友紀「…えええ…?」

329: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:37:58.95 ID:EA7aNRyuO
…結局、そんなすぐに決まるものでもなくて。

この問題はとりあえず全て一時保留として、次の仕事に向かうことになった。

…でも、ユニットかぁ。

「…」

偶然、右京さんの目に止まったアタシと。

偶然、目をつけた紗枝ちゃんと。

偶然、関わることになった幸子ちゃんが。

偶然、こうして同じプロジェクトに腰を据えることになった。

「ほなこれはどうどすか?カラオケで一番点数の高い子がリーダー言うんは」

「リーダーに求められるものは歌唱力ではありませんね!やはり可愛さ…ちっこくないです!」

「何も言うてまへんやん…」

…一度目は偶然、二度目は奇跡、三度目は必然、四度目は…。

「…運命、かぁ…」

「え?」

「え?」

「な、なんでもない…」

…声に出ちゃってた。

「う、運命て…」

「あ、いや…紗枝ちゃんが想像してるのじゃないよ」

…そもそもそれって、一人の相手に使うものだしなぁ。

330: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:39:05.65 ID:EA7aNRyuO
今西「…」

米沢「…」

今西「…」

米沢「…俄かには信じ難い、無茶苦茶なご通達ですな」

今西「…だが、いつかはこうなる。そんな予感はしていたんだよ」

米沢「確かに、いずれ自分達に牙を剥くであろう人物をいつまでも置いておくとは到底思えませんな。あの重役の方々が…」

今西「…」

米沢「しかし、信じられないのはそれだけではありません」

今西「…うむ」

米沢「…まさか貴方も、一枚かんでいたとは…」

今西「…弁解は出来んねぇ…」

米沢「…まあ、大方、付き合わされたのでしょうな」

今西「…」

米沢「そうでもなければ、ここまで杉下係長の味方を引き受けたりはせんでしょうからな」

今西「…私は、これを彼に渡さなければならないのかね?」

米沢「…期限は、書いておりませんな」

今西「ああ。せめてもの、というやつだろうさ。…とはいってもそう長くは待ってくれんだろうがね」

米沢「…」

今西「…最近の、彼の顔」

米沢「…」

今西「…どう、思うかね?」

米沢「あくまで私の主観ですが…」

今西「…」

米沢「…とても、楽しそうにしていると思っております」

今西「ああ。それも色んな事を含めて、だ」

米沢「…」

今西「…だからこそ、だ」

米沢「…ふむ」

今西「…こんな残酷な結末を、誰が渡してやれるかね?」

米沢「…」カサ

『杉下右京 346○○株式会社 北海道支店への出向を命ず』
『尚、プロジェクトの人員は他のプロジェクトへ回すこととす』

331: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:40:01.31 ID:EA7aNRyuO
米沢「…私は」

今西「…何かね?」

米沢「…私は、なんだかんだで杉下係長とはもう十数年の付き合いになります」

今西「…私もだな」

米沢「…彼は、いつだって純粋でした」

今西「…ああ」

米沢「純粋に仕事に向かい、純粋に人と向き合っていました」

今西「…ああ」

米沢「だからこそ。あえて言わせていただきます」

今西「…」

米沢「彼は、必要な人材です」

今西「…」

米沢「これからの346プロダクションには、彼が必要だと私は思っております」

今西「…」

米沢「…と、下っ端の私が言うことではないですがな」

今西「…いや」

米沢「…」

今西「…当然の、台詞だよ」

米沢「…」

今西「…」

米沢「…これから、どうするのですか?」

今西「…どうする、かね…」

米沢「…」

今西「…」

米沢「…心中、お察しします…」

今西「…うむ」

332: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:41:51.63 ID:EA7aNRyuO
「…んー…!疲れたー…」グググ…

