【落語】彡(゚)(゚)「さて、今日はどこの宿に泊まろうか……」【ねずみ】
1: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)18:36:05 ID:1KX
世の中には名前を残した方というのが沢山おりますが
彫師のほうで、江戸時代に活躍をした「左甚五郎」という名工がおります
これは大層腕の立つ職人で、彫りあげた作品には命が宿り動き出す、と言われるほどでございます
~仙台の宿場町~
(*^○^*)「あの~……オジサンは旅の人ですか?」
彡(゚)(゚)「……そうやで」
(*^○^*)「今日はここいらでお泊りですか?」
彡(゚)(゚)「あぁ、そのつもりやが……坊主は宿の客引きか?」
(*^○^*)「へぇ、もしよかったらウチで泊まってってくれませんか?」
彡(゚)(゚)「んー…まぁどこで泊まったところで一晩は一晩や」
彡(゚)(゚)「ええで、お前んところに世話になるやで」
(*^○^*)「本当ですか!?」
(*^○^*)「あ、あの、お、お客様は、夜寝るとき布団は使いますか?」
彡(゚)(゚)「…………まぁなぁ」
(*^○^*)「あの~、だったら先に前金を頂けますでしょうか?」
(*^○^*)「実は…布団屋さんに借りがあるままなんです……」
彡(゚)(゚)「そうか……坊主は正直やな、ほら前金や」
(*^○^*)「あ、ありがとうございます!」
彡(゚)(゚)「それで、坊主の宿屋はどこにあるんや?」
彫師のほうで、江戸時代に活躍をした「左甚五郎」という名工がおります
これは大層腕の立つ職人で、彫りあげた作品には命が宿り動き出す、と言われるほどでございます
~仙台の宿場町~
(*^○^*)「あの~……オジサンは旅の人ですか?」
彡(゚)(゚)「……そうやで」
(*^○^*)「今日はここいらでお泊りですか?」
彡(゚)(゚)「あぁ、そのつもりやが……坊主は宿の客引きか?」
(*^○^*)「へぇ、もしよかったらウチで泊まってってくれませんか?」
彡(゚)(゚)「んー…まぁどこで泊まったところで一晩は一晩や」
彡(゚)(゚)「ええで、お前んところに世話になるやで」
(*^○^*)「本当ですか!?」
(*^○^*)「あ、あの、お、お客様は、夜寝るとき布団は使いますか?」
彡(゚)(゚)「…………まぁなぁ」
(*^○^*)「あの~、だったら先に前金を頂けますでしょうか?」
(*^○^*)「実は…布団屋さんに借りがあるままなんです……」
彡(゚)(゚)「そうか……坊主は正直やな、ほら前金や」
(*^○^*)「あ、ありがとうございます!」
彡(゚)(゚)「それで、坊主の宿屋はどこにあるんや?」
2: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)18:41:43 ID:1KX
(*^○^*)「この道を真っ直ぐ行って右に曲がると大きくて立派な宿があります!」
(*^○^*)「虎屋という宿です!」
彡(゚)(゚)「ほぅ、そこが坊主の宿屋なんか?」
(*^○^*)「いえ……その向かいにある、それはもうボロくて小さい、ねずみ屋という宿です」
彡(゚)(゚)「そ、そうなんか分かったやで…」
彡(゚)(゚)「ほな先に行っとるわ」テクテク
彡(゚)(゚)「えーっとこの道を右に曲がると……」
彡(゚)(゚)「ほぉ……ここが虎屋か」
彡(゚)(゚)「なるほど、これは立派な建物や…余程腕のいい大工が建てたんやろうなぁ」
彡(゚)(゚)「えーっと、その向かいにある、ねずみ屋ねずみ屋ねずみ………」
彡;(゚)(゚)「……………………なるほど」
彡;(゚)(゚)「名は体を表すとはよく言ったもんやで」
彡(゚)(゚)「ま、別にええわい」
彡(゚)(゚)「ごめんよぉ!」ガラララ
(*^○^*)「虎屋という宿です!」
彡(゚)(゚)「ほぅ、そこが坊主の宿屋なんか?」
(*^○^*)「いえ……その向かいにある、それはもうボロくて小さい、ねずみ屋という宿です」
彡(゚)(゚)「そ、そうなんか分かったやで…」
彡(゚)(゚)「ほな先に行っとるわ」テクテク
彡(゚)(゚)「えーっとこの道を右に曲がると……」
彡(゚)(゚)「ほぉ……ここが虎屋か」
彡(゚)(゚)「なるほど、これは立派な建物や…余程腕のいい大工が建てたんやろうなぁ」