「座りっぱなしのお仕事やありまへんか。特に動いたわけでもない…」

「むしろそういう方が苦手なの!動いてた方が良いよー…」

「全く底知れないスタミナなんですね。友紀さん」

「あれー?褒めてるのそれー…」

仕事から帰り、時計を確認する。

時刻はもう4時を回っており、夕方と言っても良い時間帯だ。

日の入りが遅くなってきてはいるけど、休みの日ならこの時間でも晩御飯を食べたりするのは珍しくない。

「しかしこの部屋は日光もほとんど入ってきませんね…」

幸子ちゃんがそうぼやく。

ここは元物置部屋と分かっていても、流石に窓が換気用程度の小窓一つでは納得がいかないのかもしれない。

「どのような場所でも仕事が出来るだけマシ。そう考えるべきです」

スーツのジャケットを掛け、紅茶の準備をしている右京さん。

暑くなってきたからか、コートは着なくなったらしい。

そして自身の机の中の茶葉を取り出そうとした時、上に置かれていたそれに気づいた。

「…」

「?…何それ?右京さん」

厚手の封筒。

そこには一枚のCDと書類が3枚。

「おや。ようやく届きましたか」

「…あっ」

それだけで、アタシ達はそれが何なのか、すぐに分かった。

「幸子君。君の曲が出来上がりましたよ」

そう言って、歌詞の書かれた紙とCDを幸子ちゃんに渡す。

「…」

目を見開き、呆然としている彼女は、それをどう受け取っていいのか、というよりはまだそれがどういうことなのかがよく分かっていない様子だ。

「…あ…え…」

「やったね幸子ちゃん!これで本格的に歌手デビューだよ!」

「あらまぁ…ほんまおめでたいことどすなぁ」

「…あ…」

幸子ちゃんが笑顔の右京さんからそれを受け取るのは、少し時間が経ってからだった。

333: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:42:43.14 ID:EA7aNRyuO
「びっくりしましたよ…いくらなんでも渡し方が自然過ぎです!」

「おやおや。何かおかしかったですかねえ…」

「当たり前です!もっとおめでとうとかあるでしょ!」

案の定軽口を叩く。

多くを言わない右京さんの事だから、こういう渡し方以外想像出来ないのに。

…その軽口がただの照れ隠しだというのは、アタシでも分かるけどね。

「で、どういう感じなの?早く聴かせてよー!」

「…そうですね。まあ、このボクの曲ですから?勿論カワイイんですよね?」

「可愛いかどうかはともかく、まずは聴いてみてはいかがでしょう?」

「わ、分かってます!こういう時くらいムードってものを…」

右京さんも早く聴いてみたいらしく、コンポを我先にと部屋の真ん中にセットした。

「じゃあ、かけますから。皆さん、静かにですよ!」

「はよ再生してくれまへんか?」

「わ、分かってますから!」

まるで誕生日に欲しかった玩具を与えられた子供のようなテンション。

…アタシにも、分かるよ。

334: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:44:33.23 ID:EA7aNRyuO
「…」

「じいじー…」

「…その呼び方、何とかなりませんか?」

「…おしっこ…」

「おや。トイレですか…」

「トイレは?」

「トイレは…この辺にはありませんね。仕方ない。そこの草むらで済ませましょう」

「…んー…」

「我慢が出来るなら、コンビニまで連れていきますよ。15分くらい」

「やだー!我慢出来ないー!」

「なら仕方ないですよね。さ、早めに済ませましょう」

「…」コク

「あ。一応これ軽犯罪ですからね。まあ、僕は警察官ではありませんから…多めに見ましょう」

「…うん」

「…あ、そうだ」

「…」

「…」

「…じいじ。どうしたの?」

「貴方、何処か行きたい所はありますか?遠い所とか」

「え?…でも、いつも忙しいって…」

「じいじはもう疲れました。今度は外側から彼らを見ることにします」

「…?」

「まあ、時間はいくらでも取れるということです」

「…なら、水族館!」

「水族館…」

「うん!じいじと一緒に!」

「そうですか。ではそろそろじいじは勘弁してほしいですね」

「じいじー!」

「ほらほら、早くしまって。車の中にウェットティッシュがありますから手を拭いて下さい」

「はーい!」

「…」


「…」


「…さて…」


「…今度こそ、僕を殺すのは、杉下かなあ」

335: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:45:43.23 ID:EA7aNRyuO
幸子「…2ヶ月後…」

右京「ええ。それが君の歌手デビューの日ですねぇ」

友紀「じゃあ、頑張って覚えなきゃ!」

幸子「ええ!まあボクなら1週間後でも…」

右京「ではそのように」

幸子「冗談ですよ!察して下さいよ!」

紗枝「…まあ何にせよ、これで各々体制がしっかりしてきたわけどすなぁ…」

右京「そうですねぇ…。ではそれまでに、君達のユニット名とリーダーを決めておくことにしましょうか」

友紀「あー…」

幸子「ユニット名…」

紗枝「…せやけど、中々浮かびまへんなぁ」

友紀「皆の頭文字を取るのは?」

幸子「安直ですね…」

紗枝「安直どすなぁ…」

友紀「ぐ…でも他に何かある?」

幸子「…まあ、無いですけど…」

右京「君達の名前のイニシャルを取っていくと、Y・S・S…」

紗枝「何やアイドルユニットに見えまへんなぁ…」

幸子「…なら、これはどうでしょう?…ズバリ、共通点です!」

友紀「共通点…」

幸子「はい!」

友紀「…ある?」

幸子「…う…」

友紀「どう見てもアタシ達って、バラバラじゃない…?」

紗枝「…ほな逆転の発想でいきまひょ」

友紀「?」

右京「共通点ではなく、バラバラという事を生かす。ということですか」

紗枝「そうどす。まずウチは…京風…自分で言うのもあれやけど…」

友紀「それでいくと…アタシは…野球…なのかなぁ?」

右京「挙げるとするならば、それが一番、君らしいと言えますねぇ」

幸子「…ふむ…」

紗枝「幸子はんは?」

幸子「…そうですね…京都、野球…とすればボクの個性は一つです!」

友紀「え!?な、なになに?」

右京「…」

幸子「ズバリ…」

紗枝「…」

幸子「カワイイ!!!」

336: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:46:56.25 ID:EA7aNRyuO
右京「・・・」