彡(゚)(゚)「えーっと、その向かいにある、ねずみ屋ねずみ屋ねずみ………」
彡;(゚)(゚)「……………………なるほど」
彡;(゚)(゚)「名は体を表すとはよく言ったもんやで」
彡(゚)(゚)「ま、別にええわい」
彡(゚)(゚)「ごめんよぉ!」ガラララ
5: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)18:46:16 ID:1KX
(´・ω・`)「あ、これはどうもお客様でございますか?」
彡(゚)(゚)「せや、一泊させてもらいたいんやが」
(´・ω・`)「そうですか!それはありがとう存じます!」
(´・ω・`)「本来ならばわたくしが誠心誠意、お客様の接客にあたらせて頂くのですが……」
(´・ω・`)「わたくし腰を抜かしてしまい、動けないんでございまして……」
彡(゚)(゚)「ほーん、そうか大変なんやなぁ」
(*^○^*)「あ!オジサン着いてたんですね!お布団借りてきました!」
彡(゚)(゚)「サンキューガッツ、そこに置いといてくれや」
(*^○^*)「オジサン!今晩は何をお召し上がりになられますか?」
彡(゚)(゚)「せやなぁ、久方振りに寿司でも頼もうか思てたんやが……」
彡(゚)(゚)「……まぁ寿司でええか!ほな頼んできてくれるか?」
(*^○^*)「5人前ほどでよかったでしょうか?」
彡(゚)(゚)「………あのな坊主、いくらなんでもワイ1人で5人前はキツいわ」
(*^○^*)「僕もお父さんも寿司は好きなんです」
彡(゚)(゚)「…………………」
彡(゚)(゚)「まぁええわ、ほらまた前金や」
(*^○^*)「ありがとうございます!それじゃあ買ってきます!」
彡(゚)(゚)「あ、ちょい待ち!」
彡(゚)(゚)「寿司買う前に先に酒を2升ばかり買っといてくれや」
(*^○^*)「僕もお父さんも酒は飲まないんです」
彡;(゚)(゚)「お前らの分とちゃう!ワイの分や!」
彡(゚)(゚)「それを買って余った金で好きな寿司買ったらええから」
(*^○^*)「分かりました!」タタタタタッ
彡(゚)(゚)「せや、一泊させてもらいたいんやが」
(´・ω・`)「そうですか!それはありがとう存じます!」
(´・ω・`)「本来ならばわたくしが誠心誠意、お客様の接客にあたらせて頂くのですが……」
(´・ω・`)「わたくし腰を抜かしてしまい、動けないんでございまして……」
彡(゚)(゚)「ほーん、そうか大変なんやなぁ」
(*^○^*)「あ!オジサン着いてたんですね!お布団借りてきました!」
彡(゚)(゚)「サンキューガッツ、そこに置いといてくれや」
(*^○^*)「オジサン!今晩は何をお召し上がりになられますか?」
彡(゚)(゚)「せやなぁ、久方振りに寿司でも頼もうか思てたんやが……」
彡(゚)(゚)「……まぁ寿司でええか!ほな頼んできてくれるか?」
(*^○^*)「5人前ほどでよかったでしょうか?」
彡(゚)(゚)「………あのな坊主、いくらなんでもワイ1人で5人前はキツいわ」
(*^○^*)「僕もお父さんも寿司は好きなんです」
彡(゚)(゚)「…………………」
彡(゚)(゚)「まぁええわ、ほらまた前金や」
(*^○^*)「ありがとうございます!それじゃあ買ってきます!」
彡(゚)(゚)「あ、ちょい待ち!」
彡(゚)(゚)「寿司買う前に先に酒を2升ばかり買っといてくれや」
(*^○^*)「僕もお父さんも酒は飲まないんです」
彡;(゚)(゚)「お前らの分とちゃう!ワイの分や!」
彡(゚)(゚)「それを買って余った金で好きな寿司買ったらええから」
(*^○^*)「分かりました!」タタタタタッ
7: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)18:48:06 ID:SrV
やきうのお兄ちゃんいい人すぎるやろ
8: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)18:50:09 ID:1KX
(´・ω・`)「お客様、うちのせがれが御迷惑をおかけして申し訳ございません」
彡(゚)(゚)「いやいや、ええんやで」
彡(゚)(゚)「…………いくつになるんや?」
(´・ω・`)「もう40と少しばかりになります」
彡;(゚)(゚)「いやお前さんに聞いとるんやない、せがれさんの方や」
(´・ω・`)「たしか今年で11になります」
彡(゚)(゚)「11………か」
彡(゚)(゚)「オヤジさん、こんなことただの客が言うべきことやないかもしれへんけどな」
彡(゚)(゚)「宿屋の主(あるじ)は腰が立たん、跡取り息子の年は11………」
彡(゚)(゚)「なんやその、お手伝いさんでも雇ったらどないなんやろか」
(´・ω・`)「………………」
(´^ω^`)「お寿司が届くまでまだしばらく時間がありますので」
(´^ω^`)「これはまぁただの時間潰しのお話だと思って聞いてください」
(´・ω・`)「………実は私、今でこそこんなんですが」
(´・ω・`)「前はあの、虎屋の亭主だったんです」
彡;(゚)(゚)「おファッ!?」
彡(゚)(゚)「いやいや、ええんやで」
彡(゚)(゚)「…………いくつになるんや?」
(´・ω・`)「もう40と少しばかりになります」
彡;(゚)(゚)「いやお前さんに聞いとるんやない、せがれさんの方や」
(´・ω・`)「たしか今年で11になります」
彡(゚)(゚)「11………か」
彡(゚)(゚)「オヤジさん、こんなことただの客が言うべきことやないかもしれへんけどな」
彡(゚)(゚)「宿屋の主(あるじ)は腰が立たん、跡取り息子の年は11………」
彡(゚)(゚)「なんやその、お手伝いさんでも雇ったらどないなんやろか」
(´・ω・`)「………………」
(´^ω^`)「お寿司が届くまでまだしばらく時間がありますので」
(´^ω^`)「これはまぁただの時間潰しのお話だと思って聞いてください」
(´・ω・`)「………実は私、今でこそこんなんですが」
(´・ω・`)「前はあの、虎屋の亭主だったんです」
彡;(゚)(゚)「おファッ!?」
9: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)18:56:33 ID:1KX
(´・ω・`)「今より5年ほど前に妻を亡くし、息子と二人になったのですが」
(´・ω・`)「女親が居ないのは良くないと思い、従業員のお紺という者を後妻として迎えました」
(´・ω・`)「多くの従業員を雇い、繁盛に繁盛を重ねておりました」
(´・ω・`)「しかし、七夕祭りの日にお泊りになられたお客様どうしが二階で喧嘩をはじめまして……」
(´・ω・`)「どちらのお客様にも怪我があってはいけないと、止めに入ったのですが……」
(´・ω・`)「誰に突き飛ばされたか、わたくし二階から転げ落ちましてね」
(´・ω・`)「その時から腰が立たなくなってしまったのです」
(´・ω・`)「いろいろなお医者様に看てもらいましたが治りませんで…」
(´・ω・`)「最初は客室の一間を借りて、そこに布団を敷いてもらい過ごしておりました」
(´・ω・`)「そんなある日、私の幼友達で隣の宿を経営している生駒屋という者がおるのですが」
(´・ω・`)「その生駒屋が私の部屋へ上がってくるなり」
(´・ω・`)「お前は自分の息子の体を見たことがあるか!?腰だけじゃなく心まで腑抜けになっちまったのか!!」
(´・ω・`)「と、怒鳴り込んで来たのです」
(´・ω・`)「私にはなんのことだか分からなかったのですが、丁度そこへせがれが帰ってきましたので」
(´・ω・`)「服を脱いで体を見せなさい、と言ってもモジモジするばかり」
(´・ω・`)「少し厳しく言いますとせがれも堪忍したようで服を脱いだのですが…」
(´・ω・`)「そこにあったのは数多くの生傷でした……」
(´・ω・`)「一体どうしたんだ?と聞きますと、せがれが泣きじゃくりながら私の首元にしがみつき」
(´・ω・`)「どうしておっかあは死んでしまったんだ!!と……」
(´・ω・`)「女親が居ないのは良くないと思い、従業員のお紺という者を後妻として迎えました」
(´・ω・`)「多くの従業員を雇い、繁盛に繁盛を重ねておりました」
(´・ω・`)「しかし、七夕祭りの日にお泊りになられたお客様どうしが二階で喧嘩をはじめまして……」
(´・ω・`)「どちらのお客様にも怪我があってはいけないと、止めに入ったのですが……」
(´・ω・`)「誰に突き飛ばされたか、わたくし二階から転げ落ちましてね」
(´・ω・`)「その時から腰が立たなくなってしまったのです」