紗枝「・・・」

友紀「・・・」

幸子「・・・」

紗枝「もう満腹どすえ?」

幸子「何でですか!!個性は各々自由に決めていいんでしょ!?」

紗枝「言うてもそないカワイイカワイイて、可愛い事は個性やないし…」

右京「可愛さというのは人それぞれです。例えば子猫が可愛いという方がいらっしゃれば虫が可愛いという方もいらっしゃるんですよ」

友紀「可愛いにしても、どんな可愛さってのがあるよね」

紗枝「さあどんどん掘り下げていきますえ」

幸子「これが公開処刑ってものなんですね」

右京「いえ、自分の長所を堂々とアピール出来るということはとても良い事なんですよ」

幸子「そ、そうですかね?フフーン!ならボクはカワイイ!それ以上もそれ以下もありません!」

友紀「…まあそれは良いとしてさ、名前どうするかだよね?」

右京「まだ時間はあります。ゆっくり考えて下さい」

幸子「…あ!」

友紀「ん?…あ…もう5時かー…」

幸子「こ、こうしてはいられません!ボクは早目に帰りますよ!」カタン

紗枝「あらあら…そない急いで…寮の女将はんは少しくらい待ってくれますえ?」

幸子「ま゛っ…違います!ただみ、観たい番組があるんです!そ、それではお疲れ様でした!」

友紀「またねー」

右京「お疲れ様でした」

紗枝「…ま、ゆっくりと考えることにしまひょ。ウチも今日は寮でご馳走になりますさかい、失礼します…」カタン

友紀「うん!お疲れー!」

右京「お疲れ様でした」

337: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:47:53.08 ID:EA7aNRyuO
友紀「…いやー…ついに来たね!アタシ達のユニット!」

右京「ええ」

友紀「…デビュー…出来るよね?」

右京「ええ」

友紀「…本当に?」

右京「ええ。本当に…」

友紀「…なら良いけど…そういえば右京さんって、今日は何処かで食べるの?」

右京「ええ。少し用事を済ませてから」

友紀「用事かー…」

右京「どうかされましたか?」

友紀「ん?…ほら、たまにはご馳走になろうかなーって…」

右京「君は、正直ですねぇ…」

友紀「えへへー…」

右京「そうですねぇ…順調に行けば、30分程で済みます。ここで待っていて下されば、戻ってきますので」

友紀「?手伝わなくていいの?」

右京「ええ。一人で十分ですから」

友紀「ふーん…じゃあここで待ってるね!」

右京「ええ。そうしてくれると助かります」

友紀「はーい!」

338: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:48:55.78 ID:EA7aNRyuO
http://youtu.be/KvGPT3tG0o0



右京「…」

『部長室 責任者 今西』

右京「…」コンコン


右京「…」ガチャ


右京「…」


右京「…」


右京「…」ガラ


右京「…」ペラ


右京「…」


右京「…成る程。そういうことでしたか…」


右京「…?」カサ


右京「USBメモリ…」


右京「…」

339: ◆GWARj2QOL2 2016/04/21(木) 23:59:51.65 ID:EA7aNRyuO
後悔しているか?

そう聞かれたなら、アタシは少しの間頭を抱えて、こう答える。

「人生は後悔の連続だよ」

…と。

しているか、していないかは、察してくれればいい。

…というより、どっちでもいい。

してると言われれば、しているし。
してないと言われれば、してない。

ただ、アタシはこう思う。

「完璧なハッピーエンドなんて、現実には無い」ということ。

そんな物が実際にあったと言うなら、アタシはそれをテレビだ漫画だと声を荒げるかもしれない。

…でも、ある意味、ハッピーエンドなのかもしれない。

…どうなんだろ?

そんなもの、人によりけりなんだし、分かんないよね。

「…」

ただね、右京さん。

右京さんにとっては、ハッピーエンドかもしれないけどさ。

…アタシ達にとっては、ただのバッドエンドなんだよ。

340: ◆GWARj2QOL2 2016/04/22(金) 00:00:49.40 ID:pqXrAlsdO
第十話 終

多分次で最終回になります

342: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/22(金) 00:23:59.47 ID:xlWntTKWo
乙ー
結果を出してるから常務の目に止まりそうな気がしなくもないんだけど時系列がなぁ

官房長は幸せそうでよかったわ

344: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/22(金) 01:56:43.33 ID:ZRnGLJlj0

わかってはいたけど、右京さんは346には向かないだろうからなぁ……ちひろにとっては邪魔だろうし

345: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/24(日) 13:34:25.35 ID:b0wP9Vvh0
この官房長ってもしかして・・・

341: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/22(金) 00:15:57.99 ID:l3uTjY6A0
ユッキの主人公さがここまで映えるとは
乙期待