(´・ω・`)「いろいろなお医者様に看てもらいましたが治りませんで…」
(´・ω・`)「最初は客室の一間を借りて、そこに布団を敷いてもらい過ごしておりました」
(´・ω・`)「そんなある日、私の幼友達で隣の宿を経営している生駒屋という者がおるのですが」
(´・ω・`)「その生駒屋が私の部屋へ上がってくるなり」
(´・ω・`)「お前は自分の息子の体を見たことがあるか!?腰だけじゃなく心まで腑抜けになっちまったのか!!」
(´・ω・`)「と、怒鳴り込んで来たのです」
(´・ω・`)「私にはなんのことだか分からなかったのですが、丁度そこへせがれが帰ってきましたので」
(´・ω・`)「服を脱いで体を見せなさい、と言ってもモジモジするばかり」
(´・ω・`)「少し厳しく言いますとせがれも堪忍したようで服を脱いだのですが…」
(´・ω・`)「そこにあったのは数多くの生傷でした……」
(´・ω・`)「一体どうしたんだ?と聞きますと、せがれが泣きじゃくりながら私の首元にしがみつき」
(´・ω・`)「どうしておっかあは死んでしまったんだ!!と……」
10: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)18:57:36 ID:HD2
タイガーアンドドラゴンで落語に興味を持ったやで
11: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:00:29 ID:1KX
(´・ω・`)「私はその時になってようやく、お紺や番頭達のしていることに気付いたのです」
(´・ω・`)「それから私達二人は虎屋の前の物置部屋に逃げ込んで来ました…」
(´・ω・`)「飯は虎屋からせがれが運んで来てくれてたのですが」
(´・ω・`)「三度だったものが二度になり、二度だったものが一度になり……」
(´・ω・`)「時には、この忙しいときに!とせがれが頭をぶたれたこともありました……」
(´・ω・`)「隣の生駒屋が、飯はこっちが三度用意するから、と言ってくれて飢えからは逃れておりましたが」
(´・ω・`)「ある日その生駒屋が私の元へ血相変えて駆けつけてきて」
(´・ω・`)「虎屋をいつ番頭に譲った!?あまりに横暴なもんで文句を言いに行ったら、印の押された譲り渡し状を見せられ「前のご主人とはもう何の関係も無い」と言われ帰ってきたんだが、お前なぜ印を押したんだ!?と」
(;´°ω°`)「しまった!印はお紺に渡したままだった…!…………時すでに遅し、です」
(´・ω・`)「せがれが、このまま生駒屋から飯をもらっているだけなら乞食と同じ、少しでも足しになれば……ということで宿屋を始めました」
(´・ω・`)「それがこのねずみ屋でございます……」
(´・ω・`)「それから私達二人は虎屋の前の物置部屋に逃げ込んで来ました…」
(´・ω・`)「飯は虎屋からせがれが運んで来てくれてたのですが」
(´・ω・`)「三度だったものが二度になり、二度だったものが一度になり……」
(´・ω・`)「時には、この忙しいときに!とせがれが頭をぶたれたこともありました……」
(´・ω・`)「隣の生駒屋が、飯はこっちが三度用意するから、と言ってくれて飢えからは逃れておりましたが」
(´・ω・`)「ある日その生駒屋が私の元へ血相変えて駆けつけてきて」
(´・ω・`)「虎屋をいつ番頭に譲った!?あまりに横暴なもんで文句を言いに行ったら、印の押された譲り渡し状を見せられ「前のご主人とはもう何の関係も無い」と言われ帰ってきたんだが、お前なぜ印を押したんだ!?と」
(;´°ω°`)「しまった!印はお紺に渡したままだった…!…………時すでに遅し、です」
(´・ω・`)「せがれが、このまま生駒屋から飯をもらっているだけなら乞食と同じ、少しでも足しになれば……ということで宿屋を始めました」
(´・ω・`)「それがこのねずみ屋でございます……」
14: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:05:08 ID:1KX
彡(゚)(゚)「そうか、そんなことがあったんか……」
彡(゚)(゚)「……ちなみになんで宿の名前をねずみ屋にしたんや?」
(´・ω・`)「元は物置小屋でしたのでねずみが住んでいたのですが、それをせがれと二人で乗っ取った形になりましたので、ねずみに義理を立て、ねずみ屋としました」
彡(゚)(゚)「そうか………」
彡(゚)(゚)「なぁ親父さん、ここに木の端っこかなんかは置いてへんやろか」
(´・ω・`)「………ございますが、何にご所望で?」
彡(゚)(゚)「いや、話のお礼に宿の名前にちなんでねずみを彫ってやろうと思ってな」
(´・ω・`)「お客様は彫り物をなさるのですか」
(´・ω・`)「彫り物といえば、今この仙台にあの名工・左甚五郎先生が来ているそうで……」
(´・ω・`)「あっ!申し訳ございません、わたくしすっかり宿帳をとるのを忘れておりました!」
(´^ω^`)「失礼ですがお名前とおところをよろしいでしょうか」
(´^ω^`)「役人がうるそうございますので」
彡(゚)(゚)「ワイか………」
彡(゚)(゚)「ワイは江戸の日本橋は橘町、政五郎宅つき甚五郎、生まれは飛騨のもんや」
(´^ω^`)「えぇ……っと、飛騨出身の、甚五郎………」
(´・ω・`)「…………飛騨出身の……………甚五郎……?」
(;´°ω°`)「……ま、ま、まさか、お客様が、あ、あの有名な左甚五郎先生で!?」
彡(゚)(゚)「やめてクレメンス、先生なんてそんな大層なもんやない、ただの客や」
(*^○^*)「オジサン!お寿司とお酒を買ってきました!」
彡(^)(^)「お!帰ってきたか坊主!ほなワイは自分の分だけもろてくから、後はお父さんと好きなように食べるんやで」
(*^○^*)「ありがとうございますなんだ!」
彡(゚)(゚)「……ちなみになんで宿の名前をねずみ屋にしたんや?」
(´・ω・`)「元は物置小屋でしたのでねずみが住んでいたのですが、それをせがれと二人で乗っ取った形になりましたので、ねずみに義理を立て、ねずみ屋としました」
彡(゚)(゚)「そうか………」
彡(゚)(゚)「なぁ親父さん、ここに木の端っこかなんかは置いてへんやろか」
(´・ω・`)「………ございますが、何にご所望で?」
彡(゚)(゚)「いや、話のお礼に宿の名前にちなんでねずみを彫ってやろうと思ってな」
(´・ω・`)「お客様は彫り物をなさるのですか」
(´・ω・`)「彫り物といえば、今この仙台にあの名工・左甚五郎先生が来ているそうで……」
(´・ω・`)「あっ!申し訳ございません、わたくしすっかり宿帳をとるのを忘れておりました!」
(´^ω^`)「失礼ですがお名前とおところをよろしいでしょうか」
(´^ω^`)「役人がうるそうございますので」
彡(゚)(゚)「ワイか………」
彡(゚)(゚)「ワイは江戸の日本橋は橘町、政五郎宅つき甚五郎、生まれは飛騨のもんや」
(´^ω^`)「えぇ……っと、飛騨出身の、甚五郎………」
(´・ω・`)「…………飛騨出身の……………甚五郎……?」
(;´°ω°`)「……ま、ま、まさか、お客様が、あ、あの有名な左甚五郎先生で!?」
彡(゚)(゚)「やめてクレメンス、先生なんてそんな大層なもんやない、ただの客や」
(*^○^*)「オジサン!お寿司とお酒を買ってきました!」
彡(^)(^)「お!帰ってきたか坊主!ほなワイは自分の分だけもろてくから、後はお父さんと好きなように食べるんやで」
(*^○^*)「ありがとうございますなんだ!」
17: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:11:49 ID:1KX
それから甚五郎は朝までにねずみ一匹を彫り上げ、タライの中にねずみを入れ店先に出して竹網を掛けて出発しました。
~ある日の仙台宿場町~
(●゚◇゚●)「お?ねずみ屋さんにタライと立て札が置いてあるぞ」
(●▲●)「んー……なになに?飛騨高山甚五郎作福鼠………?」
(●▲●)「……甚五郎ったら、あの名工・左甚五郎か!?」
(●゚◇゚●)「そうだろうなぁ」
(●゚◇゚●)「いやー、名人の作ったものなんてそうそう見れるもんじゃねぇ」
(●゚◇゚●)「せっかくだし見ていこうか、どれどれ……」
(●^◇^●)「…あらら、こりゃ可愛いねずみだなぁ!チョロチョロチョロチョロと動き回っちゃって……」
(●^◇^●)「………………」
(●゚◇゚●)「……………オイ、このねずみ動いとるぞ」
(●▲●)「なーに馬鹿なこと言ってんだ!」
(●▲●)「木で掘ったねずみが動くわけ……………」
(●▲●)「…………………動いとる」
(●゚◇゚●)「はぁー…名人はとんでもねぇもんを作るんだなぁ」
(●゚◇゚●)「ありゃ?この立て札続きがあるぞ?」
(●▲●)「なになに~?《この福ねずみを見た人は、土地の人、旅の人を問わず、ねずみ屋にお泊まり下さい・甚五郎》…………」
(●゚◇゚●)「………おら達今日ねずみ屋さんに泊まらねぇといけなくなっちまったな」
(●▲●)「馬鹿言え、ここからおら達の家まで歩いてスグなんだぞ」
(●゚◇゚●)「いんや駄目だ、名人が泊まれって言ってんだから泊まんねぇと」
~ある日の仙台宿場町~
(●゚◇゚●)「お?ねずみ屋さんにタライと立て札が置いてあるぞ」
(●▲●)「んー……なになに?飛騨高山甚五郎作福鼠………?」
(●▲●)「……甚五郎ったら、あの名工・左甚五郎か!?」
(●゚◇゚●)「そうだろうなぁ」
(●゚◇゚●)「いやー、名人の作ったものなんてそうそう見れるもんじゃねぇ」
(●゚◇゚●)「せっかくだし見ていこうか、どれどれ……」
(●^◇^●)「…あらら、こりゃ可愛いねずみだなぁ!チョロチョロチョロチョロと動き回っちゃって……」
(●^◇^●)「………………」
(●゚◇゚●)「……………オイ、このねずみ動いとるぞ」
(●▲●)「なーに馬鹿なこと言ってんだ!」
(●▲●)「木で掘ったねずみが動くわけ……………」
(●▲●)「…………………動いとる」
(●゚◇゚●)「はぁー…名人はとんでもねぇもんを作るんだなぁ」
(●゚◇゚●)「ありゃ?この立て札続きがあるぞ?」
(●▲●)「なになに~?《この福ねずみを見た人は、土地の人、旅の人を問わず、ねずみ屋にお泊まり下さい・甚五郎》…………」
(●゚◇゚●)「………おら達今日ねずみ屋さんに泊まらねぇといけなくなっちまったな」
(●▲●)「馬鹿言え、ここからおら達の家まで歩いてスグなんだぞ」
(●゚◇゚●)「いんや駄目だ、名人が泊まれって言ってんだから泊まんねぇと」
18: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:12:09 ID:1KX
それからこのねずみ屋には「左甚五郎が作った動くねずみが居る」というので
全国津々浦々からお客さんがこぞって参りました
それに伴い、裏に部屋を増築していきまして大繁盛
さらに虎屋の悪評も続けざまに広がり
ねずみ屋に客が増えれば増えるほど虎屋からは客が減っていく
と、こうなる次第でございます
しかし黙っていませんのは虎屋の番頭
飯田丹下(たんげ)という甚五郎と因縁のある男に虎を彫らせまして、ねずみ屋のねずみを睨み付けるように二階の手摺りに飾りました
その途端、ねずみ屋のねずみがピタッっと動かなくなってしまったのです
驚いたのがねずみ屋の亭主
あまりに驚きその反動で腰が立ったのです
本当はもっと前から治っていたのですが、立たないと思って立たなかったから立てなかったのです
そこで亭主、甚五郎に手紙を出しました
「私の腰が立ちました。ねずみの腰が抜けました」
全国津々浦々からお客さんがこぞって参りました
それに伴い、裏に部屋を増築していきまして大繁盛
さらに虎屋の悪評も続けざまに広がり
ねずみ屋に客が増えれば増えるほど虎屋からは客が減っていく
と、こうなる次第でございます
しかし黙っていませんのは虎屋の番頭
飯田丹下(たんげ)という甚五郎と因縁のある男に虎を彫らせまして、ねずみ屋のねずみを睨み付けるように二階の手摺りに飾りました
その途端、ねずみ屋のねずみがピタッっと動かなくなってしまったのです
驚いたのがねずみ屋の亭主
あまりに驚きその反動で腰が立ったのです
本当はもっと前から治っていたのですが、立たないと思って立たなかったから立てなかったのです
そこで亭主、甚五郎に手紙を出しました
「私の腰が立ちました。ねずみの腰が抜けました」
19: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:12:30 ID:HD2
左甚五郎って日光東照宮の何か掘った人やったな
22: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:14:14 ID:TAl
元ネタ歌丸のやつ?
26: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:18:31 ID:1KX
>>19
眠り猫やね
>>22
そうやね、そこに初めて見る人に分かり易くするために
少しだけ足したり引いたりしたんや
眠り猫やね
>>22
そうやね、そこに初めて見る人に分かり易くするために
少しだけ足したり引いたりしたんや
23: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:16:30 ID:1KX
その手紙を見た甚五郎は仙台に入りまして、亭主に経緯を聞きその虎を見せてもらうことにしましたところ
彡(゚)(゚)「………この虎を飯田さんが彫った?」
彡(~)(~)「ん~……、ワイにはそんなに良い出来の虎やとは思えんがなぁ~……」
彡(゚)(゚)「…………オイねずみ」
彡(゚)(゚)「ワイはお前を彫るとき、世の中の事はみんな忘れて一心にお前を彫り上げたんや……」
彡(-)(-)「それやのに、お前はあんな虎が恐いと言うんか??」
するとねずみがパッと甚五郎の方を見て
ねずみ「え?あれは虎だったんですか?アッシはてっきり、猫だと思ってました」
ーおわりー
彡(゚)(゚)「………この虎を飯田さんが彫った?」
彡(~)(~)「ん~……、ワイにはそんなに良い出来の虎やとは思えんがなぁ~……」
彡(゚)(゚)「…………オイねずみ」
彡(゚)(゚)「ワイはお前を彫るとき、世の中の事はみんな忘れて一心にお前を彫り上げたんや……」
彡(-)(-)「それやのに、お前はあんな虎が恐いと言うんか??」
するとねずみがパッと甚五郎の方を見て
ねずみ「え?あれは虎だったんですか?アッシはてっきり、猫だと思ってました」
ーおわりー
24: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:16:55 ID:AkL
草
25: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:17:25 ID:sJD
ねずみ可愛い
27: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:20:43 ID:rZF
イッチ面白かったで
28: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:20:56 ID:hzU
おつかれさん
29: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:22:19 ID:U4L
最後が面白かった(こなみ)
31: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:24:13 ID:kb3
おんJの空気に似つかわしくない良作
面白かったで
面白かったで
32: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:32:33 ID:F3o
おあとがよろしいようで
イチ乙
イチ乙
33: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:37:24 ID:s52
三井の大黒とか左甚五郎の落語や浪曲って多いよな
37: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:42:18 ID:1KX
>>33
ねずみも元は浪曲で、桂三木助が浪曲師の人とネタ交換して落語にしたんやて
ちなみに左甚五郎は松竹の新喜劇でも演じられてる人気演目らしいで
ねずみも元は浪曲で、桂三木助が浪曲師の人とネタ交換して落語にしたんやて
ちなみに左甚五郎は松竹の新喜劇でも演じられてる人気演目らしいで
38: 名無しさん@おんJ 2015/12/11(金)19:47:26 ID:s52
>>37
へーしらんかったで
イッチ、もっと落語書いてや
動物つながりでラクダとかw
へーしらんかったで
イッチ、もっと落語書いてや
動物つながりでラクダとかw
41: 名無しさん@おんJ 2015/12/12(土)00:58:43 ID:wT9
一杯の暖かい緑茶を飲み終えたような、そんな気分になる読み物
当たり前がちゃんもある世界がほっこりするなぁ